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日本はトランプ政権に「身構える」よりも「見習う」べき

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月28日 11時5分

新たな財務長官のもとで、関税引き上げそして減税政策のタイムスケジュールと、適用品目の対象や税率引き上げが、今後決まっていくとみられる。実際には、関税引き上げはディールの手段として使われるだろうが、米国にとってライバルと位置づけられている中国を除けば、米政権の交渉姿勢は国によって異なるだろう。

トランプ政権との交渉を上手く乗り切るためには

当然ながら、日本を含めた諸外国の政治リーダーが、関税引き上げなどの要求に対して、国益を守る対応を余儀なくされる。石破政権も、近い将来かなり高度な政治判断を行う必要に迫られるかもしれず、当然ながらトランプ政権に身構えながら対峙することになるだろう。

一方で、相手がある交渉事とは異なり、自らの政策対応で国力や国益を高める手段もある。一つは、マクロ安定化政策(財政金融政策)などの経済政策で、これが上手くいけば、経済成長率や国民の経済的な豊かさも高まる。

この点では、アベノミクスの成功を意識して、トランプ氏に経済政策を提唱したベッセント次期財務長官を見習い、石破政権は改めて日本の経済成長を高める政策を徹底すべきである。

トランプ政権とシビアな交渉になっても、トランプ氏と懇意だった安倍元首相の政策を引き継ぎ経済成長が続いている事実をアピールすれば、トランプ政権との交渉がそれ以上にシビアになることはないだろう。

仮に、トランプ次期政権から防衛費の積み上げなどが要請されても、経済成長で税収が増えているのだから、対応が容易になる。日米の外交安全保障関係がさらに安定すれば、当然ながら、「台湾への野望」を隠さない中国へのプレッシャーにもなる。

国民民主党の減税政策を採用すれば、経済成長率は高まる

岸田前政権の経済安定化政策に点数をつければ、50点だったと筆者は評価している。残念だった点は、財政政策においては定額減税を素早く実現できずに、真逆の政策である防衛増税を決めるなど、一貫した対応を示さなかったことだ。

また、終盤には求心力が衰える中で、日本銀行が7月会合でサプライズの追加利上げを行ったが、これも経済政策が揺らいだ象徴だったと筆者は評価している。

石破茂首相は岸田前政権の政策を踏襲しているとみられるが、それではトランプ政権に対峙することは難しいのではないか。

幸いながら、大規模な減税を掲げる国民民主党との政策協議に連立与党は直面している。国民民主党が掲げる大規模減税政策を採用すれば、家計の所得は大きく増えて、2025年度の日本経済は、潜在成長ペースを超える成長が実現するだろう。

トランプ次期政権の外圧を利用して、米国に歩調を合わせて経済政策を転換することが、低迷する支持率を向上させられる数少ない手段になる。既に、石破首相は過去の自らの発言を次々と翻しているのだから、徹底して「君子豹変」すれば良いということである。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)




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