定説「赤身肉は心臓に悪い」は「誤解」、本当の悪者はその隣にいる【心臓外科医が提唱】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月28日 16時40分
ハティ・ウィルモス
<飽和脂肪酸を多く含む赤身の肉は「健康によくない」、悪玉コレステロールが増え、心臓発作や脳卒中を起こしやすい――という従来の定説を覆す>
心臓の病で死にたくなければ赤身の肉(つまり飽和脂肪酸の塊)はできるだけ食べるな。私たちはそう教わってきたが、これに異を唱える医者がいる。心臓外科医のフィリップ・オバディアだ。
「私の食べるものの大半は動物性タンパク質。つまり肉と魚介、そして卵と乳製品だ」と、彼は言う。ただし調味料やタマネギ、ニンニクは使うし、たまにアボカドも食べる。
オバディアによれば、赤身の肉が心臓に悪いというのは「とんでもない誤解」だ。飽和脂肪酸を多く含む赤身の肉を常食していると血液中に悪玉コレステロールが増えて血管内にプラークがたまり、血流が阻害されて心臓発作や脳卒中を起こしやすい──というのが従来の定説だが、本当の悪玉は肉と一緒に食べる大量の「精製された炭水化物」だと、オバディアは言う。
「西洋風の食事では、どうしても肉と一緒に、精製された炭水化物や加工食品を食べてしまう。それが問題なのに、なぜか肉ばかりが悪者扱いされてきた。心臓病の根本原因であるインスリン抵抗性と炎症に対処するには、精製や加工をしていないホールフードを用い、炭水化物を減らすのがベストだ」
つまり白いパンやパスタ、白米を減らし、全粒粉のパンや玄米に替えること。「糖尿病にも癌にも、高血圧にもアルツハイマー病にもインスリン抵抗性と炎症が関与している」と、オバディアは言う。「炭水化物を控えて動物性タンパク質をたくさん取る。そうすればインスリン抵抗性に対処し、炎症を防ぎやすい」
ただし「肉ばかりで炭水化物なしの食生活を長く続けるのは体に悪い」と、管理栄養士のニコラ・ラドラムレインは忠告する。大事なのは「食材の種類が豊富でバランスの取れた食事」で、赤身の肉をメインにするのは週に2回程度がいいそうだ(もちろん、その場合も食物繊維の豊富な野菜をたっぷり添えて)。
【動画】「赤身肉神話」について語る心臓外科医のフィリップ・オバディア
Debunking Red Meat Myths: What You Need to Know!
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