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「代替療法で治る」に騙されてはいけない...科学的根拠ゼロの「がん治療体験」をセレブが広める問題

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月4日 17時35分

ジュースやスムージーを飲むのは必ずしも悪くないが、それだけでは食物繊維やタンパク質が不足する。これらが足りないと腸の健康や筋肉量に悪影響が出る。

ビーガンダイエット

卵や乳製品も口にしない完全菜食主義の食生活も、それだけでは癌は治せないとオリオーダンは言う。「完全菜食主義にすればヘルシーかもしれないが、カルシウムやタンパク質も摂取する必要がある。ビーガンダイエットは癌を治したり再発リスクを下げたりするものではない──あくまでもライフスタイルの好みだ」

各種サプリメント

サプリは治療によるダメージを緩和する可能性はあっても治療の代わりにはならない。1日の必要量を果物や野菜だけで摂取するのは難しいので、抗癌剤治療中の患者にビタミン剤を処方する医師もいるだろう。治療中のサプリ服用については、治療薬と干渉する可能性もあるので担当医に相談するべきだ。

カーニボアダイエット

1日の食事は肉や魚や卵など動物性食品のみで炭水化物は一切取らず、野菜や果物や豆類や種子類など植物由来の食品もカットする。

米クリーブランド・クリニックによれば、こうした食生活は飽和脂肪が多く、コレステロール値の上昇や心臓病のリスク増大が懸念されるという。また、ベーコンなどの加工肉はナトリウムを多く含んでおり、腎臓病や高血圧を招きかねない。

「とにかく非常に不健康。食事療法では癌は治せない。治療効果が証明されているのは外科手術だけだ。その上で化学療法と放射線治療を行い、再発リスクを減らす」

断食・低カロリー療法

減量には役立つかもしれないが、それだけだとオリオーダンは言う。「(1週間のうち5日間は普通の食事をし、残りの2日間は摂取カロリーを4分の1に減らす)5:2ダイエットなどは減量には非常に効果的だが、癌は治せない」

代替療法の人気の理由

つらい化学療法や外科手術抜きで癌を治療するという考えに魅力を感じる人が多いと、オリオーダンは考えている。「怖くてたまらず、生き延びるためなら何でもしたいという気持ちは理解できる。ほとんどの癌患者は確実性と希望を求めているが、医師は確実な返事などできない」

「エル・マクファーソンのようなセレブが自分の体験談を語れば、彼女が言うのだからきっと正しいんだと誰もが考える。皆が信じるのは、この手の(代替療法の)製品の巧みな販促マーケティングと、そうした製品にすがりたい患者の思いがあるからだ」

副作用に対処し、ストレスを緩和し、自分で努力している気分になるためにCAMを利用してもいいが、「自然」だから安全とは限らないと、米国立癌研究所(NCI)は警告。代替療法を試したければリスクや副作用や費用などについて担当医に質問し、保険が利くかどうか確認するべきだという。

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