1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月13日 19時40分

コーヒーを常飲する人は飲まない人に比べ腸内の特定の細菌が8倍に FLOWTRUME/SHUTTERSTOCK

ハティ・ウィルモス
<腸内微生物叢は、消化吸収、排泄習慣や精神衛生、免疫などに大きな影響を及ぼす。このたび、コーヒーの摂取とローソニバクター・アサカロリティカスの増殖との間に強い関連があることが分かった>

コーヒーを飲む習慣が腸内で生息する微生物の種類を左右し、それが健康状態にも影響を及ぼすかもしれないとする研究がこのほど発表された。

この研究は、顧客一人一人に合った食生活を提案する新興企業、ゾーイ社の研究チームが行ったもので、ネイチャー・マイクロバイオロジー誌で発表された。

論文の共著者で、ロンドン大学キングズ・カレッジのティム・スペクター教授は、本誌にこう語った。

「(この研究は)食べ物と腸内微生物叢(そう)の間に具体的な関連があるとの見方をさらに裏付けるものだ。つまり私たちは、食べ物の選択を通して健康状態を改善するという大きな可能性を手にしている」。スペクターはゾーイの共同創業者でもある。

腸内の細菌や酵母、真菌をまとめて腸内微生物叢と呼び、その構成は人により異なる。腸内微生物叢は消化吸収、排泄習慣や精神衛生、免疫などに大きな影響を及ぼしている。

研究チームは食べ物と腸内微生物叢の関係を調べるに当たり、コーヒーに目を付けた。理由は広く飲まれていることと、心臓疾患による死亡リスクや2型糖尿病や一部の癌の発症リスクの軽減といった健康効果があるとみられること。そして他の飲食物と違って、常飲している人と全く飲まない人に分かれる傾向があることだ。

研究チームはアメリカとイギリスに住む2万2800人の詳細な食事内容を含むデータや、211の集団の計5万4200人の公開データを調べた。さらに400人の血漿データや350人以上の便のサンプルを分析。コーヒーが腸に与える影響を確かめるために、2件の実験も行った。

その結果、コーヒーの摂取とローソニバクター・アサカロリティカスという細菌の増殖との間に強い関連があることが分かった。1日に3杯以上のコーヒーを飲む人の場合、1カ月に飲むコーヒーの量が3杯未満の人と比べると、この細菌のレベルは最大で8倍に。また、コーヒーを飲む量が多い人ほど、この細菌は腸内にたくさんいた。

植物性食品を幅広く取る

試験管の中でこの細菌にコーヒーを与えたところ、細菌が成長することも確認された。

「腸内の細菌がいかに好みにうるさいかが分かるというものだ。このローソニバクターの細菌叢は、普段は休眠状態にある。コーヒーを飲んで活性化するのを待っているのだ」とスペクターは述べた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください