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住宅価格は推定2500万ドル〜7500万ドル...ロシアに亡命したアサド一家の豪華な暮らしとプーチンの意図

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 10時45分

7月24日にモスクワでプーチンと握手するアサド(左) KREMLIN PRESS OFFICEーHANDOUTーANADOLU/GETTY IMAGES

サム・ポトリッキオ
<アサド一家はモスクワ郊外の超富裕層地区で各国の亡命指導者たちと暮らすことになるだろう。プーチンがアサドに安全で優雅な生活を保障した見返りに得たものは?>

わが国はアメリカと違い、地政学上の忠実な手駒を見捨てたりしない──シリアのアサド前大統領とその家族をモスクワに迎えることで、ロシアはそんなメッセージを発した。ロシアの力を国外に広める役割を果たし終えた後でも、避難場所を与えるというわけだ。

ロシアの高官の1人、ミハイル・ウリヤノフ国際機関常駐代表はメッセージアプリのテレグラムにこう書き込んだ。「速報! バシャル・アサドとその家族はモスクワにいる。ロシアは困難な状況でも友人を裏切らない」

私の予想では、アサドはモスクワ郊外の超富裕層地区バルビハに居を構える公算が大きい。同地区の住宅価格は2500万ドル〜7500万ドルで、セルビア、ウクライナ、キルギスなどの元指導者の家族が住んでいる。

アサドを保護することには、帝国建設の野望が失敗したことをロシア国民に思い起こさせるリスクがある。ロシアはウクライナに注力しすぎた結果、アルメニアとジョージアで屈辱的な影響力低下を経験した。

ロシアにとって、シリアはアラブ中東地域で唯一の同盟国であり、アフリカでの過大な影響力を支える主要拠点だ。シリア反体制派による電光石火の勝利は、ロシアに大きな衝撃を与えた。それを察知できなかったせいで、ロシアはシリア国内の軍事施設を維持するため、敗北を認めて可能な限り最良の取引を目指すしか手がなくなった。

これは言わばロシアにとって過去3年間で2度目の重大な情報戦の失敗であり、最初の失敗──ロシアの侵攻に対するウクライナの抵抗をひどく過小評価した結果、ロシアは他の国や地域で人的・物質的な資源不足に陥った──と複雑に絡み合っている。

もしロシアがシリア北西部ラタキアの空軍基地とタルトゥースの海軍基地を失えば、アフリカ進出強化のための補給や補充がより困難になる。ロシアは2017年、両基地の49年間の租借契約を結んだ。シリア国内から仲間を失うことは、その全てを危険にさらすことになる。

他の失脚したロシアの傀儡大統領(ウクライナのヤヌコビッチやキルギスのアカエフ両元大統領)の前例を見れば、アサドとその家族を一般のロシア人が街中で見かけることはまずなさそうだ。そして彼らは警護役のロシア連邦保安局(FSB)職員の給与を含め、全ての費用を自分たちの資産から払わなければならないだろう。

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