トランプは「冷戦2.0」に勝てるのか?外交での3つの選択肢
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 16時31分
さらにトランプはNATO加盟国に「公平な分担」、すなわちアメリカに頼らずにロシアを抑え込むよう圧力をかけた。
狙いは中国との戦いに集中すること。
トランプは米軍の縮小をちらつかせる「悪人役」を演じ、「善人役」のジョージ・W・ブッシュやバラク・オバマにはできなかったことを実現した。
利己的な孤立主義と批判されがちなトランプだが、公平に見ればその批判は当たらない。
最も物議を醸すのはウクライナ戦争への対応だろう。トランプは戦闘激化の回避と早期停戦を促し、領土の譲渡を含んだ平和的解決を提案している。
批判派はトランプがプーチンにウクライナを差し出すとみているが、中国とソ連を引き裂いたニクソンの戦略の再現という見方も可能だ。
ウクライナ戦争の迅速な終結によりロシアが西側との関係を修復し、過度の対中依存を終わらせれば、西側にとっては多大な利益となる。そうなれば米中間で戦争が勃発しても、ロシアは中立の立場を取るだろう。
この戦略的思考は国際関係におけるリアリズム学派の主張とも一致する。
トランプと彼のチームが冷戦2.0を勝ち抜ける戦略家かどうか、その答えは間もなく明らかになる。
練乙錚
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
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