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「え、なぜ?」南米から謎の大量注文...トレハロース製造元が突き止めた驚きの「糖」活用法

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月19日 17時5分

ナガセヴィータの藤崎研究所では、農作物を害虫から守る微生物(バイオ農薬の一種)をトレハロースで安定化、活性化させる研究が行われている Photo:遠藤 宏

トレハロースに植物の免疫力を高めるBS効果

いま、自然負荷を考慮し、農薬・肥料は「化学からバイオへ」の切り替えが世界的な流れとしてある。バイオ農薬・肥料はヨーロッパを中心に普及し始め、一部の国・地域では法整備も進んでいる。

そうした中、ナガセヴィータは自社素材の農業用途拡大へ向け、独自調査を始めた。2023年にはブラジル・サンパウロ州立大学と共同研究を実施。同社によれば、インゲン豆を対象にした実験で、植物の生育を促しストレスを緩和する「バイオスティミュラント(BS)」の効果がトレハロースに認められた。

BSは、植物本来の免疫力を高める新しい農業資材として注目が高まっている。干ばつや塩害などの気候変動(非生物的ストレスという)、害虫や病原菌(生物的ストレス)の対策として効果が期待されている。

また、トレハロースは根粒菌だけでなく「ほぼすべての微生物の細胞を守る」(東山さん)と、幅広いバイオ農薬・肥料の安定化剤として可能性を持つ。

同社は2024年春、農業分野の新しい研究部門「バイオアグリ・サイエンスユニット」を創設。東山さんがリーダーに就き、研究・開発にいっそうの力を注いでいる。

「将来的に活用がさらに広がっていくようにアプローチしていきたいです」と東山さんは力を込める。

ナガセヴィータで農業分野の研究を率いる東山隆信さん。トレハロースの可能性に大きな期待を寄せている Photo:遠藤 宏

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