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シリア×イラン×ヒズボラ「シーア派の弧」破綻後の地政学図

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月20日 15時58分

90年に内戦が終結した頃には、シリアはレバノンの領土と内政、外政を完全に支配していた。行方不明や違法な拘束、拷問、政界の要人やジャーナリストの暗殺など深刻な人権侵害が報告された。

2005年2月、レバノンにおけるシリアの覇権に公然と反対していたラフィク・ハリリ首相が暗殺された。これにはアサドやシリア高官が深く関与したとされている。

ハリリの暗殺は「杉の革命」の引き金となり、数十万人のレバノン市民が抗議デモを繰り広げ、シリア軍は撤退を余儀なくされた。しかし、シリア政権はヒズボラを通じてレバノンの政治に干渉し続けた。

ヒズボラは政治・軍事組織へと発展し、政府にも強い影響力を持つようになり、シリアとイランの利益に反する決定をことごとく阻止してきた。

例えば、シリア政権を支持しない大統領候補を認めず、レバノンは長期にわたり大統領不在という政治的空白が一度ならずあった。

ヒズボラは、レバノン国内ではイランの庇護を受けて活動を続けられるかもしれないが、アサドの失脚で重要な補給ルートを断たれる。シリアがいなければ、ヒズボラはイランの戦闘員や武器を迅速に入手できない。

そして、レバノンとイスラエルの停戦合意は、ヒズボラの武装解除を求める国連決議にレバノンが従うことを再確認するものだ。

新しいシリアがどのような国になるかは分からないが、少なくとも今は、シリアとレバノンの国民は喜んでいいだろう。

数十年にわたる残忍な支配とヒズボラによる虐待に苦しんできた彼らにとって、多大な苦痛を与えてきた張本人は去った。

Mireille Rebeiz, Chair of Middle East Studies and Associate Professor of Francophone and Women's, Gender and Sexuality Studies, Dickinson College

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.




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