トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月21日 20時39分
木村正人
<お得意の駆け引き? 大統領選ではウクライナ支援の打ち切りもちらつかせていたが、日本にとっては国益になる方針転換とも考えられる>
[ロンドン発]ドナルド・トランプ米次期大統領の政権移行チームが今月、トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に国防費を国内総生産(GDP)比の5%に引き上げるよう要求する一方で、ウクライナ支援は継続する意向だと欧州の政府高官に伝えた。
英紙フィナンシャル・タイムズ(12月20日付)が協議に詳しい関係者の話として報じた。大統領選の期間中、トランプ氏は「ウクライナ支援を打ち切り、24時間以内にウクライナ戦争を片付ける」「NATO加盟国が国防支出を怠れば見放す」と公言し、欧州各国を震え上がらせた。
ドイツ初の女性首相として祖国を16年間導いたアンゲラ・メルケル前独首相は回顧録『自由 記憶1954~2021年』の中でトランプ氏は不動産業者のように損得勘定ですべてを見ていたと振り返っている。GDP比5%への引き上げ要求もお得意のブラフ(駆け引き)なのか。
GDP比2%をクリアするのは31カ国中23カ国
情報源の1人(匿名)はフィナンシャル・タイムズ紙に「トランプ氏は3.5%で決着をつけると理解している。国防費の増額と米国にとってより有利な貿易条件の譲歩を欧州から引き出すつもりだ」と語っている。
トランプ氏は第1次政権で当時、独首相だったメルケル氏を毛嫌いした。メルケル氏は国防費をGDP比1.2%台(現在、推定2.12%)に抑え、ウラジーミル・プーチン露大統領とバルト海の海底天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム2」計画を進めたからだ。
トランプ氏にとって、貿易黒字を積み上げるドイツはまさに「NATOのタダ乗り」だった。
2%と5%の中間は3.5%
現在、NATOの国防費目標はGDP比2%。この目標をクリアしているのはNATO加盟31カ国(軍隊を持たないアイスランドを除く)中23カ国。
ロシアがクリミアを併合、ウクライナ東部紛争に火を放った2014年に2%をクリアしていたのは米国、ギリシャ、英国のわずか3カ国だった。
24年(推定)でポーランド4.12%、エストニア3.43%、ラトビア3.15%、リトアニア2.85%、フィンランド2.41%とロシアの周辺国は一段と警戒を強めている。
英米のテレビ番組を視ていると、交渉ごとでは双方のスタート地点のちょうど中間が落とし所になることが多い。
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