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トランプのグリーンランド購入案にロシアが喝采を送る理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月25日 19時20分

トランプの暴言が大国の領土的野心に火をつける(12月22日、アリゾナ州フェニックス) REUTERS/Cheney Orr

マヤ・メララ
<戦略的な理由からグリーンランドを買いたいとするトランプの考えにロシア国営放送が初めて沈黙を破り、恐ろしい反応を示した>

グリーンランド購入に意欲を見せて論争を蒸し返したドナルド・トランプ次期米大統領に、ロシア国営放送の人気司会者ウラジーミル・ソロヴィヨフや出演者が反応した。大喜びでトランプの考えを支持したのだ。

ロシアのプーチン支持者たちが、トランプのグリーンランド購入を支持するのは意味深な話だ。トランプが他国に領土的野心を見せるなら、ウクライナを侵攻中のロシアの領土的野心に文句が言えなくなると考えたのだ。



ロシア政府はこれまでグリーンランド問題に沈黙を守ってきたが、ロシア国営放送の出演者たちは、トランプの考えは間近に迫った「勢力圏ごとの世界分割統治」実現へのシグナルと見ている。

ソロヴィヨフとゲストはこの番組で、グリーンランドを購入するというトランプの提案に喝采を送った。出演者の一人で評論家セルゲイ・ミヘーエフは、トランプの提案は、前任者たちが隠そうとしていた「いかにも米国的な覇権主義」の表れに他ならないと語った。

「『我々はすべてであり、君たちは無である』。トランプはただストレートにそう言っているだけだ」とミヘーエフは述べた。

グリーンランド問題の素晴らしい点は、とミヘーエフは言う。「米国と欧州との間にくさびを打ち込み、世界の構造を弱体化させることによって、ロシアの外交政策にある種のチャンスをもたらす点だ」



「トランプが本当に第三次世界大戦を止めたいのであれば、その方法は簡単だ。勢力圏ごとに世界を分けることだ」と付け加えた。

サンクトペテルブルク国立大学の研究者スタニスラフ・トカチェンコもまた、グリーンランドを購入するというトランプの議論を支持し、「我々は、ありのままを口に出すという新しい外交言語を教えてくれたドナルド・トランプに感謝すべきだ」と述べた。



「我々には世界をリンゴのように切り分けることはできないが、地域ごとの輪郭を描くことはできる。つまり、利害が一致する範囲の輪郭のことだ」

トランプは最近、グリーンランド購入の可能性について語り、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でも、「国家の安全保障と世界全体の自由のために、アメリカ合衆国は、グリーンランドの所有と支配が絶対必要だと感じている」と書いた。

トランプの第一期政権中に一度撃退したはずのこの考えに、デンマーク領のグリーンランドはすぐさま反発。ムテ・エゲーデ首相は、グリーンランドは「売り物ではない」と切り捨てた。



トランプはカナダを51番目の州にし、パナマ運河を米国の管理下に戻すとも発言している。

トランプがグリーンランドを購入できるかどうかは別として、彼のレトリックは、他の主要なグローバル大国の地政学的な意思決定や領土的野心に影響する可能性がある。旧ソ連諸国や旧東欧諸国に対するロシアの拡張主義的野心をさらに刺激することは間違いない。
(翻訳:ガリレオ)





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