なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健康食品」もリスク要因に【研究者に聞く】
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月26日 16時10分
ルーシー・ノタラントニーオ(ライフスタイル担当)
<「大腸がんは高齢者の病気」ではなく、若者に見つかるケースが急増している。SNSの誤情報に惑わされず、正しい知識に基づき食生活を見直す必要性>
最近の若者は心身の健康への意識が高いことで知られる。だが、あるタイプの癌については油断がある。アメリカでは20〜49歳で大腸癌が見つかる人が、この30年でほぼ倍増しているのだ。
米国立医療図書館が明らかにした2022年の調査によると、大腸癌が見つかる人は1992年は10万人当たり8.6人だったが、2018年には12.9人へと増加。
とりわけ増加が著しかったのは40〜49歳だった。また、大腸癌が原因で死に至る割合は、高齢者では低下したが、若者では10万人当たり2.8人と横ばい状態にあるという。
この傾向について、専門家もこれといった原因を特定できずにいるが、考えられるリスク要因は複数ある。そこで今回は、大腸癌にならないための生活習慣について、3人の専門家に話を聞いた。
アメリカの栄養カウンセリング会社「ゾーイ」の共同創設者で英ロンドン大学キングズ・カレッジ教授のティム・スペクターは、Z世代(1997〜2012年生まれ)とミレニアル世代(1980〜96年生まれ)の特徴についてこう語る。
「この世代は健康的な食生活への意識は高いが、それがファッション化していて、ソーシャルメディアに誤情報があふれている。そのため、どんな食生活が健康的か分かりにくくなっている」
筋肉をつけたい人が愛用するプロテインバーも超加工食品 FANGXIANUO/ISTOCK
「健康食品」にもリスク
超加工食品を大量に摂取すると、大腸癌や乳癌、膵臓癌のリスクが高まることは既に知られている。超加工食品と聞くと、ファストフードや炭酸飲料がすぐに思い浮かぶかもしれないが、プロテインバーやグラノーラなど「健康食品」とされる商品も含まれることに注意が必要だ。
アメリカ人の食生活には野菜や果物が少ない。主食は精製穀物で、揚げ物やベーコンなどの脂質の高いタンパク源と、砂糖や脂肪やナトリウムを多く含む超加工食品を、水ではなく甘い飲み物で体内に流し込んでいる。
「食物繊維は大腸癌のリスクを低下させることが分かっているが、典型的なアメリカ人の食生活は食物繊維が少ない」と、エール大学医科大学院のアン・モンジュー助教は語る。「アメリカ人は赤身肉や加工食品など、癌のリスクを高める食品も大好きだ」
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