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トランプ支持者vs.テック業界──トランプ次期政権に早くも「内紛」、対立は根深い

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月28日 17時40分

ドナルド・トランプ次期米大統領と新設される政府効率化省(DOGE)を率いるイーロン・マスク Brandon Bell-REUTERS

ジーザス・メサ
<外国人とアメリカ人のどちらを優先するのか? 就労ビザを巡ってMAGAとシリコンバレーの間で勃発した議論はアメリカ文化に関する非難合戦へ。そのカギを握るのは第1次政権でも暗躍したあの人物とイーロン・マスク>

米共和党内で、外国出身の高技能労働者とH-1Bビザ(高技能労働者向け就労ビザ)を巡る激しい議論が勃発した。これは、共和党内部とドナルド・トランプ次期大統領の支持層内で生じている深い分断を反映している。

テック業界の実業家ビベック・ラマスワミなどの支援を受けているイーロン・マスクは、以前から厳格な移民政策を主張してきたMAGA(アメリカを再び偉大な国に)の熱狂的な支持者らと対立している。

彼らは、アメリカ人から高給の職を奪っている高技能労働者に対する例外を認めるべきではないと主張している。

極右インフルエンサーのローラ・ルーマーは、インド系のスリラム・クリシュナンがトランプのAI政策顧問に任命されたことを「深く憂慮すべきこと」と批判した1人だ(クリシュナンはアメリカに帰化している)。

ルーマーはXで、多くのグローバルテック企業がH-1Bビザに従業員の確保を依存しており、その利害が、シリコンバレーがトランプ政権に及ぼす影響を引き起こしていると懸念を表明した。

最近トランプ支持に回ったテック業界の著名人らは、トランプがインドなどからの高技能労働者の受け入れ拡大を認める理由は、経済競争力であると、Xやポッドキャストで主張している。

世界一の富豪であるマスクは、個人的にも仕事上でもH-1Bプログラムの恩恵を受けてきた。

マスクは最初に渡米した際にJ-1ビザ(交流訪問者ビザ)を取得し、その後H-1Bビザに移行したという。テスラもこのプログラムを利用しており、2023年にはH-1Bビザを取得した労働者724人を雇用している。

しかし、ルーマーなどMAGAの支持者は、マスクがトランプ次期政権に与える影響は、彼自身の利益につながると考えている。

ルーマーはXで、マスクと彼の盟友であるクラウドストレージ大手Boxのアーロン・レヴィCEOやペイパル共同創業者のピーター・ティールらをやり玉に挙げ、新設される政府効率化省(DOGE)は、シリコンバレーの起業家に資金を送るための隠れ蓑に過ぎないと示唆した。

移民政策の鍵を握る「マスクvs.ミラー」

一方、マスクと共にDOGEを率いる予定のラマスワミは12月26日、「数学オリンピックのチャンピオンよりもプロム(高校卒業時のダンスパーティー)の女王をたたえ、卒業生総代よりも運動選手をたたえるような文化からは、優秀なエンジニアは生まれない」とXに投稿。

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