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トランプ政権の次期駐日大使ジョージ・グラスとは何者か?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月9日 16時0分

駐ポルトガル大使の承認手続きで証言するグラス(2017年7月) AP/AFLO

サム・ポトリッキオ
<対日外交で、トランプの「ムチ」に対してグラスは「アメ」になる? 日本と個人的なつながりを持つグラスは、一見地味だが実績ある実力派>

日本は常に最高の大使ポストの1つだ。世界有数の民主主義国家であり、アジアにおける主要な中国の牽引役という位置付けを考えれば、駐日米大使の地位が多くの利害関係者の争奪戦になるのも当然だろう。

この重要ポストにトランプ次期大統領が起用したのは、実業家のジョージ・グラス。過去の大使に比べて知名度はかなり劣るが、その性格と駐ポルトガル大使時代の実績を考えれば、大いに納得がいく人選だ。

トランプは余計な波風を立てずに強硬な外交政策を伝えられる人材を必要としている。グラスが1期目のトランプ政権で駐ポルトガル大使に指名された際、上院での承認手続きで行った証言を検証すると、この難題に最適な人物であることがよく分かる。

アメリカによる軍事的保護にもっとお金を払うべきだと日本を説得し、対中抑止の先頭に立たせる──グラスが担う主要な2つの政治的責務は、微妙なさじ加減が求められる。2017年、上院で駐ポルトガル大使に承認されたグラスは、証言の冒頭で野党・民主党の議員に深い感謝を表明した。そして日本で公職に就く可能性はなかったにもかかわらず、長男が当時日本に居住していたことにも言及した。

この一見些細な心配りが駐日大使としての行動にも生かされると、私は確信している。グラスは日本への深い愛情と尊敬の念を持ち、深刻な意見の相違がある相手とも巧みに関係を築ける大使になりそうだ。

駐ポルトガル大使時代のグラスはポルトガルの指導者たちに対し、米中のどちらかを選ばなければならず、誤った選択をすればアメリカの怒りを買うと宣告したが、それでも同国政府から高い評価を得ていた。同じ共和党出身の駐日大使経験者であるハガティー上院議員は、グラスの起用を「素晴らしい人選」と評した。

トランプはグラスの指名を発表する際、実業家としての成功を強調した。トランプの世界観の大半は30代だった1980年代に形成された、という見方に私は強く共感する。日本経済がもうすぐアメリカを追い抜くと懸念されていた時代だ。この説が正しければ、トランプは日本の経済力に対する恐怖と敬意を今後も持ち続ける。

グラスは駐ポルトガル大使の承認手続きの際、冒頭の証言で将来有望な起業家と仕事をするのが楽しみで仕方がないと強調した。経済規模を考えれば、日本に対する期待と興奮は当時をはるかに上回りそうだ。

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