日本の「人口減少」に海外注目...米誌が指摘した「深刻な問題点」とは?
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月8日 13時0分
日本の労働力人口が急減し続ける中で、2040年までに外国人労働者の数を3倍にまで増やしたいと政府当局は考えている。
ワークライフバランスの改善
働き手に過労を強いる日本の労働文化は、かなり以前から、子どもを持つことを阻害する要因として指摘されてきた。この傾向は特に、キャリアにおけるチャンスを逸することを恐れる女性の間で顕著だ。東京都は2025年4月から、16万人強の都職員に週休3日制を導入する方針だ。これとは別の政策として、小学校1〜3年の子どもを育てる都職員が、減給と引き換えに1日最大2時間勤務時間を短縮できる「子育て部分休暇」の制度も導入される。
オックスフォード大学インターネット研究所/AI倫理研究所の准教授で、日本の労働慣行が社会に及ぼす影響を研究しているエカテリーナ・ヘルトグなど複数の専門家は、より多くの男性が進んで子育ての務めを担わない限り、本当の意味での変化は起きないと警告している。
これは、男性も取得できる12カ月の育児休暇を活用することを意味する。ある研究によると、実際にこの休暇を取得した男性の割合は、2019年の時点でわずか3%強にとどまっているという。
婚姻数の減少
もう1つの課題は婚姻にある。日本をはじめとする東アジアの社会では、出生数と婚姻件数の間には高い相関性がある。日本人の婚姻件数は2023年、この90年間で初めて50万組を割り込んだ
ヘルトグは婚姻制度に関して、伝統的な価値観がいまだに強い影響を及ぼしている点を強調した。
「日本や韓国における婚姻件数の推移は、経済状況や、それに関連する男女の役割分担によって顕著な影響を受けている」と、ヘルトグは本誌に語った。ヘルトグは、「男性が一家の大黒柱になるべきという伝統的な価値観」を例に挙げ、低収入の男性たちが、結婚を先延ばししたり、完全にあきらめたりする傾向がある点を指摘した。
「その他の重要な要因としては、『子どもが年老いた親の面倒を見るべき』とする、家庭に関する規範がある。そして、数十年にわたって出生率が低い状態が続く社会で、こうした規範に沿った交渉が難しくなっている点が挙げられる」と、ヘルトグは付け加えた。
老親介護の責任は、伝統的に長男とその配偶者に課せられてきた。だが、若い世代の女性たちには、義両親よりも自身の両親を優先したいという希望があり、軋轢が生じる場合もある、とヘルトグは指摘した。
(翻訳:ガリレオ)
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