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英独の極右を支持して憎悪を煽るトランプの「右腕」イーロン・マスク

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月7日 20時41分

イーロン・マスクのXアカウントとドイツの極右政党AfDのロゴ(イメージ) Jonathan Raa / Sipa USA

ピーター・エイトケン
<トランプの大統領選勝利に貢献して最側近の地位を手に入れたマスクが、早くも大きな政治力を行使しはじめた。なぜここまでヨーロッパの極右を支持するのか、現地政界は警戒を強めている>

実業家で大富豪のイーロン・マスクは、2025年1月20日のドナルド・トランプ2期目の大統領就任式へ向けてますます政治的な影響力を行使しはじめた。イギリスの極右活動家の釈放を求めたり、ドイツの極右政党を支持するなど、その言動は海外の同盟国にまで及んでいる。

テスラの最高経営責任者(CEO)でスペースXの創業者マスクは、2024年の米大統領選挙期間中に多額の献金でトランプ勝利に多大な貢献を果たしてから、米政界で急速に頭角を表した。新政権では政府のムダ削減を担う「政府効率化省(DOGE)」の共同トップに就任する。昨年末には早くも「無駄が多過ぎる」という鶴の一声で米議会のつなぎ予算案を葬って見せ、世界を驚かせた。

マスクがいま目を付けているのは、大西洋を挟んだドイツとイギリスだ。それも両国の極右を支持して世論を扇動し、ドイツでは、近く行われる総選挙の結果にも影響を及ぼすかもしれないと言われる。

マスクは2024年12月、英右派野党「リフォームUK」に1億2700万ドル以上を献金することを検討中だと報道された。一方、ドイツに関しては、ドイツを救えるのは極右野党「ドイツのための選択肢(AfD)」だけだと述べた。AfDは「右翼の過激派」だ、という一般的な評価をマスクは否定している。



新年早々の1月6日にはイギリス政府に矛先を向け、服役中の極右活動家トミー・ロビンソン(本名スティーヴン・ヤクスリー=レノン)の釈放を求めた。

ロビンソンは、人種差別主義的で反イスラムとされる極右政治団体「イングランド防衛同盟(EDL)」の一員で、イギリスの著名な極右活動家のひとりだ。

ロビンソンは現在、法廷侮辱罪で禁錮1年6カ月の実刑判決を受け服役している。シリア難民に対する恐怖と怒りを煽る虚偽発言で2021年に名誉棄損で有罪になったが、それでも執拗に偽の主張を繰り返した。ロビンソンが服役するのは今回で5度目だ。

マスクは1月3日、トミー・ロビンソンが登場する1時間45分のドキュメンタリー動画を丸ごとX(旧ツイッター)に投稿し、「トミー・ロビンソンを釈放せよ!(Free Tommy Robinson!)」と訴えた。

米政治メディアのポリティコは、マスクのロビンソン支持にショックを受けた多数の英国会議員の話を伝えている。匿名希望のある労働党議員は、マスクの発言を「危険だ」と述べ、別の議員は「人を巧みに操るレトリックだ」と呼んだ。

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