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「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人気ゲームを直撃した「スパイ疑惑」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月8日 14時44分

どうやらエネルギー省の防諜責任者たちは(固定された)ポケストップと、アプリの入ったスマホが近くにあれば神出鬼没のポケモンたちを混同していたようだ。

同省の一部の施設では、とんでもない場所にポケモンが現れ始めた。

電子盗聴防止施設に出現

エネルギー省のスパイ探しは、機密情報隔離施設(SCIF)──機密情報について話し合うため電子盗聴を防止するべく特別に設計された施設──付近でレアなポケモンが大量に出没していることに注目した。

SCIFに入る際は、デジタルスパイ行為防止のため外に用意された保管容器にスマホを預ける。

セキュリティー担当者が「SCIFの件は、預けられた(ポケモンGOのアプリを入れた)スマホによって、これらの施設はカフェなどポケモンGOのプレイヤーがよく出入りする場所だと(ゲームの)アルゴリズム(処理手順)に誤解されたせいだと突き止めた」と、同省の元高官は言う。

調査の結果、不正は見つからなかった。それでも狼狽した当局者らは、エネルギー省の施設内でポケモンGOをプレイできないようにしてくれと、マゴーワンに依頼したという。

「『GPS座標で管理するので座標は必要だ』などと返事をし、あとはナイアンティックに任せた」とマゴーワンは振り返る。エネルギー省の広報もそのとおりだと認めた。

爆発的ブームは16年以降下火になっているものの、ゲーム自体の人気は根強く、22年のプレイヤー数は世界全体で推計6200万人に上った。

国家安全保障関連の懸念も薄れてきた。米当局の注意の対象が、中国発の動画投稿アプリTikTok(ティックトック)など他のデジタルプラットフォームによるスパイの脅威(と彼らが呼ぶもの)に向かったからだ。

今となってはポケモンGOをめぐる懸念は事実無根に思えるし、当時の狼狽ぶりも滑稽だが、ゲームをめぐる警鐘が監視資本主義時代における深い憂慮の証しであることに変わりはない──危険を知らせる「炭鉱のカナリア」ならぬ「炭鉱のチャリザード(リザードン)」だ。

『ポッ拳 DX』バトルポケモンを紹介! 「大きな翼で空を飛び、灼熱の炎で攻撃」リザードン! 超強烈な火力を活かして、パワーバトルを制しよう! https://t.co/dvz2BDJaXG #ポケモン #ポッ拳DX pic.twitter.com/6UruDioRwb— ポケモン公式 (@Pokemon_cojp) August 3, 2017 リザードン ポケモン公式Xより

ポケモンGO騒動はある意味、歴史的でもあった。地理位置情報とカメラの使用と「大衆受けして防諜リスクのある」個人のユーザーデータに基づく「広く利用されている初めてのARゲーム」だったと、ある元CIA職員は語った。

ポケモンGOがアメリカの国家安全保障にこれまでにない難題を突き付けたとしたら、それはゲームデザイナーの責任ではない。善くも悪くも、今では私たちのスマホが私たちの現実だ。

その現実をこのゲームは世界の数億人にとって多少なりとも生き生きと魅力的にしたのだ。

From Foreign Policy Magazine

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