トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくないんです
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月9日 12時0分
キャサリン・ファン
<ドナルド・トランプ氏が再びグリーンランドの取得を目指す背景には、その「巨大さ」への認識が影響しているのだろうか。実は、地図が描くグリーンランドの姿には大きな誤解が隠されている>
次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏が最近、グリーンランドの取得に対する決意を復活させたことが注目を集めている。その理由として、彼がこの自治領を「巨大」だと考えている可能性がある。
しかし、グリーンランドは多くの地図に描かれているほど大きくはない。
18世紀以来、標準的な地図投影法として使われているメルカトル図法では、赤道から離れるほど陸地が大きく歪んで見える。このため、南極大陸やグリーンランドは実際よりも大きく見え、特にグリーンランドは多くの地図でアフリカとほぼ同じ大きさに描かれている。しかし、アフリカの実際の面積はグリーンランドの14倍もある。
では、グリーンランドの本当の大きさはどれくらいなのか? グリーンランドの面積は、コンゴ民主共和国とほぼ同じで、わずかに小さい程度だ。
重要性
トランプ氏は、第1期の大統領任期中にグリーンランドの取得を提案した際、島の大きさがその理由の一部だったと、2021年にジャーナリストのピーター・ベイカー氏とスーザン・グラッサー氏に語っている。
「地図を見てごらん。私は不動産開発者だ。建物を建てる時に『この角の店舗を手に入れなきゃ』って考える。地図を見るのも似たようなものだ」とトランプ氏は述べた。
「私は地図が大好きなんだ。そしていつもこう言うんだ。『この大きさを見てくれ。とてつもなく大きい。これはアメリカの一部であるべきだ』とね」
2019年には、記者に対してグリーンランドの購入について「これは本質的に大規模な不動産取引なんだ。やれることはたくさんある」と語った。
知っておくべきこと
面積83万6000平方マイルのグリーンランドは、アメリカ本土の約4分の1の大きさだ。
「グリーンランドは世界最大の島だが、アメリカ本土よりはるかに小さい」と、コロラド大学ボルダー校の地理学教授で、国立雪氷データセンター の所長であるマーク・セレーズ氏は本誌に語った。
「メルカトル図法でグリーンランドを見て、それが巨大だと思う人は地理の補習が必要だ。私が喜んで教えるよ」と彼は続けた。
さらに、近年、北極圏の資源や戦略的な航路を巡って競争が激化しているが、「国が領土を主張するための土地はもう存在しない!そういった活動はずいぶん昔に終わった」と述べた。
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