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「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月16日 18時9分

無名に戻れるボタンがあるなら、それを押したいね。プライバシーはあったほうがいい。

私が本格的に始めた頃は、(プロのゲーマーなんて、という)疎外感があったけれど、今は全く違う。これはドータ2の開発元であるバルブといった企業のメディア戦略によるところが大きいと思う。彼らはeスポーツのイメージアップに大きく貢献した。

個人的に今までで一番うれしかった瞬間は、自分が立ち上げたチーム「OG Eスポーツ」が第8回TIに優勝したときだ。本番で最高のパフォーマンスができるように、チームで拷問に近い努力をしたから、夢に見た以上の結果を出せたときは恍惚とした。

N0tailが設立した「OG Eスポーツ」が優勝した第8回ザ・インターナショナル決勝戦の様子

今までで一番落ち込んだのは、所属していたチーム「クラウド9」を辞めた2015年かな。第5回TIに向けて半年近く準備をしたのに、ひどい成績に終わった。クラウド9に参加したときはそんなことになると思ってもいなかったから、最悪の気分だった。

1年くらい休みを取って、ゲームから離れようかなとも考えた。でも、結局その年のうちにOG Eスポーツという自分のブランドを立ち上げた。そのことはとても誇りに思っている。あのときゲームから離れていたら、今頃どうなっていたかと思うよ。

大会の運営には不満も

実は、この2年ほどドータを全然やっていない。プロとして散々やってきたから、遊びでやる気にはなれないんだ。

キャリア通算獲得賞金が700万ドルを超えて、最も稼いでいるeスポーツプレーヤーという称号をもらったけれど、そのタイトルを必死に守りたいとは思わない。重要なのはタイトルではなく、勝つこと。

ゲームで設定された目標を分析して実行する能力が、自分にあることだ。

でも、世界中を転戦するのはつらかった。場所を変えるのは楽しいけれど、移動は面倒で疲れる。飛行機も空港も嫌いだし、(コロナ禍のとき)あれこれ検査されるのも嫌だった。食生活を変えるのも好きではない。

大会は毎年同じ場所で開催されるほうがいい。プレーヤーはあちこち移動しなくていいし、ファンの関わりも強まるだろう。主催者だってそのほうが楽だと思う。TIが何年か連続でシアトルで開催されたときは本当によかった。

eスポーツの頂点に立つためには、多くの犠牲が伴う。ゲームが楽しかったときは、人生のいろいろなことを諦めた。多くの喜びを得たから後悔はないけれど、今は違う。自分自身と、自分にとって大切な人たちや物事を優先したい。もっと自分に時間を与えて、普通のスケジュールで生活できるようにしたい。

もちろん今も、OG Eスポーツのメンバーとすごいことを成し遂げたいと思っている。彼らに私と同じ経験、あるいはもっとすごい経験をしてほしい。彼らには最高のチャンスが与えられていると思ってほしい。

私は競争が好きだ。チームのメンバーの能力を限界まで押し上げたいし、そのために自分の経験を伝えていきたい。これは天職だと思う。

ゲーム配信をするN0tail

N0tailが設立した「OG Eスポーツ」が優勝した第8回ザ・インターナショナル決勝戦の様子

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