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中国の特色ある観光公害......「強制消費」とは何なのか?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月21日 18時17分

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

風刺画で読み解く中国の現実
<中国の観光で「ぼったくり」が横行している。だから中国人の目には日本観光の「おもてなし」が新鮮に映るのだが、客に「強制消費」を強いる中国人ガイドをサポートする組織がある>

今年の新年に中国のSNS上で「どうすれば中国の先進的な経験を日本の観光業で生かせるか」という投稿がシェアされた。

「まず、都市の中心部から富士山まで有料直通道路を造る。次に、富士山から20キロ離れたところにビジターセンターを建てて、観光客を高料金のバスで山に連れていく。お土産店では、富士山と関係ないブレスレットやヒスイのペンダントを高額で売る。もちろん、高額なネットセレブ向けホテルも不可欠だ」

一見、日本の観光業への不満かと思うが、内容をよく読むと、中国の観光業を風刺する投稿であることが分かる。観光客を囲い込み、高額な料金を請求する中国の観光業と比べ、日本での旅行は想像を超える「おもてなし」を楽しめる。世界遺産や有名社寺・仏閣の入場料も手頃だ。

中国のSNS上で「景点(観光スポット)」「強制消費」と入力すると、関連する記事が大量に出てくる。最近、黒竜江省の雪の観光途中で、客を脅迫して強制的に有料オプショナルツアーに参加させたとして、ツアーガイド3人が懲役7カ月の判決を受けた。中国政府はこういう一罰百戒の手法でぼったくりを取り締まるつもりだが、大した効果はないだろう。

湖南省の世界遺産・張家界には毎年観光客が絶えないが、入場料は信じられないほど高い。まず、「張家界国家森林公園」に入るための入場料だけで225元(約4800円)。公園に入ってからも、19カ所の観光スポットで、それぞれ76元(約1600円)や308元(約6500円)といった入場料が必要。全てのスポットを回ると総額は3500元(約7万4600円)だ。

観光収入は地方政府の重要な財源

しかし、このような高額観光も地方政府のサポートがあってこそ。観光収入は地方政府の財源の1つなのである。地方政府こそが地元の法律だから、観光客を囲い込んで高額な入場料を要求することは当たり前。これは中国の特色ある「観光公害」といえるだろう。

日本は「リピート文化」の国だ。繰り返しの中で人と人、人と土地の信頼関係を構築し、その絆を綿々と続けていく。これは、常に目の前のことしか考えない中国の「使い捨て文化」とは全く違う。この文化を根本からなくさない限り、中国の観光公害はなくならないし、信頼ある社会も構築されない。

ポイント

強制消費
格安ツアーで集めた客に、高額な買い物やオプショナルツアーを迫る悪質な行為。雲南省を訪れた中国人旅行客が寝具店に閉じ込められ、マットレス購入を迫られたケースも。

張家界
湖南省北西部にある観光都市で、独特の石柱が立ち並ぶ武陵源が有名。珪岩でできた石柱のほとんどが高さ200メートル以上。山頂に穴の開いた「天門山」も名所として知られる。


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