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「外国人」の不動産購入に100%課税...地元住民を守る「スペイン方式」を日本も見習うべきか?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月23日 18時47分

kavalenkava/Shutterstock

木村正人
<短期滞在の観光客向け賃貸物件にする目的で、外国人による不動産投資が急増。住宅費高騰が地元住民を駆逐する事態を招いてきた>

[ロンドン発]太陽の光が燦々と降り注ぎ、地中海に面するスペインは天候に恵まれない英国人にとって別荘を買いたい憧れの「太陽の国」。しかしスペインのペドロ・サンチェス首相は非居住の欧州連合(EU)域外国籍者による不動産購入に100%の税金を課す方針を表明した。

ご存知の通り、英国は2020年1月末にEUを離脱した。サンチェス首相は「前例のない措置は住宅危機に対処するために必要だ。西側諸国は決定的な課題に直面している。富裕な地主と貧しい借家人という2つの階級に分断された社会にならないようにすることだ」と述べた。

非居住のEU域外国籍者による不動産購入は23年、スペインでの全不動産取引58万3000件のうち2万7000件を占めた。「住むためではなく、利益を得るためだ。われわれが直面している住宅不足の状況ではそれは許されることではない」とサンチェス首相は語気を強めた。

外国人投資家の需要が地元住民を駆逐する

スペインでは1年間に183日未満しか同国内に居住しない場合、非居住者とみなされる。少数政権のサンチェス首相の政権基盤は不安定だ。そのため議会に提出して100%課税を実施するまでの日程はまだ明らかにされていない。

この処置が実施されれば非居住のEU域外国籍者による不動産購入価格は実質的に2倍になる。スペイン国民向け住宅を確保するため、非居住のEU域外国籍者や外国資本による投機的な不動産投資を冷え込ませ、不動産価格の高騰を抑えるのが狙いだ。

大量のインバウンドを狙った短期滞在の観光客向け賃貸物件がマドリードやバルセロナなど大都市の住宅費高騰を招いている。外国人投資家による需要の高まりは、その地域に長年住んできた地元住民を駆逐する事態を招いている。

公営住宅の増設、賃貸住宅優遇策も

外国人所有の物件が長期間空き家のまま放置され、住宅不足の一因になっているとの指摘もある。住宅市場への外国資本流入による弊害から自国民を守るため、サンチェス政権は公営住宅の増設、手頃な家賃で住宅を貸し出す大家に対する税制優遇も約束している。

格安航空の普及、中国やインドなど新興国の中流階級増加、ソーシャルメディアによる人気スポットの拡散で特定の目的地への訪問者数が押し寄せるオーバーツーリズムが世界各地で住宅問題を引き起こす。特に海辺のリゾート都市など観光地でその傾向が顕著になっている。

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