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世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月25日 8時0分

毎朝のコーヒーが心疾患のリスクを減らすかも MARIA KORNEEVA/ISTOCK

ハティ・ウィルモス(食品・栄養担当)
<4万人以上を対象とする調査で「コーヒーを飲むタイミングとそれが健康に及ぼす影響」が検証された。驚きの調査結果は――>

朝コーヒーを飲むと、他の時間帯に飲んだり、全く飲まない場合より心臓の健康を維持しやすい──そんな調査結果が1月7日に欧州心臓病学会の学会誌で発表された。

この論文はアメリカの複数の大学の研究者によるもので、1999年から2018年にかけて全国健康栄養調査に参加した4万人以上の成人を対象に、朝に飲むコーヒーが心臓の健康と死亡リスクに及ぼす影響を調査した。

調査開始後10年間の死亡記録を調べたところ、(特に心疾患による)死亡リスクとコーヒーの飲用習慣との間に関連性のあることが分かった。

「コーヒーを飲むタイミングとそれが健康に及ぼす影響を検証した初めての成果だ」と、この研究を率いたチュレーン大学(ニューオーリンズ)のル・チー教授は述べた。

米疾病対策センター(CDC)によれば、心疾患はアメリカ人に最も多い死因で、毎年80万人以上が死亡している。

朝以外は健康効果なし

今回の研究では、朝コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて、何らかの理由で死亡する確率が16%低く、特に心疾患で死亡する確率は31%も低いことが明らかになった。

一方、午後以降の時間帯にコーヒーを飲む人では、リスクの低下が認められなかった。また毎朝コーヒーを1杯だけ飲む人より、2杯あるいは3杯と飲む人のほうが死亡リスクは低かったという。

「ただし、コーヒーを飲むと心疾患による死亡リスクが低下する医学的な根拠は得られてない」とチーは述べた。「考えられるのは、午後や夕方にコーヒーを飲むとメラトニンのようなホルモンの分泌に乱れが生じる可能性だ。これが心血管リスク因子の変化につながると考えられる」

メラトニンの分泌量は時間帯によって異なり、朝は低く、寝る時間に近づくと高くなる。私たちの体内では、こういう24時間周期の変化がいろいろ起きている。だから夜の遅い時間帯にコーヒーを飲むと、眠気と覚醒の自然なリズムが乱れ、睡眠の質が低下し、結果として心疾患のリスクが高まるのかもしれない。

しかし、こうした観察的な研究だけでは朝のコーヒーと心疾患のリスク低下の因果関係は分からない。「この調査結果が他の集団でも確認されるかどうか、さらなる研究が必要だ。コーヒーを飲む時間帯の影響を検証するためには臨床的なテストも必要になる」とチーは述べている。

なおこれとは別に、コーヒーの飲用と発癌リスクの低減、2年ほどの寿命延長との相関を指摘する研究もある。

英ロイヤル・ブロンプトン・アンド・ヘアフィールド病院所属の心臓専門医トーマス・リュシャーは「(この論文で)特に朝のコーヒーが健康に良いということを示す相当な証拠が得られた」と述べ、こう呼びかけた。

「さあ、コーヒーを飲もう。ただし朝のうちに!」

【参考文献】
Wang, X., Ma, H., Sun, Q., Li, J., Heianza, Y., Van Dam, R. M., Hu, F. B., Rimm, E., Manson, J. E., Qi, L. (2024). Coffee drinking timing and mortality in US adults, European Heart Journal, 00, 1-11.

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