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フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ紙から見えた「まだマシ」な日本のメディア風景

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月27日 11時9分

今回のAIイラスト:問いただせなければ会見じゃない! AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA STABLE DIFFUSION

プチ鹿島
<中居正広氏のトラブルでフジテレビが動いたのは米投資ファンドによる「外圧」だけではなかったのでは、と新聞15紙を読み込む時事芸人のプチ鹿島さんは指摘します>

1月17日にフジテレビ社長の記者会見が行われた。タレントの中居正広氏が女性と「トラブル」があった問題(中居氏は引退を発表)で、同社社員が関与したと報じられていたからである。

会見での不十分な説明についてはデイリースポーツのフジテレビ担当記者が「フジ会見にモヤモヤ感 より開けた場で"真実"を明らかに」(1月18日)と疑問視した(編集部注:1月27日にフジテレビは再度記者会見を開催)。

しかし会見場に入れた記者はまだいい。会見に参加できたのは新聞社などが加盟する記者会の加盟社ほか、テレビ局だけ。しかも動画撮影はNG、写真撮影も冒頭のみ。メディアとしての自己否定にしか思えない。

「狭い範囲」では絶大な権威を持つ様子が垣間見えた。だがこうした人たちは「グローバル」には弱い。フジが会見を開くと言い出したのは次の影響がどう見ても大きかったことは書いておきたい。

「中居騒動 米の株主がフジに激怒 投資ファンドが第三者委設置を要求」(日刊スポーツ 1月16日)

米投資ファンドのダルトン・インベストメンツは関連会社を通じて「貴社株式の7%以上を所有する大株主として、憤りを禁じ得ない」と発表。これを受けフジは慌てて会見したように見えた。

ジャニー喜多川氏の性加害問題も、英BBCが報じて動いたことは記憶に新しい。国内では絶大な力を持ち、スンとしてきた人たちが「外圧」で途端に動き出す。今回で何度目だろう。

もう一点、書いておきたいことがある。フジの現場には悔しがっている社員たちもいるのではないか?

東スポWEBにこんな記事があった。

「中居正広トラブル拡散は『局内クーデター』だった! フジ社長会見に社員どっちらけ」(1月18日)

記事では「フジ局員の話」としてコメントが紹介されている。

「局員たちの認識は、港社長の会見での答弁と真逆です。歴代の幹部によって女性アナが接待に駆り出されることが常態化していたと思っています。そういった局員たちは義憤にかられ、中居さんの今回の女性トラブルにA氏が関与した可能性があると周囲に伝え、それが加速度的に拡散していったんです」

週刊誌に今回の件が伝わったのは社員たちの義憤という解説だ。そう考えると「示談したのになぜ漏らすのだ」という被害者へのバッシングがいかに的外れかが分かる。

本来は自分たちで会社や上層部の醜悪な行いを追及できれば理想的だ。しかしそれが無理なら週刊誌へというのはある意味最後の一手で、「公益通報」なのかもしれない。

もちろん週刊誌は正義の集団ではなく商業誌でもある。だからここにイラッとする人もいて「何でもかんでも書くな」などの批判もある。でもこうした機能が働いているのはまだマシでは?

今回の件が公になってホッとしているのはフジテレビの真っ当な人たちかもしれない。そういう想像力も必要なのではないか?

ダメな上層部に効果的なのは「海外」からの忠告だけではない。「下からの声」だって有効なのだと思う。

芸能情報が豊富なスポーツ紙を読み比べてそんなことを感じたのだ。

※イラストは編集部の新しい試みとして画像生成AI「Stable Diffusion」で作成されています。

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