ロシアの学校は「軍事訓練場」に...戦争長期化で進む「子供の兵士化」教育、授業風景の映像
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月26日 13時15分
マヤ・メーララ
<子供を訓練キャンプに参加させるプログラムを拒否した場合には罰金も。ウクライナとの開戦後、ロシアの学校でのプロパガンダ教育は量も質も大きく変化した>
ロシアの学校で近年、「ロシア政府のプロパガンダ(宣伝活動)」を教える時間が急増している。愛国心や伝統的価値観などを教えるだけでなく、子どもたちに実際にほふく前進や銃の撃ち方のトレーニングを行うなど、学校はまるで軍事訓練のキャンプのような有様に。実際の授業風景が撮影された映像はSNSでも拡散され、「洗脳だ」「病んでいる」などと批判の声が高まっている。
■【動画】幼い生徒が授業中に銃撃を練習...「兵士不足」ロシアが進める「子供の兵士化」、訓練の授業映像
2024年度の教育カリキュラムに含まれたプロパガンダ授業の一つが「軍事訓練および軍事知識の基礎」で、これは子どもたちに戦争の備えをさせる内容だ。ロシアの独立系メディア「アゲンツトヴァ(Agentstvo)」の分析によれば、8年生から10年生の生徒は軍事キャンプに送られるという。
学校で子どもたちに銃の撃ち方を教えている事実は、ロシアが将来の戦闘部隊を準備していること、そしてロシア軍が現在深刻な人員不足に直面していることを示唆している。ロシア政府は、ウクライナとの戦闘が今後数年間にわたって続く可能性に備えていると考えることもできる。
子供の訓練キャンプ参加を拒んだ親には罰金
アゲンツトヴァの分析では、2025年度にロシアの学校がプロパガンダ教育に費やす時間は前年度の2倍に増え、年間の授業時間1万1000時間のうちの1300時間に達する見込みだ。ウクライナとの戦闘開始以降、ロシアの教育機関におけるプロパガンダ教育は変化しており、中でも最も大きな変化がみられるのが防衛についての教育だ。
軍事訓練は2023年、高学年向けの必須科目「生命の安全」の一環として導入された。その後これが「祖国の安全保障と防衛の基礎」と名前を変え、「軍事訓練および軍事知識の基礎」などの授業が設けられた。この授業では生徒が軍隊や武器、軍の装備などについて学ぶ。
ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」によれば、14~17歳ぐらいの子どもを訓練キャンプに参加させるプログラムでは、親がそれを拒否した場合、軍の「評判を傷つけた」罪で罰金を科されることになる。
ロシアの学校におけるプロパガンダ教育は軍事訓練にとどまらない。アゲンツトヴァによれば、2025年度の授業時間のうち12%がロシア政府の思想を教えるために費やされることが分かった。
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