1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月28日 20時35分

そして、私と同じように被害女性に課せられた賠償金を「少しぐらいなら払ってもいい」と思える人が10人、20人、あるいは100人、200人と集まれば、口外禁止条項など怖くないはずだ。中居正広が被害女性に賠償金を要求するのであれば、それは私たちが弁護士費用も含めて全額肩代わりすれば良い。いや、肩代わりする義務がある。法的な義務はないが、道義的な義務がある(あるいは、フジテレビこそ肩代わりすべきかもしれないが)。

現実的には、中居正広が損害賠償まで請求するとは考えにくいが、「身銭を切ってでもあなたを守る」という世論が背景にあるだけで、彼女の精神的負担はかなり軽くなる。そもそも、「トラブル」の存在が明らかとなった今となっては、口外禁止条項の不履行によって生じる賠償金は、それほど大きくならないのではないか。

被害者が「匿名」を求める理由

会見では、「被害者のプライバシー」を盾に明言を避けるシーンや、音声を消す場面が目立った。それらは本当に被害者のプライバシーのためだったのか。当日は、フジ・メディア・ホールディングスの事実上のトップであり今なお隠然たる権力を有する日枝久取締役相談役の欠席が、今のフジテレビの置かれた状況の異様さを物語っていた。

フジ幹部が何度も「被害者を刺激したくない」と言っていたのは、心の底では本当は「日枝さんを刺激したくない」、「中居さんを刺激したくない」と思っていたからではないか。実際、そう読み替えるとフジ幹部の発言はきれいに辻褄が合う。

性被害に遭った者が「匿名」を求めるのはごく当たり前だ。残念ながら、現在の日本社会は被害者に対する差別が横行している。ネット世界は言うまでもないが、現実社会のなかでも被害者は色眼鏡で見られ、生活にさまざまな不都合が生じてしまう。性被害が特に顕著だが、他の犯罪被害も同様だろう。

理想論を言えば、私はいつか性被害にあった人間が実名で被害を公表しても、何一つ不利益を受けることのない世の中になればいいと思っている。勇気のある人間しか被害を言い出せない今の世の中は、おかしいのだ。

とはいえ、現状では被害者は匿名でなくてはさまざまな差別や誹謗中傷を受けることになり、不利益が生まれる。悲しいことではあるが、被害者の匿名性を守ることは絶対に必要だ。

だが、「匿名なら自分の受けた被害を語ってもいい」と考える人は、少なからず存在する。実際、新聞テレビなどでも匿名であれば報道されるケースが多い。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください