中国発DeepSeekの戦略思考に、輸出規制一辺倒のアメリカは勝てるのか【トランプ2.0】
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月29日 16時7分
ディープシークの魅力は、R1推論エンジンに支えられた消費者向けの無料利用モデルにある。このモデルは最小限の計算リソースで高いパフォーマンスを達成するため強化学習を統合している、と言われる。
ディープシークは、梁のヘッジファンド幻方(High-Flyer)が資金提供するR&D部門として誕生した。ディープシークの躍進は、地政学的な課題に対する同社の型破りな解決策によるところも大きい。
たとえば、2022年10月のアメリカの輸出規制は、中国のAI開発を厳しく抑制する恐れがあった。だが、ディープシークはエヌビディアのH100チップを1万個備蓄しており、それを使用して作業を続けたという。
利用者に月額20ドルから200ドルを請求するオープンAIとは異なり、ディープシークは個人ユーザーには無料でプラットフォームを提供し、開発者にも100万トークンあたり0.14ドルしか請求しない。オープンソースのディープシークが中小企業や開発者の人気を博しているのはそのためだ。
DeepSeek-R1は、推論と数学的問題解決においてオープンAIの最新モデル「o1」に匹敵するといわれている。チャットGPTよりも効率的にプログラミング言語バイソンのコードを生成するこのプラットフォームの能力は、ネット掲示板レディットのようなコミュニティでテクノロジー愛好家の議論の的になっている。
認知科学者で『リブーティングAI』の著者であるゲイリー・マーカスは、本誌にこう語った。「まだ誰も完全な成功は達成していないか、近いうちに達成するという状態だ。そして中国は、まだ欠陥だらけとはいえ、流行りの生成AIでアメリカに追いついたといえそうだ」
サンフランシスコの人工知能企業スケールAIのアレクサンドル・ワンCEOは、Xにこう投稿した。
「ディープシークはアメリカに対する警鐘だが、戦略変更を迫るものではない。アメリカは技術革新で先を行き続けるために半導体の輸出規制を強化し、将来の優位的立場を維持できるようにするべきだ。 AIにおける大きなブレークスルーは、すべてアメリカが成し遂げてきたことを忘れてはならない」
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