アメリカで罪を犯した不法移民は「グアンタナモ強制収容所」送りの恐怖【トランプ2.0】
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月30日 16時36分
ゲイブ・ウィズナント、ジーザス・メサ
<ジョギング中に不法移民に殺害された看護学生の恨みを晴らすには悪名高いグアンタナモ強制収容所がぴったりだと悦に入るトランプに震え上がる移民たち>
ドナルド・トランプ米大統領は1月29日、罪を犯した不法移民の拘束を義務づける法案に署名した。この「レイケン・ライリー法」は第2次トランプ政権発足後、初めて成立した法律となった。
トランプは法案の署名に先立ち、キューバのグアンタナモ米海軍基地に不法移民最大3万人を収容可能な施設を設置するよう指示した。
トランプは就任以降、不法移民を標的にした強制捜査を行ったり軍用機で強制送還したりするなど、取り締まりを強化している。米南部ジョージア州で不法移民に殺害された看護学生の名前を冠した「レイケン・ライリー法」について、トランプは「画期的な法律」であり、亡くなった看護学生への「素晴らしいはなむけ」になると語った。
ライリー(当時22)は2024年2月、ジョギング中に殺害された。彼女を襲ったベネズエラ人の不法移民ホセ・アントニオ・イバラは殺人や加重暴行などの罪で2024年11月に有罪判決を受け、仮釈放なしの終身刑を言い渡された。
レイケン・ライリー法は窃盗や暴力的な罪に問われた不法移民について、有罪判決を受ける前でも身柄の拘束や場合によっては強制送還を義務づける内容だ。
アメリカでは1994年〜1996年にかけて、当時のビル・クリントン政権がキューバおよびハイチ出身の移民数千人をグアンタナモ米海軍基地で拘束して物議を醸したが、今回のトランプの発表は、この戦略を復活させて不法移民対策を大幅にエスカレートさせるものだ。
「彼らをグアンタナモに送る。ほとんどの人は知らないだろうが、グアンタナモには米国民を脅かす最悪の不法移民の犯罪者を収容するためのベッドが3万床ある」とトランプは述べ、不法移民のグアンタナモ移送は国家安全保障上、必要な措置だと主張した。
「彼らの一部はきわめて凶悪で、送還先の国々が彼らを国内にとどめておけるか信用できない。アメリカにも戻ってきて欲しくない」
米移民関税執行局(ICE)も不法移民の取り締まりを強化しており、先日は一連の強制捜査によって一日で1200人近くの不法移民を拘束した。
トランプ政権は当初、犯罪歴のある不法移民を優先的に強制送還する方針を示していたが、ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は29日の会見の中で、米国内に不法に滞在している全ての移民を犯罪者と見なすと明言した。
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