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台湾への圧力強める中国...ヘリでの「長距離投射」「超低空侵入」映像など、「空中戦」演習を公開

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月1日 16時42分

中国軍のヘリコプター(2012年) Jason Lee-Reuters

ライアン・チャン
<台湾方面を担当する中国陸軍の航空旅団が、ヘリコプターを使用した演習の様子を公開。パイロットの「戦闘能力に磨きをかけた」と主張している>

このところ台湾への軍事的圧力を強めている中国は1月30日、軍がヘリコプターを使用して「侵攻作戦」の演習を行っている様子を捉えた動画を公開した。動画には「長距離からの戦力の投射」や「超低空でヘリを操って目標地点に侵入する」など、実践的な演習の様子が収められている。

■【動画】「長距離投射」「超低空侵入」の映像も...中国軍、ヘリでの「空中戦」能力を誇示する演習動画

本誌はこの件について中国国防部と台湾軍にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

中国共産党が台湾を統治下に置いたことは一度もないが、中国は長年にわたってアメリカの安全保障上のパートナーである台湾を、自国の領土の一部と見なしてきた。中国政府は台湾の独立を阻止するためなら、武力行使を含むあらゆる選択肢を排除しないと明言している。

米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官は2024年11月の発言の中で、同年夏に中国が台湾周辺で行った侵攻演習はこれまでで最大の規模だったと主張した。中国軍は2024年5月、10月と12月の3回にわたって台湾周辺で大規模な軍事演習を実施し、これによって中台間の軍事的な緊張はますます高まっている。

台湾方面を担当する東部戦区

こうしたなか中国軍は30日にX(旧ツイッター)で動画を公開。最近、中国陸軍航空旅団が攻撃用ヘリコプターと輸送用ヘリコプターを動員して演習を実施し、「長距離での戦力投射」や「超低空侵入」におけるパイロットたちの戦闘能力に磨きをかけたと主張した。

動画によると、同旅団は中国陸軍東部戦区の第71集団軍に所属している。米国防総省は中国の軍事力に関する評価報告書の中で、東部戦区は台湾侵攻作戦を指揮する可能性が高いと指摘している。

同報告書はまた、東部戦区は台湾に関連のある軍事問題の作戦指揮も担当している可能性が高く、2023年には長距離訓練や軍事動員、空中戦や実弾を使用した演習などで構成される演習や訓練を行ったとつけ加えた。

今回の動画には、演習が行われた場所や日時に関する情報は入っていなかった。東部戦区の管轄区域には、台湾や東シナ海に面している中国東部の複数の省(江蘇省、浙江省、安徽省、福建省、江西省)および上海市が含まれる。

また中国国防部のウェブサイトが1月に入ってから公開した写真によれば、東部戦区第73集団軍に所属する攻撃用ヘリコプターが2024年12月に「超低空防衛突破」訓練に参加したという。

中国軍には台湾に圧力をかける「幅広い選択肢が」

中国国防部の呉謙報道官は1月17日の記者会見で、「『台湾独立』を目指す者が良い結果を迎えることは決してない。中国人民解放軍は分離主義と戦う努力を惜しまず、国家再統一を推進していく」と述べた。

米国防総省が作成した中国の軍事力に関する評価報告書は、次のように述べている。「中国人民解放軍は複数の領域での能力を向上させ、台湾に圧力をかける幅広い選択肢を有している。たとえば中国が今後、武力行使の準備が整っていることを示唆したり、台湾に対して懲罰的な行動を取ったりする可能性がある」

中国は台湾の近くに航空機や艦船を配備し、軍事的圧力を維持している。中国による2025年初の台湾周辺での大規模軍事演習がいつになるのかは、まだ分かっていない。



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