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デジタル空間で拡大する「反フェミニズム運動」は何が問題なのか?...「弱者男性」の掃き溜めになり果てた「男性空間」

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月6日 13時30分

多くのフェミニストや、わたしもそこに含まれているような[女性の]運動が、こうした男性の問題については不寛容で独断的であるという点では彼らは正しい。

だが、インターネット空間を観察してみると、凶暴で憎悪に満ちたミソジニーや、辛辣で陰謀論的な考え、あるいはそうした思考のなかに流れる一般的な意味でのひどい性格を否定することが単純に不可能になっている。

それゆえ、わたしのここでの説明は、Tumblrリベラリズムや4chanあるいはその他のものの最悪な部分の説明と同じように、一般的に「男性の運動」と呼ばれるものの描写ではなく、ウェブ上で栄えたさらにダークな最下層を説明するものだと述べておきたい。

 

本来の男性運動は、厳格で伝統的な性役割を批判するものとして、フェミニスト運動や性の解放運動から派生し、それと並行して発展した。このことを知れば、掲示板に粘着する大勢の住人は恐れおののくだろう、男性ジェンター学のマイケル・キンメル(アメリカの社会学者)はそう述べる。

男性の解放はのちにフェミニズムの動きから離れて発展したが、その理由は、フェミニズム第二波が徐々に男性に対して敵対的になり、レイプやDVをめぐる物言いのなかで男性全体を批判したことにあった。

男性の社会的役割の経験についての問題は、さまざまな思想家の話題となり、大きく異なった方向性をもつ党派に取り上げられたので、分裂傾向は強まった。

男性の運動が、男性が排除され差別を受けていた制度を最初に集中的に取り上げるようになったのは、90年代になってからのことだ。

アンジェラ・ネイグル(Angela Nagle)
1984年、アメリカ・テキサス州生まれ、アイルランド・ダブリン在住の作家・社会評論家。オルタナ右翼の専門家として「ニューヨーカー」「バッフラー」「ジャコバン」「アイリッシュ・タイムズ」ほか多くの雑誌に寄稿している。反フェミニストのオンライン・サブカルチャーに関する研究で博士号を取得。2017年に刊行した『KILL ALL NORMIES』は、白人至上主義のオルタナ右翼の起源に迫るドキュメンタリー『Trumpland: Kill All Normies』の原作となった。著書に『緊縮財政下のアイルランド 新自由主義の危機と解決策(Ireland under austerity: Neoliberal crisis, neoliberal solutions)』 (コリン・コールターとの共著)など。

 『普通の奴らは皆殺し インターネット文化戦争 オルタナ右翼、トランプ主義者、リベラル思想の研究』(Type Slowly)
 アンジェラ・ネイグル[著]
 大橋完太郎[訳]/清義明 [監]

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