フェイク動画でUSAIDを攻撃...Xで拡散される「ロシア産」偽情報の仕組み
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月10日 15時30分
ジョーダン・キング
<X上で広がるロシアのフェイク動画には、意図的な情報操作の仕組みが隠されている。有名メディアになりすました動画が、どのように拡散され、人々の認識を操るのか? その裏側に迫る>
アメリカの対外援助を担う国際開発庁(USAID)を攻撃するフェイク動画をソーシャルメディアのX(旧ツイッター)で拡散したことで、ドナルド・トランプ米大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏とイーロン・マスク氏がロシア政府の偽情報ネットワーク「マトリョーシカ」に手玉に取られていたことが明らかになった。
マトリョーシカによって作られたUSAIDへの反感を煽る内容の動画が複数、ソーシャルメディアに流されている問題はあちこちで指摘されている。Xで「トロール(ネットに悪意ある書き込みをする人、荒らし)の住みかを暴く」活動をしている「ボット・ブロッカー」も、そうした指摘を行っている。
本誌はXに正式な手続きでコメントを求めると共に、トランプ・ジュニア氏とロシア外務省に対しては電子メールでコメントを求めたが、回答は得られていない。ちなみにマスク氏はXのオーナーだ。
トランプ政権は3日、USAIDのほぼすべての職員を自宅待機にさせると発表している。
アメリカの対外援助額は世界第1位。トランプ氏は大統領就任後早い時期にUSAIDを解体することを、2期目の優先課題としている。
マスク氏は偽動画をリポストしてから削除
USAIDを批判する人々は、対外援助は税金の無駄遣いであり、国境警備などの米国内の優先課題に振り向けるべきだと主張している。一方でインターネットには、USAIDの公的資金の使い道に関する偽情報がはびこっている。
「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のアメリカにおける人気を高めるために、USAIDが旅費を出してアメリカのセレブたちにウクライナを訪問させた」という内容の動画も、マトリョーシカが作成したとされる。
マスク氏とトランプ・ジュニア氏がシェアしたのは「I Meme Therefore I Am(@ImMeme0)」というアカウントがリポストした動画だ。トランプ・ジュニア氏は動画にこんなコメントを付けた。「USAIDは善行を装ってアメリカの人々に対して行われた過去最大の詐欺かも知れない」
AFPなどがシェアした複数のスクリーンショットによれば、マスク氏は2億人を超えるフォロワーに対し、同じ動画をコメントなしにリポストしたが、その後、削除した。
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