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「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月11日 8時50分

 

人々にこの手術をするつもりはないが、同じ効果がある侵襲性の低い治療法や薬を開発できるかもしれない。ある企業が腹腔内の脂肪をとかす方法を開発中で、わたしたちも協力している。

サルでは著しい代謝の向上が実証され、現在ヒトでの臨床試験を始めるところだ。なので、もうすぐ良い知らせをお伝えできるだろう。

また、皮下脂肪についてもすばらしいニュースがある。皮膚の下に少量の脂肪があるのは良いことだとわかってきている。

皮下脂肪はウイルスや細菌など、皮膚から侵入しようとする物質への防御バリアとして働くだけでなく、「善玉」ペプチドや、アディポネクチンのような脂肪ホルモンを分泌するからだ。これらはすでに述べたように、センテナリアン[編集部注:百寿者/100歳以上の人]の体内に多く見られる物質である。

(略)

カロリー制限が健康寿命と寿命を延ばしているらしいとわかったので、それが成長ホルモン、性ホルモン、甲状腺ホルモンの値や、インスリン値、コルチゾール値にどのように影響するか、学界が関心を持つようになった。

結果として、動物モデルでカロリー制限時のホルモン値を維持しても、それだけで寿命の延びは見られなかった。

これまでのところ、減少することで寿命に違いをもたらすとわかっている唯一のものは、成長ホルモンの減少だ(これについては本書『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる』第4章で詳しく説明する)。

ストレスホルモンのコルチゾールについては、40%の食事制限がストレスをもたらすので値が上がるが、コルチゾールを高齢の動物に投与すると、じつは寿命が短くなる。

わたしの考えでは、ヒトにもっとも関係するカロリー制限の研究は、遺伝によってカロリー制限の効果がどう変わるかを示した研究だ。

 

サンアントニオ出身の同僚ジム・ネルソンが、同僚たちとともにこの興味深い研究を行い、遺伝的にまったく違う2匹のマウスを交配させた。

すると、マウスは41の遺伝的に異なる背景を持つオスとメスの子どもたちを産んだ。マウスたちは好きなだけ食べるか、カロリー制限されているかどちらかだが、意外にも、カロリー制限したマウスの約半数だけが、好きなだけ食べたマウスより長生きし、残りの半数は寿命が短かった。

これは遺伝的背景が重要であり、カロリー制限が例外なく効くわけではないことを意味している。ヒトの場合も、カロリー制限が長寿につながるかどうかは遺伝的背景による。また、制限すべきカロリー量もDNAによって違うかもしれない。

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