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ポテトチップスができるまでを見学してみた

ニコニコニュース / 2012年1月3日 12時26分

コイケヤでポテトチップスができるまでを見せてもらった

 今では圧倒的な認知度を誇るポテトチップスが、アメリカで生まれたのは160年前。日本では50年前にコイケヤが量産化に成功した。にも関わらず、ポテトチップスがどのように生まれ、なぜ日本に渡り、どのように作られているのか知らない人は多い。そこで、コイケヤの製造工場を訪れ、特別にその内部を見せてもらった。

・[ニコニコ動画]映像で見る「ポテトチップができるまで」
http://www.nicovideo.jp/watch/1325557940

■「客のクレームから生まれたポテトチップス」

――ポテトチップスができた歴史を教えてもらえますか?

コイケヤ: ポテトチップスが生まれたのは1853年です。今から160年も昔の話ですね。アメリカのニューヨーク州にありますサラトガ・スプリングスのホテルが、お客様にフライドポテトを提供していたところ、あるお客様から、ポテトが厚すぎるとクレームが出たそうなんです。自慢の料理にケチをつけられたコックのジョージ・クラムは、自分の料理の腕をみせるために、とことん薄いフライドポテトを皮肉の意味も込めて提供してみたそうです。そうしたら、これがお客様に大好評。この、とことん薄いフライドポテトの評判はたちまち広まり、ついにはコックのジョージ・クラムは独立して、ポテトチップス屋まで作ってしまったそうです。ポテトチップスが、お客様のクレームから生まれたことは、あまり知られてないお話ですね。

■「ポテトチップスはかつて高級珍味だった」

――アメリカで生まれたポテトチップスは、どのように日本に来たのでしょうか?

コイケヤ: アメリカでは、その後もポテトチップスは人気で、一般流通品になるまで広まったそうです。1945年、戦後まもない時代ですが、それまでハワイでポテトチップスを作っていた日系二世ハマダオトジロウさんという方が、日本にやって来てポテトチップスを作って売り出しました。その名も「フラ印のポテト」。これが国産第一号のポテトチップスだと言われています。その頃、アメリカ兵が本国から持ってきたポテトチップスを日本国内でも見かけるようになりました。当時のポテトチップスは、アメリカ兵が立ち寄るオシャレなバーに置いてある高級珍味という存在だったらしいです。当時、お好み揚げという揚げ菓子を作ってヒットを出していたコイケヤの創業者・小池和夫は、「仲間と飲みに行った」バーで初めてポテトチップスを目にして口にしました。そして「これは美味い!」と感動した小池和夫は、家に帰ると、その日のうちに芋を買ってきて、同じように薄く切り、油で揚げて、自作のポテトチップスを作ったそうです。これが1950年代後半のお話になります。

■コイケヤを作った男

――どのようにしてポテトチップスを売り始めたのでしょうか?

コイケヤ: 小池和夫は長い時期ポテトチップスの開発に費やし続けていました。問題は、アメリカ人にとっては馴染みのあるポテトチップスでしたが、ほとんどの日本人はまだ食べたことがなかったのです。誰も知らないポテトチップスを世間に広めるにはどうすればいいのか? だいぶ考えたみたいです。1958年、小池和夫は小池商店から株式会社湖池屋に名称を変更して会社を設立しました。すでにお好み揚げ、かりんとうのように油で揚げる商品は日本にもあり商売も軌道にのっていましたが、ジャガイモを油で揚げて食べるという習慣が日本人にはなかったのです。

 そして1962年、試行錯誤の末に生まれたのが、日本人に馴染みのある海苔を使った「のり塩」でした。ちなみに海外では海苔味のポテトチップスはありません。アメリカで見かけるのは、塩味か、ビネガー味か、バーベキュー味。今でも海外では日本のように、たくさんの味を見かけることはありません。「のり塩」が発売された頃、時代は高度成長時代の真っ只中でした。アメリカっぽい雰囲気が、日本ではカッコイイと付加価値になっていた背景も後押ししまして、ポテトチップスは徐々に売り上げを伸ばして、店頭にも並ぶようになりました。その頃は、まだ釜に油を満たしてジャガイモを揚げていたのですが、手釜揚げで作るには生産が間に合わないほどの人気となっていきました。

■日本で初めて量産に成功

――日本で初めてポテトチップスの量産に成功したのがコイケヤですよね?

コイケヤ: はい、そうです。ポテトチップスが美味しいと評判になり、世の中にも認知されてきた頃、湖池屋以外にもポテトチップスを作る家内工業の会社が増えてきました。そんな中、小池和夫はいち早くポテトチップスの量産化を考え、機械化導入に踏み切る決意をしました。すでにポテトチップスを量産していたアメリカに下見に行くと、スーパーマーケットで大量に置かれたポテトチップスの山がありました。それを見て、小池和夫は「絶対に日本でもポテトチップスは売れる!」と確信したそうです。1967年、コイケヤはオートフライヤーを導入しました。しかし、機械化はそう簡単ではありませんでした。アメリカと同じ機械を日本で作っても、なかなかうまくいきません。相当な数の失敗作を揚げては捨てを繰り返したそうです。それでも開発努力のかいあって、徐々に商品は店頭に並びはじめ日本人がポテトチップスを食べる機会が増えてきました。

 1970年、工場も埼玉県加須市に新設し、「もっと日本人にポテトチップスを広めよう!」と小池和夫以下、社員全員が汗を流してポテトチップス作りに取組みました。そして、1975年に大手菓子メーカーが参入してきます。コイケヤが150円でポテトチップスを売っていたのですが、ライバル会社は100円で売り出してきました。コイケヤは価格ではないところで勝負しようと徹底的に品質と楽しさを追求、対抗して価格を下げることはしませんでした。コイケヤのポテトチップスが生まれて50年がたちます。子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで誰からも愛されるロングセラーのスナック菓子を作ろうと努力しています。ポテトチップスの人気も定着し、きっと天国にいる小池和夫も喜んでいると思います。

■ポテトチップスに使うジャガイモとは

――ポテトチップスは、どのようなジャガイモで作られているのですか?

コイケヤ: ポテトチップスに使われるジャガイモの品種は、豊白、ワセシロ、農林1号、きたひめ、スノーデンという5種類です。コイケヤで使われるジャガイモはすべて国内産で、75%は北海道産です。気候、土壌がよい北海道で作られるジャガイモは、サイズや糖分、でんぷんが均一なものが多く、揚げやすいという特長があります。いろいろな種類のジャガイモを混ぜて使うのではなく、収穫時期によって使う品種が違ってきます。

――食べる時期によってジャガイモの種類が変わるということですが、味は変わらないのですか?

コイケヤ: 一年中、いつ食べても味が変わらないように工夫しています。ジャガイモの違いによって、味の違いがないようにコンマ何ミリの世界で、厚さをコントロールしています。傾向としては夏場に使う品種は厚く切り、冬は薄く切る傾向があります。でも、食べてもその違いはわからないですね。工場内での生産工程で随時ポテトチップスを食べながら、厚みだけでなく、ラインが流れるスピードや温度もチェックして、いつもと変わらない美味しさになることを心がけています。

■形がそろったものとそろっていないものの違いは?

――コイケヤのポテトチップスは大きさがバラバラですが、プリングルスやチップスターのように形状がそろってポテトチップスもありますよね? 違いはなんですか?

コイケヤ: ポテトチップスには、3つの作り方があります。一つ目は生のポテトを切って揚げるというやり方です。コイケヤのポテトチップスは、ジャガイモの風味がもっともよく出る、主原料として生のポテトにこだわって作っています。二つ目が、一度、練り物にしてチップス状に成形する成形ポテトです。プリングルスやチップスターなど、形状がそろったポテトチップスがこれに該当します。三つ目に、ベイクドという厚切りのものがありますが、アメリカで多少見かけるものの、日本ではあまり人気がなく、ほとんど見ませんね。

――なるほど。作り方も違うということですが、切り方もいろいろありますよね?

コイケヤ: そうですね。弊社では5種類の切り方がありますね。一つ目は、定番の昔ながらの切り方のフラットタイプのポテトチップス。二つ目に、細長く切られた食べやすいスティックタイプのポテトシューストリングがあります。三つ目は、最近の売れ筋商品で「プレミアムのり塩」のようなケトルタイプと呼ばれる種類があります。これは、創業当時の釜揚げ製法で作ったポテトチップスと同じように、低温でじっくり揚げて、カリッとした食感を出す商品になっています。四つ目に表面がVカットのギザギザになっているリッチカットです。ギザギザになっていると味付けの粉が付きやすく、フラットタイプの切り方よりも味が濃く感じられます。五つ目が、12月5日に新発売された、いまイチオシのワッフルカットです。これは片面を縦方向、裏返しに回転させて今度は横方向にジャガイモを切ります。するとポテトチップスが格子状の網目になります。味だけでなく、形状や切り方でも、いろいろな種類のポテトチップスがありますので、食感の違いを比べてみるのも楽しいと思います。

■ポテトチップスに使われる塩って?

――コイケヤのポテトチップスで使われる塩はどんなものですか?

コイケヤ: コイケヤのポテトチップスでは、赤穂の天塩を使っております。赤穂の天塩はミネラルと旨みが多いというのが理由です。ほかの会社で作られているポテトチップスは、別の塩が使われていると思いますが、塩の粒の大きさや、風味や舌触りが違ってきます。コイケヤでも岩塩を使ったポテトチップスを発売することもありますが、多くの商品で赤穂の天塩を主に使っています。

――ポテトチップスの袋って中が銀色になってますよね? あれは、なぜですか?

コイケヤ: 袋の裏面の銀は、光を遮るための対策でアルミを使っています。袋のフィルムは5層構造になっています。袋は薄いけれども、中身が割れないように丈夫です。見た目が悪くならないようにシワがよりづらい特別な包材を使っています。ここまでこだわった袋を使っているのはポテトチップスだけじゃないでしょうか? アメリカのポテトチップスの包みでも、ここまでこだわったものは見たことありません。袋にポテトチップスを入れたら、酸化しないように中に窒素を入れます。これは油が劣化するのを防ぐためです。一度、袋に入れたら、食べるまで美味しさは変わりません。

――今は特別な5層のフィルムの特別な袋を使っていますが、創業当時はどうしていたのですか?

コイケヤ: 50年前のポテトチップスは量り売りが主流でした。それこそ、透明なビニール袋などに入れて販売していたそうですよ。今では考えられませんけどね。

■「美味しそうに見えることも大事」

――ポテトチップスを作る上で大事なポイントがあれば教えてください。

コイケヤ: 美味しそうな色のポテトチップスを作ることも大事なポイントです。ポテトチップスを自分で買って、切って油で揚げてみるとわかるのですが、ポテトチップスの商品のように白く美味しそうに揚げるのは、相当な技術がいります。小池和夫氏がもっとも苦労した点です。ジャガイモというと、男爵やメークインといった種類が有名ですが、これらのジャガイモは甘くておいしいのですが、糖分が多くて、油で揚げると黒焦げになりやすいのです。ですから、ポテトチップスには不向きなのです。どんなに美味しくても黒焦げになった商品では商売になりません。かといって、焦げない糖分の低いジャガイモを使うと、今度は味気のないものになってしまいます。このバランスが難しかったようです。長い開発期間を経て、今ではポテトチップスを作るのに適した専用の品種が作られるようになりました。それが先ほどの種類の品種になります。これによって、黒焦げのない白い色に揚がった美味しいポテトチップスが作れるようになりました。

■ポテトチップスをチンして食べると・・・

――ポテトチップスを美味しく食べる方法はありませんか?

コイケヤ: 袋詰めする前の揚げ立てのポテトチップスはホカホカで温かく、ジャガイモの風味がたくさん残っています。おうちのレンジでチンすることで、皆様にも擬似的に体験してもらうことができます。ポテトチップスの袋にはアルミを使っているので、必ずお皿に出して、10秒~15秒ほどお好みで温めてみてください。すると、ホクホクのいつもと違ったポテトチップスの味を楽しむことができます。ただし、商品によりますがレンジでチンすると、強烈な匂いがレンジに残るのでご注意ください。

――ポテトチップスをチンするのはやったことありませんでした。なんで、温かいポテトチップスは美味しくなるのですか?

コイケヤ: 風邪をひいて鼻づまりで味覚が落ちた、なんて経験ありませんか? 味は舌だけでなく鼻も味に深く関係しているみたいですね。温かいホクホクのポテトチップは空気に触れると揮発する成分があるんです。それにより香りが強く感じられるようです。ぜひ、一度試してみてください。

■ポテトチップスの新しい食べ方を考える

――ほかにも何か面白い食べ方があれば教えてください。例えば、最後に細かく砕かれたポテトチップスを袋を傾けて口に流し込む方法とか。あれは、見た目に少し行儀が悪いですけど。

コイケヤ: 最後に袋を傾けて口に流し込むのは、たくさんの方がやられるみたいですね。幸せを感じられる瞬間だとか(笑)。ポテトチップスを食べるための正しい流儀はありませんが、お客様の中には、いろいろな食べ方を提案してくれる有難い方もいらっしゃいます。最初からわざとポテトチップスをクラッシュして食べる人もいるみたいです。

――オープニングクラッシュですか。ポテトチップスが割れないようにパッケージ開発する人には申し訳ない話ですね。

コイケヤ: 確かに(苦笑)。割って小さい破片にしたものや、カラムーチョなどのスティックタイプの場合は、一度、紙コップに入れて、飲むように食べると、手が汚れないということで意外と多いみたいです。

――ポテトチップスを手でつかむと油で汚れてしまう問題は、永遠のテーマですよね?

コイケヤ: 素手で食べる場合はティッシュが必須になりますね。味付けの粉が付いた手をなめるのが好きという人も中にはいると思いますが。最近では、「ポテチ専用の手」というグッズや、「専用トング」も売られています。パソコンやゲームをやっている人の中には箸で食べているという人も少なくないようです。

――確かにPCのキーボードを使うときは箸がいいですね。あとは、ポテトチップスに合う、オススメの飲み物はありますか?

コイケヤ: やはり、ポテトチップスに合う飲み物といえばビールでしょうか? 酒の肴に塩をなめる方もいますし、お酒と塩味のポテトチップスの相性はいいと言えるのではないでしょうか? ノンアルコールであれば、コーラも人気ですね。コイケヤが以前行ったユーザーへのアンケート調査によると、ポテトチップスを食べながら牛乳を飲むという人も少なくなかったようです。

――ポテトと牛乳ですか、試す価値はありそうですね。ポテトチップスと何が合うか、最強パートナー決定戦なんて企画も面白そうですね。

■「ポテトチップスをトッピングに使う」

――オススメの飲み物の次は、ポテトチップスをトッピングにすると合う食べ物とかありますか?

コイケヤ: テレビ番組の情報番組の影響などで、最近ではポテトチップスを料理のトッピングで使うことが増えているみたいですね。よく聞くのが、ポテトチップスをサラダに入れて混ぜる「簡単ポテトサラダ」。それから、ガーリック味のポテトチップスをご飯にかける「簡単ガーリックライス」。TVでも紹介され話題になったものですからコイケヤの食堂で何人かの社員で試してみました。ピザによく合うのはカラムーチョですね。ピザハットさんでスティックタイプのポテトをトッピングにしたコラボ商品が発売されています。コイケヤからもピザハットのチーズを味付けで使った「カラムーチョ」が発売されました。

――ポテトチップスレシピを募集したら、たくさんのアイデアが集まりそうですよね?

コイケヤ: そうですね。今度、うちのホームページでもやってみたいですね。社員の情報として豆腐にカラムーチョをまぶすのも美味しいと聞いたことがあります。もっと手の込んだ料理になると、リッチコンソメ味のポテトチップスを砕いて、チーズオムレツに入れると美味しいと評判ですよ。

――逆にポテトチップスに付けて食べると美味しいものは?

コイケヤ: 定番はマヨネーズですね。それからケチャップ。辛いのが好きな人はタバスコをかける人もいますね。オススメはアボガドディップです。トマト、たまねぎ、アボガドをみじん切りにして塩をちょっと加えたものを、ポテトチップスに乗せて食べます。ぜひ、試してみてください。

■「コイケヤは独自路線です」

――タブーなのかもしれませんが、あえて聞いちゃいます。ライバル会社をどう思ってますか?

コイケヤ: コイケヤは独自路線です。ライバル会社様とは方向性が違うのかなと思っています。コマーシャルもそうですが、特長を出すのがコイケヤ。

――コイケヤ独自のものというと?

コイケヤ: 代表的なものは、1984年に発売したカラムーチョですね。ライバル会社様にもいろいろな商品がございますが、辛いスナック菓子のライバルが発売されるたびに、カラムーチョが鍛えられている感じです。

――コイケヤとライバル会社のポテトチップスは、どう違うんですか?

コイケヤ: ポテトチップスを食べ比べてみると厚みが違うと言われますね。最終製品しか測れないので、切る厚みを正確に比較することはできませんが、コイケヤの方がやや厚く、パリパリの中にしっかりとした食感が残る感じです。ライバル会社様の方はやや薄くパリっという食感。厚さによって割れ方も変わってくるので、食感、舌触りが結構違いますね。

■時代がポテトチップスに求めるもの

――最近のポテトチップスに求められている傾向は?

コイケヤ: 最近の傾向は味が濃く、パンチがあるものを求められますね。とくに若い人の多いコンビニでは濃厚な味が売れています。主婦層の多いスーパーではベーシックな昔ながらの「のり塩」「うすしお味」といった商品の支持が高いです。

――なるほど。店によって棚に並ぶ商品が変わるんですね?

コイケヤ: そうですね。流通ごとに求められる商品群は変わります。同じ味でもサイズが違ったりしますね。お店も、他店と同じものよりも、独自のものを欲しがる傾向はありますね。ですから、売り場のニーズにも応えなければいけないと思っています。

――ポテトチップスは高カロリーじゃないですか? 健康ブームや、ダイエットブームと逆行しているのではないかと思うのですが?

コイケヤ: 油を使うのがポテトチップスの絶対条件ですから、高カロリーになりがちです。過去にローカロリーポテトチップスにチャレンジしたこともありました。でも、健康やローカロリーに比重を置いてしまうと、残念ながら物足りなさが出てしまうようです。コイケヤとしては、ポテトチップスをツールとして、お菓子の美味しさと楽しさを大切にしたいと思っています。ローカロリーを求めない代わりに、いろいろなサイズのポテトチップスを用意しています。カロリーが気になる方には小袋を楽しんでもらえたらと思います。

――確かに、ローカロリーでもイマイチ感のあるポテトチップスは手が伸びませんね。

コイケヤ: 今はローカロリーを求められる時代ですが、発売当時のポテトチップスは逆に高エネルギー食品というのを売りにしていたんですよ。70年代前半のパンフレットには「高カロリーが滋養強壮にいい」というキャッチコピーだったそうです。まだ食糧事情がよくなかった時代ですから、高カロリーがひとつのステータスだったのでしょうね。

■開発に時間を要したコーン素材の「ドンタコス」

――これまでの商品の中で、生みの苦しみだった商品ってありますか?

コイケヤ: 1980年代スナック菓子の先進国であるアメリカでポテトチップスに続くカテゴリーとして急成長していたトルティアチップス(コーン素材)に着目し、日本でもポテトチップスに続く大型カテゴリーになるであろうと、日本独自の味・食感の開発をすることになりました。それが「ドンタコス」という商品名で発売するまでに、かなり時間がかかりました。普通は生産ラインに入れてから開発に半年くらいかけるのですが、「ドンタコス」はラインを入れてから2年間試作していました。試作は大量に作ったと思いますよ。

――「ドンタコス」は、どんなところが大変だったのですか?

コイケヤ: 「ドンタコス」は、コーンを茹でて、一晩冷まして、挽いて焼いてから揚げるんです。ほかの商品に比べて、ずいぶんと手間がかかるんです。工程が多いと、条件によって味が変わってしまうのが苦労した点ですね。

――今、気がついたんですけど、ポテトチップスはジャガイモが原料で、「ドンタコス」はコーンが原料なんですね?

コイケヤ: 「ドンタコス」「スコーン」「ポリンキー」は、コーンが原料なので、ポテトチップスとは違います。スナック菓子の中には、小麦粉、でんぷん、えんどう豆・大豆、米、さつまいもが原料のものもあります。

――同じスナックというくくりで考えていたから、それぞれ原料が違うことに、気がついていませんでした。

コイケヤ: コイケヤでも「おさつポリンキー」とかもやってみたんですよ。でも、さつまいもは原料が高いんです。最後はマーケットの大きいジャガイモになってしまいますね。やっぱりポテトチップスは日本人が美味しいと感じる味なんですね。

――日本のスナックはポテトチップスが主流だと思うのですが、海外はどうなんですか?

コイケヤ: おっしゃる通り、日本はポテトチップスが主流ですが、世界的に見ると、アメリカはポテトよりも、コーンの方がシェアが多くて50%くらいあるんです。アメリカはコーンフレークとか、コーン商品が多いですからね。食文化の違いでしょうね。

――日本もポテトチップスよりも人気の出るお菓子が生まれるかもしれませんね? 独自路線で開発している商品はないんですか?

コイケヤ: 今、フレンテグループではコイケヤとフレンテ・インターナショナルという2つの企業で食品事業を展開しています。ポテトチップス以外で力を入れているのが、タブレット商品を開発しているフレンテ・インターナショナルで力を入れているのが、乳酸菌LS1配合の「スーパークリッシュ」です。お口の健康を考える方にオススメです。菓子メーカーですから味も抜群ですよ。いつまでも健康な歯で、おいしくポテトチップスを食べたり、楽しく食事をしたいですよね。

――健康食品まで! ぜひ、これからも独自路線で美味しいお菓子を作ってください。

◇関連サイト
・[ニコニコ動画]映像で見る「ポテトチップができるまで」
http://www.nicovideo.jp/watch/1325557940

(眞形隆之)



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