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ニコニコ生放送「『世界から見た日韓問題』―タイズ・ザット・バインド エピソード1―」(2015年7月31日放送)全文書き起こし(4)

ニコニコニュース / 2015年8月23日 12時0分

ニコニコニュース

 「ニコニコドキュメンタリー」の第1弾、第三者の視点から日韓問題を描いた「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~」をテーマにした1回目の討論番組、「『世界から見た日韓問題』―タイズ・ザット・バインド エピソード1―」が2015年7月31日(金)22時から、ニコニコ生放送で配信されました。

 本ニュースでは、同番組の内容を以下の通り全文書き起こして紹介します。

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※出演者=話者表記
角谷浩一氏(MC/ジャーナリスト)=角谷
松嶋初音氏(コネクター)=松嶋
青木理氏(ジャーナリスト)=青木
潮匡人氏(評論家・軍事ジャーナリスト)=潮
木村幹氏(神戸大学大学院国際協力研究科教授)=木村
津田大介氏(ジャーナリスト)=津田
辺真一氏(コリア・レポート編集長)=辺
平沢勝栄氏(衆議院議員・日韓議員連盟幹事)=平沢
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平沢:今のお話はそのとおりなんですけども、結局、これは韓国の国内問題なんですよ。基本的には1965年に解決している問題なんですよ。一度終わった問題なんですよ。それが結局、今になっていろいろ出てきている。結局、韓国の国内で解決できないから、すべてそれを日本に持ってきていると。だから、日本が何もしなくていいとは言いませんけれども、それはやっぱり一応国際協定なんですから、相手の国が独裁政権であれ何であれ、国際協定で、国際約束でしたものを時代が変わったから、トップが変わったから、だからもう1回それを振り出しに戻すなんていうことは、これはもうそうしたら国際協定なんか結べませんから。

青木:そういう考え方もあると思うんで。

平沢:実際、韓国自体が1965年に5億ドルをもらって、それで韓国は今言われたように漢江の奇跡っていうか、大変な経済成長をしたわけで、まさに日本に並ぶくらいの、匹敵するくらいの経済大国に今なりつつあるわけですから。それはその5億ドルがなかったら私はなかったと思いますよ。

青木:それにつけ加えれば、韓国の経済成長っていうのは、その後、日本の財界などが非常にいろんな形で、人的にも、それからお金の面でもものすごく支援したわけですよね。例えば、インスタントラーメンなんていうのは、韓国は今ほんとに国民食で誰でも食べているんです。日本以上にインスタントラーメンをたくさん食べるんだけれども、その技術であったりというのは、日本がかなり経済界も含めて支援している。ただ、それは日本にとってもいろんな思惑があって、やっぱり共産主義の脅威だったりとか、日本と韓国の関係だったりとか、いろんな思いがあって、あるいは植民地支配の懺悔の気持ちっていうのもあったのかもしれない。いろんな気持ちが。

角谷:朝鮮戦争での特需の還元みたいな時期もあったかもしれない。

青木:だから、平沢さんのおっしゃるのもわかるんですよ。僕だってそう思いますよ、65年のときにもうすべて終わっているじゃないかと。これを覆すっていうのは無理じゃないかっていうのも、僕は確かに法的にはわかるんだけれど。だけど、僕があえて平沢さんに申し上げたいのは、「いや、それは韓国の国内問題でしょう」っていうふうに自民党の政治家には言ってほしくないんですよ。やっぱりそれは「どうしたらいいだろうか」ってことを考えなくちゃいけないです。

平沢:いや、そうじゃなくて、私が言いたいのは、まずは韓国国内でいろいろと努力して、そして結局「日本にもちょっとお願いします」ということで来るならわかりますけど、「当然だ」と、「この1965年のときは全然含まれていなかった」と、「あのときには、そういう人権とか何か絡むものは一切含まれていなかったんだ」というようなことを当時言わなくて今さら言って、そして「今日本がやるのが当然だ」っていう形で来るからこういう形になっちゃうわけですよ。

辺:いや、ちょっとその件に関して、私も実は35年前に日韓条約、日韓関係のシリーズを出したいきさつで当時のことをいろいろ調べましたけども、平沢先生のおっしゃったとおりなんですね。たしか日本から無償3億、有償2億ドル、この5億ドルで日本は一応みそぎは終わったということですね。お金で一応決着をつけたと。当時日本も台所事情はよくなかったですね。池田勇人政権のときですか。「貧乏人は麦を食え」っていう、そういう時代だと記憶しているんですけども、それだけ日本も大枚をはたいて一応ちゃんと決着をつけたはずだと。だから、私も当時、なんで今の朴槿恵大統領のお父さんの朴正煕大統領は日本からもらったお金のほんの一部でもそういう被害者、慰安婦だとか、朝鮮人徴用者だとか、あるいは日本で被爆に遭われた、そういうような被災者たちに使わなかったのかというふうに問題提起しました。ずいぶん経って調べましたら、このお金っていうのは残念ながら韓国が自由自在に使える、そういうような代物でないってこともわかったんですね。ということは、現生で行ったんじゃなくて、これは物品、あるいは用途、その他技術、こういう形で韓国に入っていったっていうことなんですね。これはもう当時の大野伴睦自民党副総裁から始まって、池田当時首相、当時の外務省の条約局長を含めて、これはあくまで経済協力金ですけども、商業ベース的にいずれ日本にブーメランとして返ってくるような、そういうような代物のお金だった。ということは、ずばり申しますと、日韓閣僚会議だとか、日韓経済協力委員会だとか、もろもろのそういうようなところで使い道が決まる。ということは、当時の韓国政府が「これを慰安婦のためにあてがいたい」って言っても、恐らく日本は「イエス」っていう3文字を発しなかったっていう、こういうこともわかったんですね。これが1点。それともう一つ、慰安婦の問題っていうのが随分後から出てきたんですね。日韓条約のときはこの問題が全く議論されなかったのかというと、当時の椎名悦三郎外相と韓国の李東元(イ・ドンウォン)外相、もうお二人とも他界されて、死人に口なしって言えばそれまでですけども、ちょうど今から20年前、30周年のときに当時の韓国の外相がはっきりとこういうことを言っておりました。「記憶ははっきりしないけども、当時の日韓条約協定条項には従軍慰安婦の問題と被爆者、徴用者に対する賠償はどこにも含まれなかった」と、「日韓双方、誰の口からも持ち出されなかった」と、これは韓国に大いに問題があると思いますね。理由は、従軍慰安婦の問題は被害者である韓国にとっても加害者である日本にとっても、恥ずべき歴史の痛みであるからだと。この問題を持ち出せば、双方の国民感情を損なうだけで外交的に得るものがない。この問題は将来の両国の関係に委ねることにしたということでふたをしたんですね。まさにあれから50年、今私たちがこの問題を委ねられているということなんですね。李明博大統領の2012年8月の竹島上陸は、いわば歴代韓国大統領は誰もやらなかった、禁断の地の竹島に足を踏み入れたっていう、それもこれもその前の年の2011年に李大統領が日本に来て、京都で野田総理との会談で「慰安婦の問題に一つ善処をよろしくお願いします」、確かに平沢先生がおっしゃったように、日韓条約に一旦決着がついた問題だけども、韓国のいわば憲法裁判所で、こういうことでもう1回、当時日韓条約のときに慰安婦の問題が議論されなかったんで、もう1回日本側と議論してこの問題について何とか善処をということでこじれちゃって、あの大統領がぷっつんして竹島に上陸して、そこから日韓関係はさらに悪化の一途を辿った。今の歴史遺産の問題も、その他もろもろの問題も、すべてこの慰安婦に、いわば凝縮されている。ですから、この慰安婦の問題を何とか日韓双方が、まさに日韓国交50年のこの年に何とか落としどころを見出す必要性があるんじゃないかなと思うんですね。ということは、こういうような問題がずっと、いわばこじれて、あるいは尾を引いてきたために、日本からすると極めて心外かもしれませんが、ハルビンで伊藤博文を暗殺した安重根の銅像が建てられたり、あるいはアメリカの地方自治体に慰安婦の銅像が建てられたり、これはすべてこの問題に起因している。すなわち、日本人の対外イメージを損なう、そういうような結果を招いている今の状況っていうのを、日本人自らも道義的な、倫理的な問題としてこの問題に関して積極的に関与して、そして決着をつけるのが私は日本の国益じゃないかと、こう思っているんです。

平沢:私は逆だと思いますよ。私は、ひと言で言うと、韓国のやっていることは無茶苦茶だと思いますよ。あまりにも感情、情緒で動き過ぎている。裁判所まで、もう国民感情がそういう方向で動くと、それに政治から司法まで全部動いている。だから、それは「すべて日本があれ」という今の辺さんの話は逆で、韓国がもうちょっとしっかりしなさいと、私はこういうことだと思いますよ。例えば、私は直接自分がいろいろと国会で質問した件で言いますと、1994年に日本の壱岐の島から重要文化財の経典が盗まれたんですよ。これが盗まれたら、翌年1995年に韓国ではこれが国宝に指定されたんですよ。盗まれたものが。だから、日本は「警察と外務省と文化庁で調査団を派遣する」って言ったら、韓国が受け入れないわけですよ。盗まれたものを向こうで国宝に指定して受け入れない。だから、ひと言で言えば、「日本は過去の歴史があるから何をやってもいいだろう」と、「どんな無茶だって日本に出したら通るだろう」と、そういうところがあるから、日本も反省しなきゃなんないとこはあるけれども、今みたいなことを言っていたら韓国はそれこそ何でもかんでも、いつまでもエンドレスになる。

辺:平沢先生がおっしゃられたことについては、全く同意です。それはやっぱり韓国の過ちだと思いますよ。ただ、お金で決着がついて、お金で済ませたからそれでいいだろうという発想については。

平沢:いや。

辺:ちょっと待ってください。このお金について、先ほど外務省の当時の条約局長ナカガワさんっていう方ですけども、はっきり申します。これは賠償金でも何でもないっていうことですね。「大声じゃ言えないけども、私は日本の金ではなく、日本の品物、日本の機械、日本人のサービス、役務で支払うということであれば、これは将来日本の経済発展にむしろプラスになると考えていた。それによって韓国に工場ができるとか、日本の機械が行くということになれば、修繕のため日本から部品が輸出される。工場が拡大するときに同じ種類の機械がさらに韓国に輸出される。したがって、経済協力っていう形は決して日本の損にならない」。すなわち、申し訳なかったって、そういうような性質のお金じゃないってことなんですね。ということは、日本の植民地統治時代にひどい目に遭った慰安婦とか徴用者の皆さん方に対して、日本は倫理的、道義的に「これで申し訳ない」っていう、そういうようなお金ではないってことなんですよ。ですから、このお金で済ませたからこの話はなかったっていうことは恐らく被害者の皆さん方に通用しないんじゃないかと思うんですね。ですから、裁判で訴えられているってことなんですよ。

平沢:全然私には理解できないんですけど、何回この問題について謝ったんですか。そして、アジア女性基金ができて、それで韓国の場合は、1人の女性に対して結局、個人1人当たり500万行っているんですよ。直接行っているのは200万ですけども、あとの300万はそのほかのあれに使うっていうことで、1人当たり500万行っている。それで総理のお詫びの手紙もついているんですよ。お詫びしているんですよ。だけども、「納得できない」ということでずっときている。それでアジア女性基金も「受け取っていない」って、「韓国の女性のほとんどは断った」って言っていますけど、元の韓国大使の方が書かれた本を読むと、61人の方が受け取っている。だけども、「受け取ったっていうことを言えない」って言うんですよ、韓国の国内では。ですから、そういう空気があるわけですよ。それがおかしいんじゃないですか。

辺:それも認めます。それも韓国の間違いです。そのとおりです。間違いは間違いで韓国も正さなきゃいけないですね。先ほどの朝日新聞の吉田証言。あれも間違いで、あれは正されてよかったと思います。私が先ほど申しました広い意味での拉致の話は、私は10年前に既に提起した話であって、朝日新聞が出たから改めて広い意味での拉致がどうのこうのと言っているつもりはさらさらありませんので。念のために。

青木:ドキュメンタリーの話で言えば、ご覧になった方は覚えていらっしゃると思いますけど、全く同じセリフが出てくるんですよ。「何度謝ればいいんだ」と、「謝ったじゃないか」と、「いつまで謝るのか」っていう話が出てきた。ドキュメンタリーのそれに対する答えはこうでしたよね。「それを台なしにしている人たちがいるんだ」と。一つは。つまり、パク・チョルヒさんがまさにおっしゃっていたけれども、「どうも見ていると、日本側の中にはちゃんと謝らなくちゃいけないんだ」って、実際に謝ったりとか、慰安婦の問題もアジア女性基金も含めて何とかしなくちゃいけないと思って努力してきた人たちが、これは自民党の政治家も含めているんだけれども、同時並行的にツートラックで「いや、そんなものはやりたくないんだ」っていう人たちがいて、結果的に台なしにしてきちゃったっていうのがこのドキュメンタリーの中の一つのメッセージだった。このドキュメンタリーはもう一歩踏み込んでいて、台なしにしている勢力のうちの一つが安倍政権であると言っているわけですね。これについてはたぶん賛否があると思うんです。もっと言えば、日本側が台なしにしているから謝ったのに謝っていないというふうに思われちゃうのかっていうところも、もしかしたら賛否があるかもしれない。だから、つまりそこはドキュメンタリーが1個、「台なしにしているんじゃないか」っていう材料を提起しているわけだから、そこをまさに議論してもいいと思うんですよ。なんで謝っているのに。これはたぶん韓国側にも恐らく問題はあるんですよ。あるんだけれども、そういうふうにイギリス人のドキュメンタリストが答えてくれたわけだから。

平沢:いや、だから、そういう意味で固定観念にかたまっているなと思うのは、この今のドキュメンタリーの最後のほうに、安倍政権は歴史修正主義で戦前に回帰しようとしているとか、いろいろ出てくるんですよ。ですから、そういう目でこの番組をつくっておられるということはわかりましたよ。だけど、それは、私は日本国民がそういうふうに思っているということとは違うと思いますよ。そういう人もいると。

青木:だけど、一つ、イギリスの目から見たらそういうふうに見えたと(笑)。

平沢:そういうこと。

青木:それは受け止めなきゃいかんし、あるいはそうじゃないんであれば。

平沢:私は戦前に戻っているとは全然思いませんけど。

角谷:ただ、きょうこのドキュメンタリーの話をずっと見ている中で、これだけ慰安婦の話からどんどん広がっていく、つまり問題点は2国間にまだ相当あるし、片っぽは解決している、片っぽは解決していない。だけど、これは解決しているとか解決していないだけじゃなくて、まだしこりとして残っているものがたくさんあって、きっとどっちもボールがあるんですよ。片っぽだけにボールがあるわけじゃなくて。平沢さんもおっしゃったように、日本にも問題があるし謝らなきゃいけないこともまだあるんだということを知っているわけで。その問題がどっちのボールも、片っぽのボールには行かないところに問題があるわけで。それはもちろん政治も民間もいろんな形でやらなきゃいけないけれども、少なくとも今のやり取りはもう今までやってきて、謝ってもしょうがないし、それぞれ議論がもう終わって出尽くしているから、それぞれ別々なんだってところに持っていきたがっている人もいるってことじゃないですかね。そこは一番ダメな結論になろうとしているんじゃないですか、津田さん。

津田:僕はずっと潮さんの話も平沢さんの話も伺っていて納得できるところもあるし、それは辺さんの話も。要するに、韓国も悪いところはある、そして日本ももちろん悪いところもあった。しかし、65年の日韓基本条約のところでお金を払ったと。しかし、それは用途が限られていたお金だった。しかし、今コメントなんかを見ていると、「それを受け入れたのも韓国じゃないか」っていうコメントもある。しかし、でもそれを受け入れざるを得ないような環境になっていたし、それをつくったのもやっぱり戦争だよねみたいになっていて、永遠にループしていくみたいな状況がある中で。

角谷:そう(笑)。ループしているんですよ。

津田:ただ、やっぱり僕がすごく気になったのは、潮さんがさっきおっしゃっていた強制連行っていうのがあって、狭義の強制連行と広義の強制連行があると。あともう一つは、例えばコメントなんかでも「植民地支配じゃなくて併合だ」と、両方あると。これもいろいろあるでしょう。例えば、植民地支配じゃなくて併合であるとか、あとは広義の強制連行じゃなく狭義の強制連行だっていうことによって、それをことさらに言って保守の人たちはそこにこだわるけれども、そこの細かいポイントを主張することがもちろん韓国を刺激しているところもあるだろうし、それを言うことによって何を目指しているのかっていうこともあるんですよ。「悪いことは悪いことだ」と、「でも、海外のほうがもっと悪いことをやっていたじゃないか」みたいなところになったときに、そこのところがやっぱり、結構ずっとこじれるポイントの一つでもあると思うんですよね。

角谷:ただ、この問題はいろんなテーマがあることはわかりましたけど、もうちょっと先に進めると、この問題から新たな問題で領土問題っていうのが出てきました。竹島の問題、独島の問題がドキュメンタリーの中では出てきました。それで『独島の歌』っていうのを歌っているシーンがあって、教科書で教えてもらったんだなっていうのがよくわかるような映像が出てきました。今日本人が独島、竹島に行くのは、現実的にはできるんですか?

辺:日本人はできませんでしょう。

平沢:いや、韓国に行って、韓国の国内的に行くのはできるけども、それは日本政府としては好ましくないっていう立場なんです。

青木:韓国で行けるんですよ。別に行こうと思えば行けるんだけど、例えば僕も経験があるんだけど、メディアの人間が例えば取材で行きたいと。そうすると、現実的には韓国側の船に乗っていくしかないわけですよ。そうすると、韓国政府の立場を認めたことになっちゃうので、「メディアは取材に行くな」と言われちゃうわけ。だから、今回取材できているのは、僕なんかは国籍を全く離れて1人の記者として見ればうらやましいなと思いますよ(笑)。

辺:今は日本人は入れていないですよ。

青木:入れてないですか。

木村:いや、入っています。学生団体が。今、瞬間ですか?

辺:いや、今は入れていないです。

木村:つい最近まで入っていましたよ。

辺:そうですか。入れていないと聞きましたけども。あるカメラマンが入ったときに日本人だっていうことになって問題になったって。

青木:昔あれでしょう、日本人記者団が確か韓国の政府の招待か何かで、独島の周りを船で一周するだか何とかっていうツアーがあったらしいんですよ。記者ですから当然行きたいっていうことで行ったら、外務省からものすごい怒られたというか(笑)。

辺:当時日本人を入れたのは、自分たちの領有権を既成事実化するために積極的に入れたんですね。ところが、最近のケースは、逆に、大体ジャーナリストっていうのはあら探しに来たというようなことで拒絶するケースが多いんですよ。

木村:ジャーナリストはそうですけども、現在、実際問題としては、鬱陵(ウルルン)島から船が出るんです。その段階でスクリーニングはやっていないので完全に行くことはできますし、また韓国の大学なんかでは大学の教育の一環として竹島、独島を訪問するということもやっていて、当然その大学に日本人学生がいたら「あなたもどうですか」という形で行ける。

辺:ノーチェックで?

木村:ノーチェックです。入っているようになっているんで、ジャーナリストや政治家の件を一般化すると、現実はだいぶ違います。

辺:なるほど。

角谷:さて、この問題ですけれども、潮さんからいきましょうか。

潮:日本国政府は不法占拠という認識を持っており、外務省のホームページにも日本語で一言一句そう書いてあり、英語でも、韓国語でも、そういう意味のことをきちんと内外に示しているんですが、今回のこの番組にそういう視点が正しく反映されていたのかというと私は大きな疑問を感じますし、竹島が日本の固有の領土であるということについては、日本共産党を含めて全政党がこの点ではオールジャパンで認識が一致しているわけであり、そういう視点がこの番組にあったのかというと、そうではない。それをはっきり言えば、領土という不可分なものを中立的に足して2で割るようなスタンスなどということは本来あり得ないことなんですから、そこは無理があるんだろうと思います。日本の立場から見れば非常に不満が残ったということだと思いますし、この件についても戦後の日本は、韓国よりは抑制的、理性的に対応してきたということが明らかな歴史的事実であると私は思いますが、そういうことがあの番組に反映されていたのかと。あえて挑発的に言えば、日本固有の領土なんですから、その上は日本の領空ですよね。韓国大統領であれ、誰であれ、その上に入ってきたら領空侵犯じゃないんですか。じゃあ、そういう対応を航空自衛隊がしたか?していませんよね、もう何年も何十年も。そういうことが仮にいいことだとすれば、いい意味でも抑制的に戦後日本は対応してきたわけです。この問題は、私は先ほどの歴史認識の問題とコインの表裏の関係にあるのではないかと思います。あえて韓国側の問題については繰り返しませんが、日本側の問題も大きい。ひと言だけ繰り返せば、朝日新聞がこの問題の大きな責任を負っていると思いますし、そこで証言をしたかぎかっこつきの方も日本人なんですよ。これはまず日本がつくっている問題だという側面もあるわけですし、日本政府のこの20年以上の対応において、河野談話についてはもう散々言われているからあえて言いませんが、その前にもいくつか重要な談話を出しており、例えばかぎかっこつきの「関与を認めた」ということも、その言葉の定義をきちんとせずに、あたかも日本に非があったというふうにそれこそ第三者、外国から見えるような内外に向かった談話などを発表し続けてきた。謝っていないからダメだという、乱暴にまとめれば青木さんのそういうお話もあったかもしれませんが、私の見方は正反対で、そうやって謝罪したかのような態度を、あるいは本当に謝罪したことも含めて、繰り返し積み重ねてきたから、「一体何に謝っているんだ」と、「日本は具体的にどういう悪いことをしたんですか?」というふうに逆に聞きたくなるようなことを、いわばその場しのぎの外交なり対応を重ねてきたということが最大の問題であり、私はそういうメッセージをぜひ、それこそ第三者には投げかけていただきたかったなというふうに思います。

角谷:それは木村さん、実効支配っていうものがすべてに優先してしまうからですか?

木村:いや、そんなことはないですよね。そもそも実効支配って言葉を使っていましたけれども、本当の法律的な意味の実効支配っていうのは、片方がずっとクレームをつけていけば成立しないので、そういう意味でも言葉づかいとしては問題なんですけども。それを離れたとしても、実際問題として島を押さえているからといって、島やある地域を押さえているからといって、それによって自動的に領土として認められるってことはないですよね。ただ、日本側がずっとクレームをつけていなければ認めたという話になるのですけども、竹島の問題に関しては、日本側がずっとクレームを定期的に、潮さんの言い方をすると非常に抑制した形で、もう本当に「言っときました」っていうアリバイづくりの形でずっとやってきましたから、それによって何かしら国際法的に状況が動くとかいうことにはならないですね。

(つづく)

◇関連サイト
・[ニコニコニュース]「『世界から見た日韓問題』―タイズ・ザット・バインド エピソード1―」全文書き起こし(1)~(5)
http://search.nicovideo.jp/news/tag/20150731_「世界から見た日韓問題」―タイズ・ザット・バインド エピソード1―?sort=created_asc
・[ニコニコ生放送]「世界から見た日韓問題」―タイズ・ザット・バインド エピソード1― - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv227558581?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/

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