ニコニコ生放送「『領土問題』を考えよう」(2015年8月1日放送)全文書き起こし(4)
ニコニコニュース / 2015年8月23日 13時0分
「ニコニコドキュメンタリー」の第1弾、第三者の視点から日韓問題を描いた「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~」をテーマにした1回目の解説番組、「『領土問題』を考えよう」が2015年8月1日(土)22時から、ニコニコ生放送で配信されました。
本ニュースでは、同番組の内容を以下の通り全文書き起こして紹介します。
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※出演者=話者表記
・山本皓一氏(フォト・ジャーナリスト)=山本
・山田吉彦氏(海洋問題研究家、東海大学海洋学部教授)=山田
・角谷浩一氏(MC/ジャーナリスト)=角谷
・松嶋初音氏(コネクター)=松嶋
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山田:あまりにも近隣国への配慮、これは尖閣の問題がいまだにそうです。いまだに人が常駐されていない。尖閣の警備というのも、周りから海上保安庁が必死になって人数を増やして守っているだけ。でも、中国は東シナ海のガス田のヘリポートにしても、次から次に手を打っている。早く別の手法、安全保障は必ずしも防衛
力、警備力だけじゃないです。外交力、経済力が一体となっていかなければいけないわけですけど、その中でもやはり広報力というのは非常に大きなポイントになっている。
角谷:そうですよね。「戦後レジュームの転換」と安倍さんが言うけれども、それは逆に言えば戦勝国と敗戦国の構造とか、その構造を変えない限りはいつまでたっても日本は戦後70年間でいいことをしていても、「70年前に戦争をしかけて負けた国じゃないか」と、このレッテルが世界中に残っている限りは、またその扱いが変わらない限りは、何を言っても相変わらず70年前の理屈と同じ扱いになってしまうと。これをひっくり返すのは外交ですか?政治ですか?何ですか?
山田:これは縦割りを考えていたら、永遠に無理である。横断的に、経済もです。この国が強いのは経済である。経済と外交、どっちが上だとかじゃなくて、経済戦略も外交戦略も一体となっていかなければいけない。それにこれからは環境っていう言葉が入ってきたり、国連海洋法条約に基づいた国際法、あるいは海底資源開発、それぞれの国のメリット・デメリットを考え、全部日本が判断し分析しながら総合力の外交戦略というのを打ってでなきゃいけないんだと。そのときにやはり強い指導者、リーダーっていうのが不在であっては、それが今までの大きな問題だったと思うんです。「リーダーは誰なの?」、「リーダーは明確な指針を出してきたのか?」、ようやく今出し始めている、出してきたところだと思うんですが、それがぶれてしまうと。
角谷:そうすると、東アジア以外の領有権問題っていうのは、過去、戦後70年としましょう。この間では、ほかはどういう解決策があったのか。僕はフォークランド紛争がすぐ頭に浮かぶんですけど。
山田:フォークランド紛争の場合は、一つ力の理論はある。ただ、その後はしっかりと共同開発という球をイギリスは1回投げているわけですよ。自分たちの主張が明確に通れば、次は手を握るんだよということですね。あとは、国際司法裁判所に提訴する。ペドラ・ブランカ島っていいまして、マレーシアとシンガポールの間で領土を、これは国際司法裁判所で決着がつきました。ただ、今南シナ海はそう簡単にはいかない。複雑になり過ぎている。となると、次は新しい価値観、共同、要は国際的な枠組みの中で管理をしていくということが必要になってくる。特に南シナ海においては、もうベトナムもフィリピンもインドネシアもマレーシアも中国も台湾もそれぞれが手を入れてしまっていて、そこから12海里の領海、200海里の排他的経済水域なんて引けるような状態じゃないんですね。となると、強引に中国は全部自分たちのものだとした。それに対抗するためには、「そうは言っちゃ困ります」という国が力を合わせるしかない。
山本:そういうことですね。
山田:その中には海域利用、航路として使っている日本やオーストラリア、あるいはインドも含めて考えていく必要があるんだろうなと。もう新しい枠組みづくり、日本が海洋国家としてイニシアティブをとって手を打っていく。これは国際社会、多少中国、韓国から批判を受けても動かなきゃいけない時期なんだと思います。
角谷:ちょっと荒っぽく言うと、軍事的な議論で言うと、実は今東アジア海域周辺は潜水艦軍拡競争真っ只中っていう状況になっていますよね。まさにその南沙の問題が大きいんでしょうけれども、どうしてもどの国も潜水艦を大量購入し始めていると。日本もインドとかオーストラリアへの販売っていうんですか、始まろうとしていますよね。そういう意味では、この海域は軍事的な対立や軍事的な緊張のほうが先に来てしまいそうなんですか?
山田:軍事的な緊張、例えば東シナ海のことを言うと、そのポイントは沖縄トラフなわけなんです。東シナ海はずっと100メートル、深くても200メートルぐらい。それが沖縄トラフという海域なると、一気に1000メートル。だから、そこまでを中国は自分たちの海なんだと。その南の出発点が尖閣諸島なんです。
角谷:それは国際的には通用するんですか?
山田:本来は通用しない。
(一同笑)
松嶋:そうですよね(笑)。
山田:通用しないんですけど、でも、これは南シナ海の埋め立てと一緒なんです。「やっちまった」、「おれたちの島なんだ」と、「いや、これは民間利用してあげるんだよ」と。同じようなことを東シナ海でガス田のヘリポートをつくって、要は「自分たちの海域でやっていて何が悪いんだ」と開き直るんです。
山本:失礼。韓国の竹島にどんどん施設を増強して実効支配を進めるというのをそっくり日本は尖閣にやらなきゃダメだったんだけども、それをやらないで、中国は逆に竹島方式を南シナ海でやったっていう言い方はできますよね。
角谷:そうですよね。
松嶋:だからといって、同じやり方でやるのも。
山田:実効支配を覆そうと思うと、武力を使うということになると、なかなか今の国際社会では許されない。となると、早い段階で芽を潰さなければいけないんです。躊躇してはいけない。それは今、尖閣諸島の問題もそうです、東シナ海の問題もそう、沖縄の問題もそうです。早い段階で手を打っていかなければいけない。それが手遅れにならないようにしていかなければいけない。南シナ海が手遅れであれば、次の手をすぐに、今度は倍返しの手を打っていかなければいけないっていうことなんです。
角谷:山田さん、中国はそんな国際社会で通用しないことをやるけど、やっちゃったもの勝ちだというふうになってくると。
山本:例えば、この前も習近平さんがインドへ行ったときに、インドの首相と会談中にチベットへ攻め込んだりしたでしょう。それから、プーチンがウクライナの首相と話している間にクリミアへ行っちゃったわけですね。だから、話し合いでするべきだっていうきれいごとは耳に心地よいんだけれども、その影で軍事力っていうのがやっぱり1つの大きな発言権を強めるっていうことと、抑止力を兼ねるんです。
角谷:国境沿いにガス田がボコボコ立つような状態になっていたら、日本は抗議しているとか、軍事力と言わないけれども、ちょっと優し過ぎるというか、のんき過ぎるんじゃないですかね。
山本:それと中国の焦りみたいなものも出てきていますね。今言ったように、国家100年の大計がもうあとわずかっていうこともあるし。
角谷:なるほど。
山本:それから、山田先生のこの映像を出していただけますか?ここに山田先生につくっていただいた地図があるんですけれども。
松嶋:一番最初に出した地図。
山本:これを実は逆にして見たら、地勢関係的に中国は今どういう境地に陥っているかっていうのがわかるんです。そうですね。黒っぽいところが中国大陸、朝鮮半島、ロシアですね。
角谷:これがロシアで。
山本:それで、赤い星印が中国の海軍基地なんです。
角谷:これね。
山本:ええ。原子力潜水艦、空母なんかを増強しつつある海軍基地ですね。その場合に日本列島がどうなっているか。太平洋に抜けるためには、東シナ海と南シナ海を抜けるより方法はないんですね。
角谷:なるほど。これはしかし、こうやって見るとよくわかりますよね。
山本:竹島もあそこにありますよね。
角谷:ここですね。
山本:韓国にとっては、やっぱり絶対に軍事的に必要なポイントだっていうのはこの地図からもわかるわけですね。じゃあなぜ日本をおとしめて国力を弱めるかっていうと、実はこれは日本政府が最初に考えた手なんです。環日本海構想っていうのが実は明治時代にありまして、古い話で恐縮ですけども、この日本海を朝鮮半島、それから当時のロシアの極東地域ですね。
角谷:この辺ね。
山本:はい。それから、遼東半島。それから、香港、アモイ、あの辺りまでですね。
角谷:こっちですね。
山本:そこまでを押さえれば、日本海が完全に内海になるじゃないかっていう発想なんです。そのために、当時の明治の日本人はシベリアのマイナス50度の極東で、尼港事件というのがありましたけれども、そういうところにも行って各地で日本人村をつくったんです。今の中国が中国人の村というか町をつくっていくっていうのと同じ発想ですね。そうしたら、要するに、日本は内海を押さえる。これをそっくりちょうだいしたのが今の中国です。中国が日本海を全部内海として日本列島まで取り込んじゃおうと。そうしたら、太平洋へどこからでも出ていかれるし、邪魔なものは1つもない。現に日本を分割して東半分は吉林省、いろんなとこに。本州の東京から青森までが日本自治州とか、いろんな地図が今中国で出ているんですね。そういうことを考えたら、やっぱり地政学上からいくと、中国が日本の力を弱めたいっていうのはわかるような気がするんです。それと、朝鮮半島がありますね。それから、沖縄がありますね。こういう逆さ地図で見たら、そこがどれだけ軍事的に必要な地域かっていうのがわかるわけです。
山田:この地図を見ていただくと、やるべきことっていうのは明確なんですよ。沖縄諸島から、要は日本の海域を確実に守ってしまえば、中国は手も足も出ないんです、「勝負あった」なんですよ。要は、日本がしっかりと防衛体制をとる、有事の際は封鎖してしまう、それぐらいのスタンス、力、計画をしっかりと持てば、もう手出しはできないんです。もう明らかに「勝負あった」なんです。なのに、ずるずると自国を守る体制すらも認めようとしない勢力があったり、なんとなくすぐに徴兵制だとか、議論を全然別のところに持っていってしまう。何のためにこの国を守らなければいけないのか、実際に今まで侵略されてきた歴史があって、それが今現在進行形なんだって、北方領土問題や竹島は現在進行形なんだって、まさに尖閣に期が来たのは数年前なんです。そう考えると、やるべきことっていうのはもう見えていて、日本はしっかりとまずは海上保安庁による警備体制。そして、その後ろにある防衛体制。かつ外交力も、しっかりと常に戦える外交力も持っていく必要があるんだと。
山本:長い間日本は島国で周囲は海だと。だから、海が日本を守ってくれるっていう思想が延々続いてきたんですね。ところが、やっぱり現代ではその海を支配することの重要性っていうのが、もう全国家が認識したわけです。そうしたら、海に守ってもらった日本じゃなくて、これからは海を守らなければならない日本っていう発想の転換が必要だと思うんですよ。それが今、山田先生がおっしゃったことだと思うんですけれども。
角谷:この竹島問題の解決策っていうのは、実は日本全部に及んでいるという問題だとよくわかってきましたし、それからもちろん国防の問題、それから外交力の問題、それから認識や意識、それから世界中の認識や意識を変えさせていく強い積極的な広報戦略がちょっと弱過ぎたという問題。これは外務省ですか?どこなんでしょうね。
山田:結局、本来であれば、外務省はすべて内閣、政権のもとに動くべきであるので、これはやはり政権がしっかりと基盤をつくって、どうしても選挙のたびに政権の言うことというのが変わってしまう。もう散々前政権のときに懲りているはずなんですが。それでもなんとなくまた流され始めている。本当にこの国はどういう方向でいくべきなのかっていうことを決めたら、中国という国は、枝葉は変わるんですが、共産党の流れ自体は全くぶれてこない。ですから、しっかりと決めた流れは守る。それが正当な方法でなくても自国の国力を巨大化していくことにつながっている。それに比べてどうも、本来自民党は憲法改正ということでできた政党が何年かけてもまだできていないことも含めて、しっかりとやるべきことっていうのは何なのか、本来何をすべき政党であってどういう方向なのかということを、どうしても枝葉の選挙のためにぶれてしまっているような気は、私は受けています。
山本:今の論議は、極端に言えば、首が落ちるかもわかんないのに伸びるひげの心配をしている議論ばかりが行われているっていう、そういう感じがしてしょうがないですね。
角谷:つまり、「中国が悪いんだから、韓国が悪いんだから」と言っているだけでは国は守れないんだということになりますね。
山田:そうですね。
角谷:さあ、メールが来ていますね。
松嶋:そうですね、ではここから皆さんのメッセージをご紹介したいと思います。ニコニコネーム、マリモスペシャルさんからいただきました。「わかりやすい歴史の説明や貴重な写真や動画をありがとうございます。過去の出来事を勉強していると、どこの国もいかに自国の利益を得るかだけに必死な中、日本だけが周辺国のことまで思いやって行動しているように思えます。こんなお人好しの国がこの先1000年、2000年と存続していけるのでしょうか」。確かに、ちょっと不安になっちゃいますね(笑)。
角谷:そういう意味では、逆に言うと、平和ボケとは言いたくないけれども、70年間安定した国家をつくり上げて、ある意味では成熟度の高まってきた国家をつくれてきた一方、ちょっと手薄になっていること、それから外交というのはODAでたくさんの国にお金を拠出したりすることでみんなに喜ばれたり好かれているかもしれないと思い込んでいたけれども、今のメールじゃないけれども、それぞれの国は自分の国の利益、国益、それから目的、目標に沿っていろいろ進めていたときに、日本だけが「みんな幸せに仲良く、うまくやっていって。うちは少しお金がありますから少し協力できますよ」と言っているだけで何にもしてこなかったんじゃないかって。そこまで言うとすべてを否定しているみたいで嫌なんだけれども。
山本:いやいや、でも、やっぱりややこしいことは避けて、「金持ちけんかせず」っていう、大様さみたいな考え方が浸透し過ぎちゃったってことは言えると思います。
角谷:つまり独立国家として、逆に言うと、何かあったとき、有事の際にアメリカがあるからというところに逆に頼り過ぎていることによって、自分の島の周りのことがちょっとおろそかになっていたのは間違いないっていうことでしょうか?
山田:そうです。自分の島の周りというのは、日本という国土自体をあまり認識していない。今もそうですね。「日本ってどこからどこなの」。
松嶋:そうですね。
山田:どれだけの国民がわかっているかっていうことも含めて、こんなに豊かで恵まれた国、住んでいるだけで本当に幸せになってしまう。メディアも情報も氾濫している、その中で幸せに生きてきて、ほぼみんなが豊かに、格差社会と言われても世界的な格差から比べると非常に少ない、恵まれた国。実は理想に近い国。
山本:悪いことじゃないんですよね(笑)。
山田:悪いことじゃない。悪いことじゃない。
松嶋:(笑)
山田:だから、もっとこのいい国を自分たちが認識しましょう、この国の今の現状を守るためには何をすべきなのかを考えましょうっていう時代に入っているんだと思います。
角谷:だから、10年前に通用したこと、20年前に通用したこと、それが変化しているものに対応するのと、70年前から守ろうとしているものが全部一つじゃないってことですよね。
山田:そうですね。
山本:そうなんですね。
角谷:そこを分けていかなきゃいけない。
山本:それを分けないとダメ。だから、それがうまく負の遺産ばっかりを取り上げられてやると。
角谷:逆に、山本さんにぜひ伺いたいのは、大体この国境というテーマで30年ぐらい前から行っていて。
山本:ええ(笑)。
角谷:「海のここからここが国境だよ」っていうことをカメラマンとして取材し始めて、最初は「君、何やっているんだ」っていうふうに言われていたんじゃないですか?
山本:いやいや、僕はあまり優秀で器用なカメラマンじゃないから、何か1つ事を成すためには、誰もが撮っていないものをじっくり時間をかけて撮りたいっていう発想から北方領土に、たまたま戦後1番目のジャーナリストとして入ることができたんです。それまではカメラマンは現場に行かなきゃダメですから、世界中をまわっていたわけです。そうしたら、いろんな国境を経験するわけですよね。若い人はご存じないかもわかんないけど、ちょうど私の世代というのは連合赤軍事件っていうのがすごい時代でして、世界中でテロを行ったんですね。その年代と僕は全く合致しているんです。だから、ドイツとかイスラエルとかに行ったら徹底的に調べられるんです。靴の裏まで、靴まで脱がされる。そういうのを経験しているうちに、国境っていうのはすごいなと。地雷が埋まっているし、戦車が止まっている、全部身体検査をする。ところで、日本の国境はどうなっているんだろうっていうふうな興味から始めたんですね。そうしたら、知れば知るほど、「一体これはどういうふうになってんの」と、どんどん腹が立ってきちゃったわけです(笑)。だから、あまり政治的な入り方じゃなかったからこそ続けられたんだと思いますよ。その証拠に、日本人はレッテルをつけたがりますよね。今の民主党も安倍政権に対していろんなレッテルを貼っている。僕もそうだったんです。今復活して本が売れているんですけども、田中角栄を僕は3年間追っかけて撮ったんですね。そうしたら、当時は「勤倹角栄のお抱えカメラマン」って言われました。それが多少売れたんで、その資金をもとに次は何をやろうかと思ったときに北朝鮮をやった。当時北朝鮮なんて誰も興味を持っていなかった。「そんなところに興味を持つのは、あいつは在日の生まれかもわからない。それとも極端な左翼だ」とか言われた(笑)。ところが、国境をやりだしたら、今度は「右翼」ですよ。それを政治的にとらえようとすれば、やっぱり非常に難しいんです。僕が仮に左翼の連中とつき合っていて、その立ち位置で撮れば、これは明確にはなるんだけれども、もう色がついちゃうわけです。僕が野次馬根性的な見方でいろんなテーマを追っかけてきたっていうことは、結果的に、自分で比較的公平にものを見られる、目の前で起こっている現実を素直に写真を撮って、そのまま見ていただくという、そういう手法に徹しられたんだと思いますね。
松嶋:では、ここまで日本を取り巻く領土問題について取り上げてまいりました。日本は竹島問題においては結局どうすればいいと、本日のこの番組をご覧になったユーザーの皆様はお考えになったのかなと思いますので、ここでちょっとユーザーの皆さんに。
角谷:アンケートにいく?
松嶋:はい、アンケートを採ってみようかなと思います。それではアンケートです。どん。「日本政府は竹島問題に対してどのように対応すべきだと思いますか?」というアンケートを出します。出ますか?ごめんなさい、急に振っちゃったから。みんなコメントで書き寄せていただいても大丈夫ですし。
山本:いろいろ来るんですね。
松嶋:一応いろいろと、5番まで。
角谷:5択、今用意してあるんですけどね。
松嶋:5択を用意してございますが(笑)。出ますか?もう少し?じゃあ、コメントで募集しますか。わかりました。じゃあ、皆様、きょうこの番組をご覧になってどうしたらいいと。いろいろなコメントが先ほどからも結構流れておりますが。
角谷:いいですか。「日本政府が竹島問題に対してどのように対処すべきか」ということですね。
松嶋:そうですね。さあ、どうでしょう。ちょっと読むのが厳しい感じですけど(笑)。
角谷:今までここで議論してきたことがあまり役に立っていない感じの。国交断絶とかそういうことじゃないような気がしますけど。
松嶋:そうですね(笑)。軍事力の行使とか、海上封鎖。
角谷:経済封鎖。
松嶋:爆破する。何だか、個人的には韓国と同じようなやり方でやってしまうのはあまりよくないんじゃないかなっていう感じがするんですけどね。武力行使というか。
山田:韓国からどんどん譲歩を引き出すような戦略を打っていかなきゃいけないし、経済のこともそうなんですが、一つ一つの譲歩の中で韓国が1歩でも2歩でも竹島問題で日本に譲歩せざるを得ない状況づくり、もうすぐそこまで来ていると思うんです。韓国経済はもうボロボロです。しかも、韓国のインテリゲンチャたちは日本が大好きです。日本にどんどん買い物に、中国人たちの爆買いだけじゃないです、韓国からも来ている。韓流ドラマは結局日本で売れない限りは韓国ではスターにはなれないです。やっぱり日本なんです。そういうところで、日本に対する譲歩を引き出す中で、まずは日本サイドからも竹島に行ける環境をどんどん要求していく。一つ、こつこつやっていかないと、いきなり軍事占領ということはこの国ではあり得ない。
松嶋:そうですよね。
山田:我が国ではあり得ないと。
角谷:しかし、リオデジャネイロが終わった後は、韓国で冬季オリンピックがあって、東京で夏のオリンピックがあって、今度はその後北京で冬のオリンピックがあると。
山本:もうアジア一色だ(笑)。
角谷:本当にアジア一色なんですね。今やっぱり腕力があったり、経済力があったり、上り調子な国がそれぞれあるからということもあるかもしれませんけれども、そこに押しつぶされてはいけないという感じがしますよね。アンケートにいけそうですから、アンケートにいきましょうか。
松嶋:そうですね。準備ができたようです。それではアンケートを出してください。「日本政府は竹島問題に対してどのように対応すべきだと思いますか?」。1番「粘り強く韓国政府と話し合う」、2番「国際司法裁判所に日本単独でも提訴する」、3番「アメリカなど諸外国でロビー活動を展開する」、4番「竹島に海上保安庁の職員や自衛隊を駐屯させる」、5番「しばらく放っておく」。「5はもうやっている」って(笑)。そうですね、ちょっと放ってきちゃってますね(笑)。
山本:これにアンケートの答えが、反応が出てくるわけ?
角谷:はい、今答えが出ます。今見ていらっしゃる方が。
松嶋:ご覧になっている方がクリックして。
角谷:これを自宅のパソコンで見ている人たちは、これをクリックするとこの画面が消えるようになるので。
松嶋:現実的な考えと理想的なものと。
角谷:このアンケートを採った後、もしそのほかというのがあるなら、そのほかの声も皆さんから伺いたいと思いますけど。
松嶋:結果が出たようです。見てみましょう。一番多いのが2番の「国際司法裁判所に日本単独でも提訴する」というもので、その次に多いのが4番の「竹島に海上保安庁の職員や自衛隊を駐屯させる」。
山本:これは難しい。
松嶋:次が「アメリカなどでロビー活動をしていく」ですね。あとは「しばらく放っておく」と「粘り強く」というのが同じぐらいの(笑)。
角谷:ただ、これはもうほぼあまり効力がないし、今までやってきていることだと。「粘り強く」っていうのも、今実際、日本側の声は粘り強いんですか?
山田:日本側は一度だけ、海上保安官が竹島周辺海域で海洋調査を行う韓国の船に乗っているんですよ。そのときは対峙したときに譲らなかった。「だったら、まずは韓国側の調査船の中に海上保安官が乗り込んで我々も調査をする」ということを一応できているんですね。粘り強くというよりは、相手のミスがあったり、相手の隙間をついて、もう積極的に攻撃的に、攻撃的って表現でいいのか、交渉を一歩一歩というか、ガッツンガッツンと進めていく必要があるんだと思います。
角谷:国際司法裁判所は、勝ち負けが気になって今までは韓国側が嫌がっていたかもしれないけど、今は、韓国は受けるかもしれませんか?
山田:今であれば、韓国は受ける可能性はあります。
角谷:ある。
山田:ただし、そのときに韓国ができないのは、国民に対する説明ができないからです。「これはもともと韓国のものなんだから日本の裁判なんて受ける必要はないんだ」っていうことを説明してきたわけですけど、「日本の裁判を受ける」と言ったら、「じゃあ、そういう問題はあったのか」っていうことになってしまう。国民に対してうそをついてきたことを認めなければいけない。
山本:それ1つで政権が吹っ飛んじゃうでしょうね。
角谷:ただ、逆に言うと、まさに山本さんもさっきおっしゃっていましたけど、お互い両国の歴代の政権の政策によって随分と左右してきたのが日韓関係だったような気がするし、それは領土問題だけじゃなくて日韓の政策自体は随分とそこで紆余曲折があったような気がします。そうなると、やっぱり政権同士の緊密な関係っていうのをもう1回つくり直せるかどうかっていうのが、一つポイントになるようですかね。
山田:そうですね、政権同士、そして経済界の関係というのを明確に、日本の経済界と韓国の経済界の関係を韓国国内でも明確にわかるような仕組みをつくっていかなければいけない。
角谷:そうですよね。「今までのつき合いはどうすんの」っていうことに対しては、韓国の財界は無視はできないですね。たぶんいろいろな日本側からのアプローチに答えざるを得ないものをたくさんつくっていく。それがやっぱり一つポイントのような気がしますね。
山田:そうですね。日本の政権の切り札として、経済や環境の問題、あるいは対外的なロシアとの関係を含めて、玉をどんどん投げていくと。日本のフィールド、得意分野に引きずり出していくことを、半島国家からこの東シナ海、日本海に引き出していくことが重要なんだと思います。
角谷:きのうの討論会の潮さんの発言の中で、「本来は韓国は中国に引きずられちゃいけなくて、本来は日本との関係を強化することによって共通の敵があるんではないだろうか」というふうに。もちろん北朝鮮などが想定されるわけですけども、韓国にとって北朝鮮は同胞であるという、またもう一つの複雑な問題があって、これをどうやって韓国サイドが乗り越えられるかっていうのも大きなテーマなんでしょうけれども。いずれにしろ、日本政府に全くカードがないわけではないということがきょうわかりましたし、それから竹島の問題のこちら側の言い分、それから向こう側の価値観、それから教育の仕方、それによってこれだけ違う考え方が当たり前のように進んでいたっていうのは、今回の話で随分とわかったような気がします。
松嶋:はい。といったところで、そろそろ。
角谷:初音ちゃん、どうですか?
松嶋:きょうですか?
角谷:うん。
松嶋:正しいことは正しいって言い続けることっていうのはいかに大切かっていうことはもちろんわかるんですが、やっぱり日本人の特徴というのか、あまり声を大きくしていかない部分とか、でも今この問題っていうのは本当に岐路に立たされているような気がして、先ほどの映像を見ていると、本当に実効支配の恐怖というのをすごく強く感じました。この事実というのがもっと広がっていって、今こんなにも日本の領土といえる場所が韓国によってこうやって実効支配されているってことを多くの人に知ってもらって、どうやって次は立ち上がっていけばいいのか。例えば、海外の人たちにどうやってアピールしていったらいいのかとか、自分の中で今一度改めて考えてみなきゃいけないなというふうにすごく感じました。
角谷:そうですね。そういう意味では、日本人の戦後の穏やかで充実した社会が、ある意味では弱点になっているというような感じが今回の話を聞いていてわかりました。いずれにしろ、この問題、私どもがドキュメンタリーで日韓関係を丁寧に扱っていく中の1つ、「領土問題」というのをきょうは勉強させてもらったということでございます。さて、あす以降はどんなものになっていますか?
松嶋:あした以降も解説番組をお送りいたします。ラインナップはこちらのようになっております。あしたが「従軍慰安婦問題」です。その次の日が「ヘイトスピーチ」などなど並んでおりますので、もし気になる方は今上にコメント、運コメが。あしたの番組もございますので。きょうのコメントでも、きのうの番組をご覧になっていただいた皆様がいらっしゃるのかなという感じがしましたので、ぜひ通して見ていただけると、よりわかりやすく理解していただけるのかなというふうに感じます。
角谷:あした、あさっては解説番組、そして朴さんのインタビューがあると。
松嶋:4日の火曜日が、朴槿恵大統領の妹である朴槿令さんのインタビューとなっております。
角谷:インタビューになっていると。そして、金曜日にはこの「タイズ・ザット・バインド」のエピソード2が。
松嶋:ちょっと見てみたいですね。1もいろいろちょっと(笑)。
角谷:皆さん、いろいろご意見があったと思いますけど。
松嶋:あったようですけど(笑)。
角谷:2を見て最終的に、またその翌日には討論でいろいろ議論していきたいと思います。こんなわけでまだ日韓問題は続きますけども、きょうはお二方ありがとうございました。
松嶋:ありがとうございました。
山田:ありがとうございました。
角谷:この辺で失礼したいと思います。ありがとうございました。
松嶋:またあした10時です。おやすみなさい。
(終了)
◇関連サイト
・[ニコニコニュース]「『領土問題』を考えよう」全文書き起こし(1)~(4)
http://search.nicovideo.jp/news/search/ニコニコ生放送「『領土問題』を考えよう」(2015年8月1日放送)全文書き起こし
・[ニコニコ生放送]「領土問題」を考えよう - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv227565173?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/
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