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ニコニコ生放送「『世界から見た日韓問題』―タイズ・ザット・バインド エピソード2―」(2015年8月8日放送)全文書き起こし(1)

ニコニコニュース / 2015年8月23日 16時0分

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 「ニコニコドキュメンタリー」の第1弾、第三者の視点から日韓問題を描いた「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~」をテーマにした2回目の討論番組、「『世界から見た日韓問題』―タイズ・ザット・バインド エピソード2―」が2015年8月8日(土)22時から、ニコニコ生放送で配信されました。

 本ニュースでは、同番組の内容を以下の通り全文書き起こして紹介します。

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※出演者=話者表記
角谷浩一氏(コネクター)=角谷
松嶋初音氏(コネクター)=松嶋
青木理氏(ジャーナリスト)=青木
潮匡人氏(評論家・軍事ジャーナリスト)=潮
五野井郁夫氏(高千穂大学経営学部准教授)=五野井
辛淑玉氏(実業家・のりこえねっと共同代表)=辛
津田大介氏(ジャーナリスト)=津田
平沢勝栄氏(衆議院議員・日韓議員連盟幹事)=平沢
冷泉彰彦氏(作家/スカイプ出演) =冷泉
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角谷:こんばんは、コネクターの角谷浩一です。

松嶋:松嶋初音です。「本当のことを知りたい」ということで、ニコニコが総力を結集してこの夏スタートさせた、その名も「ニコニコドキュメンタリー」。第1弾は国際的な第三者の視点から日韓問題を描いたオリジナルドキュメンタリー、「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~」、そのエピソード2がきのう放送になりましたが、皆さんはご覧になっていかがだったんでしょうか。角谷さん、いかがでしたか?

角谷:日韓問題というのに、みんなが本当にいろんな思いがあるんだっていうのがわかりますよね。もちろん、賛成、反対、それからここは違う、ここは合っているけどここは自分は納得できない、いろんな思いがあって。

 でも今回のドキュメンタリーの目的は、自分たちが知っている日韓の関係や、自分たちの知っている情報以外のことを知って、それを受けとめることができるかどうか。また「そうか、そんなことは知らなかったよ」というふうな部分では、その後の解説番組を3回やりましたけれども、僕らも知らなかったことがたくさんあった。それを受けて、エピソード2を見ていただいて、そしてきょうの討論会につなげていくと、こんな形ですね。

松嶋:ということで、きのうまでニコニコではご覧のラインナップで日韓問題について考えてみました。こちらご覧ください。このような形ですね。7月30日から「タイズ・ザット・バインド エピソード1」が放送になりまして、31日から本日まで続けて。

【ラインナップ】http://live.nicovideo.jp/watch/lv227559271?po=newsinfoseek&ref=news#01:20

角谷:(くしゃみ、咳き込む)

松嶋:大丈夫ですか?ちょっと体調が悪いから(笑)。

角谷:領土問題では、実は報道写真家の山本皓一さんに出ていただいて、山本さんは実は朝鮮戦争のときの李承晩政権が北朝鮮や中国に追い込まれて、本当に追い込まれたときに、実は竹島というのを、急に李承晩ラインをつくることによって得ることになると、得るというのはいろいろ議論があるかもしれませんけど、李承晩ラインをつくることで竹島を手に入れると。ただ、それには韓国が追い込まれてしまって、もし北朝鮮側に竹島をとられたらますます、あそこから攻撃の拠点がつくられたら韓国は壊滅するという思いがあったんじゃないだろうかという壮大な仮説を説明してくれました。それはもう歴史上の時系列に沿って説明して「なるほど」と。ただ、私たちはそういう視点で李承晩ラインができたことを考えたことがなかったということを考えれば、「なるほどな」と思いました。

 そういう意味では、今回でもいろいろ「なるほど」、専門家や研究者の人たちが話をすると、「そうか、私たちが知っている歴史認識だとか、最終的には結論だけが残っているけれども、そのプロセスを知ることはなかったな」と。それは、例えばアジア女性基金と慰安婦の問題でも、下村満子さんがアジア女性基金のいきさつやプロセスを説明してくれたことによって、「なるほど、こういうこと」、またもっと言えば、総理のお詫びはここで出ていたんだということを改めて知ることになりました。そういう意味では、私たちが実は知っているようで知らなかったこと、また結論だけでそのプロセスを知らなかったことはいくつか皆さんの中でも「そうだったのか」というふうなことはあったかもしれません。ただ、それを総合的に日韓関係に落とし込んで、これからの日韓はどうしていくのか、きょうの番組はそれで進めていきたいと思います。

松嶋:わかりました。このシリーズもいよいよ今夜で最終回となりますので、皆さんは、最初から見てくれた方とかはいらっしゃるんですかね。全部続けて。

角谷:そうですね。

松嶋:きょうだけっていう人も。「ノ」って書いてくれていますけど、結構見てくれているようで。よかった、よかった。

角谷:きょうからっていう方もいるし。

松嶋:「全部見ている」とか。ありがとうございます。うれしいです。きょうのこの話もぜひとも見ていただけたらと思いますが、早速ゲストの方をご紹介したいと思います。「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんです。よろしくお願いいたします。

角谷:よろしくお願いします。

辛:よろしくどうぞ。

松嶋:続きまして、高千穂大学経営学部准教授の五野井郁夫さんです。よろしくお願いいたします。

五野井:よろしくお願いします。

松嶋:続いて、ジャーナリストの青木理さんです。

青木:よろしくお願いします。

松嶋:よろしくお願いいたします。続いて、自民党衆議院議員で日韓議員連盟幹事の平沢勝栄さん、よろしくお願いいたします。

平沢:よろしくお願いします。

角谷:よろしくお願いします。

松嶋:軍事ジャーナリストで評論家の潮匡人さん。

潮:よろしくお願いします。

角谷:よろしくお願いします。

松嶋:お願いします。ジャーナリストの津田大介さん。

角谷:よろしくお願いします。

津田:よろしくお願いします。

松嶋:よろしくお願いいたします。そして、今夜はアメリカから作家の冷泉彰彦さんにもスカイプ中継で参加していただきます。冷泉彰彦さん。

冷泉:はい、よろしくお願いします。

松嶋:よろしくお願いいたします。

角谷:よろしくお願いします。

松嶋:今、冷泉さんはアメリカ、ニュージャージー州のプリンストンにいらっしゃるということなんですけれども、そちらは何時ですか?

冷泉:今、朝の9時をちょっとまわったところです。

松嶋:日本は今とても暑いですけれども、そちらの気温などはどうですか?

冷泉:昼はすごく暑いんですけれども、申し訳ないんですが、朝晩は結構涼しくて。

松嶋:うらやましい限りでございます。スカイプとなりますので、もしかしたら発言のタイミングなどが難しいかとは思いますが、おっしゃっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

冷泉:よろしくお願いします。

松嶋:お願いします。そして、今夜もユーザーの皆様からメールを募集しております。番組ページ中ほどにあるメールフォームから質問やご意見などをお送りください。また、皆様からのコメントもちゃんと読めていますから、お書きください。よろしくお願いいたします。

角谷:さて、青木さんからいこうと思います。きのう放送された、エピソード2の感想からいきましょうか。

青木:僕はエピソード1も2も両方見て、討論番組に出たんで、手短に言えば、前と同じですよね。つまり、あれが客観的だとは思わないけれども、日本と韓国っていうのは今非常にいろんな問題、慰安婦の問題であったりとか、歴史認識の問題だったりとか、その他世界遺産の問題だったりとか、対立してはいるんだけれど、外国から見ればああいうふうに見えるよねと。

 それを是とするか非とするかはもちろん受け手の問題なんだけれども、そう見えているってことを前提に、「おれたちばかりが正しいんだ。あいつらは間違っているんだ」と国際社会で言っても笑われるだけなので、あれを前提に日本と韓国がどういうふうに話し合いをするのか、もちろん反発していろいろ議論しても構わないと思うんですけれども、どうやって話をするのかっていう材料としては非常にいいと思うし。

 もう一つだけ、1と違って今回すごく特徴的だったのが、きょうたぶん議論するテーマになると思うんですけど、ヘイトスピーチの問題ですよね。これはご存じのとおり、ヨーロッパではかなり厳しく法的に規制されているんですね。特にドイツなんかはもちろんそうですし、それからフランスなんかもそうなんですけれども。ところが、アメリカは言論の自由を重んじるという立場から基本的には規制されていないんですよね。ただし、そのかわり、社会がものすごく差別発言に対して敏感に反応するっていうと、また日本とは違うんですけれど。そのイギリス、ヨーロッパのテレビ局のスタッフがつくったっていうことで、やっぱりヘイトスピーチの問題、日本におけるところの問題っていうのをかなり多角的に見ているので、これから法案が今まさに国会で議論されているし、ちょっと伺ったら平沢さんが自民党側の座長だっていうことなので、それはぜひ本当に話したほうがいいだろうなというふうには思いました。

角谷:ありがとうございます。五野井さん、いかがでしょう。

五野井:エピソード2を拝見して、たぶん皆さんも初めて知ったってことは結構多いと思うんですけど、1つにはグレンデール市の慰安婦像の件ですよね。基本的には、日本の中では、あれは韓国の団体がやったんだっていうふうな印象づけだったわけですけど、今回の映像を皆さんがご覧になっておわかりのように、実は日本人、日系人の方と韓国の方と、あっちのコミュニティの方と一緒にやったんだっていうふうなことがちゃんと描かれていた。ここはすごく大きいことなんじゃないかなと思うんですね。

 あと、エピソード1のときも、実は皆さんのを拝見したんですけれども、私は1も2も両方ともBBCがつくった作品にしてはかなり柔らかめだなと思いました。というのは、今戦後70年で、BBCは大々的に、日本も含めていろんな検証番組をやっております。実は、私はきのうまでベネチアに出張しておったんですが、そこでBBCワールドを見ていたら、まさにこのエピソード2でも1でも使われていた映像がちょっと流れたんですよ。それにはどういうふうに描かれていたかっていうと、今回のこの映像と違って、田母神さんと安倍さんを出して、そこで「彼らは歴史修正主義者だ。けしからん」っていうふうな形で出していっているわけですね。それが本来のBBCワールドや、あるいは海外の放送局の姿勢であると考えるならば、今回見ていただいた2つの番組っていうのはかなり優しめにつくったなっていう印象を持っています。

角谷:だけど、番組を見ている皆さんの書き込みから見ると、日本側の言い分は何もないとか、一方的だとかっていうのが今もバンバン流れています。

五野井:流れていますね。だけど、海外はもっと厳しいですよ。

角谷:ということは、もしかしたら「こういうふうに世界が見ているよ」っていうのは、もう番組1回目からずっと申し上げているし、コメンテーターの皆さんもそういうふうに見ていますけれども、認めたくないってことなんでしょうか。

五野井:そういうことかもしれませんね。ただ、海外からすると、これは正直通用しないよね。今の日本の方が多く持っておられるような。

角谷:「一方的である」って書いているけど、一方的に言い分を言っているのは、世界の中で日本だけになっちゃっているってこと。

五野井:残念ながら、そういうことになっていますね。

角谷:なるほど。

青木:特に慰安婦問題は、恐らくそうですよね。

五野井:もちろん、領土問題とかはまた別だと思いますが、慰安婦問題に限って言えば、そうだと思います。

角谷:というふうなことを感じてということです。辛さん、いかがでしたか。

辛:私はこの番組も初めて出演させていただいたんです(笑)。ニコ生も初めてなんですが。まずその前に、どうして日韓なのかっていうのがちょっとよくわからなかったんですね。日本と、例えば朝鮮半島とか、北朝鮮も含めた問題提起でなく、日本と韓国というふうに切ってしまったのはどういう意味からだったのかなっていうようなことも感じたし、同時にBBCの最後の落としどころが「これか」っていうね(笑)。

 私からしてみると、マジョリティの目線から見てあまりアジアのことなんか興味もないというか、深く興味を持つというか、マイノリティの感覚からものを撮るっていうものではなかったので、最後にうまく落として、これで「ちゃんちゃん」みたいな(笑)。そんな感じは否めませんでした。

 ただ、今お話しいただいたときに、多くの人たちが日韓の歴史を知らなかったっていったことに、ここが私なんかにしてみると、いつも話すときの、何を知っていて何を知らないのかがよくわからない、つまり、在日として生まれて、日本の社会で育って、そして私たちが知っていることは相手も知っているだろうとやっぱり思っちゃうわけですね。だけども、「ここから入ったのか」って思ったのね(笑)。パート1のときに「ここから入ったの」って。だから、「そうか」って、ということは、朝鮮半島の分断っていうのは日本の分断であったと、日本の領土の分断であったということもたぶん知らないんだろうなとか、知らない人としゃべるときにどうしゃべったらいいのかっていうのは、私なりに非常に1つの勉強になりました。

角谷:そういう意味では、情報や知識がないことからスタートする意見と、それから知ったときによる動揺を踏まえた価値観の変更っていうものがどういうふうに受けとめられるかっていうのが、実は歴史認識ってものすごく大事ですよね。

辛:大事ですね。共通にベースがあれば議論ができるけれども、そのベースがない中で話をするっていう形になると、結局好きとか嫌いになってしまいますから。

角谷:土俵じゃないところで議論になってしまう。

辛:そうですね。それは非常に見ていて、本当に「BBCがここから来てここで落とすのか」っていう(笑)。なんて表現していいかわかんないような感じでしたね。

角谷:平沢さん、どうでしょう。

平沢:第1回目のときも言ったんですけども、BBCにしてはやっぱりワンサイド過ぎますね。要するに、もうちょっと日韓関係をよく勉強して、それでやってもらいたかった。もちろん、こういう見方があるっていうのは非常に参考になりますけれども。したがって、間違いが随所に見られる。

 先ほど五野井先生が言われた、グレンデールの慰安婦のあれは、日系の方でも確かにそういう形で参加した人はいますけれども、トータルとして見れば、日系は大反対だったんですよ。これを私は確認したんです。今回の件があったからもう1回確認してみた。それは日系の人は何人かいるでしょう。だけども、日系としては大反対だったんです。後でまた先生に聞けばあれだと思うんですけど、そういったことも忘れて、何人か参加したから、「アメリカでは日系と韓国系が協力して慰安婦像をつくった」という、これはひと言で言えば全くとんちんかんなことを放映するっていうのはBBCにしてはどうかなと。

 それから、あと随所に誤りがありまして、例えば「反韓感情が日本で高まったのは経済的に韓国が大きく成長して脅威になってきたこともある」というようなことがありましたけど、それはもう全くないです。これも全くとんちんかんもいいとこで、あまりにも知らな過ぎるなと。BBCにしてはお粗末過ぎると。

 それから、朝日新聞の元記者の植村さんがいろいろと攻撃を受けていることについて、これは絶対に許しちゃダメで、攻撃はいけない。だけど、それは親韓の立場でいろいろしているからということなんですけど、別に親韓でも何でも、そんなことは私は全然問題にはしていないと思いますよ。攻撃はけしからん、嫌がらせは絶対に許しちゃいけないけども、あの人の場合はジャーナリストといえない。青木さんのようなジャーナリストとはとてもいえない。いろいろ言いたいことは山ほどありますけれども、例えば、慰安婦団体の幹部の方と姻戚関係にありながら、そして裁判が起こって、その慰安婦団体の裁判に有利な形でどんどん、そのことを隠して記事を書いていった。それはジャーナリストとしてあまりにもおかしいんじゃないかと、これはもうジャーナリスト失格じゃないかと。その後いろいろ大学の先生をやられる、これは私はいいと思いますよ。子どもはかわいそうだと思うけど。

角谷:子どもは(笑)。

平沢:私はこの先生に習うというのは、子どもはかわいそうだと思うけど、これは自由だから。だけど、それに対して大学に嫌がらせをする、攻撃をする、これはけしからん。それと、子どもたちに対しても、もちろんやるとすれば絶対許せない。ましてや、先生のお子さん方、家族に対してネットで嫌がらせをすること、これは許せませんけれども、私は植村さんはジャーナリストというのは全く失格だろうと思っていますから、BBCはあの方を被害者みたいな形で描いていますけど、私は被害者じゃなくて、そもそも慰安婦の問題が起こったのはあの人が記事を書いてから起こったんで。それまで、1990年まで韓国で慰安婦の問題が出ていたかと。そこから出てきたわけですから。後でまたお話ししますけど、そこからいったら、私はあの人の責任は極めて大きいなと。

 ただ、最後に、前回も言いましたけど、私の秘書をやっていた、パク・チョルヒさんは今ソウル大教授で、彼が「あまり昔のことを取り上げるんじゃなくて」っていうことを言っていましたけど。私は、彼は本当にまともなことを言っているなと。彼は「事実に基づいてやるべきだ、やっぱり感情論でやっちゃダメだ」ということを前回言っていましたけど、今回も彼は「あまり小さいことにこだわって」というようなことを言っていました。彼が言っている「小さいこと」って何かわかりませんけど、「あまりこういうことにこだわっていたら、将来の展望はひらけない」と、彼は来週来ますから、私は一緒に食事をすることになっていますけど。

角谷:そうですか(笑)。

平沢:私は、彼は非常にまともだと、そういう方もいっぱいおられるということだろうと思いますので。

角谷:平沢さん、ここで立ちどまろうっていう気はないんですけれども、日韓問題の将来のことを考えると、ちょっと今のご説明の中で、平沢さんは、例えば朝日の記者に対していろんな思いがあるのは、それぞれの人があるけれども、だけど今度は大学に攻撃をするとか。

平沢:それはけしからん。

角谷:だけど、日韓問題ってたぶんそういう形で広がってきたこともあるんじゃないですか?

平沢:そうなんです。ですから、この問題は、要するにひと言で言うと、パク・チョルヒさんが前回のときに言ったように、まさに事実をしっかりとらえて、要するに、誤った事実で結局お互いにやり合っていたらどうにもならないんで、事実は何かってことをしっかりつかんだ上でやっぱり謝るところは謝るっていう形でいかなきゃダメなんで。事実を結局違ったような形でやるっていうのは、私はとんでもないと。だから、日本もいろいろな問題があるんだけども、日本だって怒っちゃうわけですよ。だから、一番大事なことは、ともかく事実は何なのかということなんで、事実をとらえないで、ただ「謝れ、謝れ」って言ったって、そうはいきませんよと、こういうことだろうと思います。

角谷:はい。潮さん、お願いします。

潮:基本的には先週のこの番組で申し上げた感想と同じです。当たり前のことですが、同じスタッフが同じコンセプトでつくった同じ番組のエピソード1とエピソード2ですので(笑)、私が同じような感想を抱くというのは当然の結果だろうというふうに思います。

 先週申し上げたとおり、イギリス、つまり戦勝国、連合国の視点というところから自由になっていないと。例えば、最近の問題を取り上げながら、なぜ産経新聞の前ソウル支局長を起訴したと、しかも現在も公判を維持しているということについて触れないのかという疑念を先週この番組で申し上げました。しかし、内心実は、先週私はここに、全く同じ席に座ったと思いますが(笑)、たぶんこれはエピソード2のネタでオチとしてとっておくつもりなんだろうなというふうに、ちょっぴり以上に思っておったわけなんですが(笑)。ずっと最後まで見てきて全然出てこないわけですよね。それで最後の最後のオチが「これかよ」っていうことで、完全に肩すかしを食らわされたというのが正直な思いです。先週、その問題がいかに重要かということは申し上げたので繰り返しませんが、きょうのこのエピソード2については、例えばいわゆるヘイトスピーチの問題、あるいは朝日新聞の植村隆記者が当時書いた記事の問題などを巡って、報道の自由ということが随所に語られ、それを巡ってこのことについてはこう考えるべきではないかと示唆するような展開があったわけなんですが、だったらなぜ産経のこの問題を取り上げないのかと思いながら、最後まで、「出てこないのかよ」というのは(笑)。私の強い不満です。

 個々のことについては、これから個々に議論させていただくことになると思うんですが、冒頭でひと言総論で申し上げれば、ヘイトスピーチの問題にせよ、朝日の問題にせよ、日本の国内の議論をいわば俯瞰するような形で完全な客観的公正さというようなことはあり得ないんでしょうけれども、はたしてどこまでそれを追究できているのかなということで考えると、そもそもなんたら隊、なんたら隊の人たちって(笑)、どっちも日本の議論を、例えば左右を代表するような団体でもありませんし、残念ながら公の議論の、世論の形成ということについてあまり影響を持っていない。突出した議論、あるいは言論と言っていいんでしょうか、行動だと思うんですけれども。それを取り上げるっていうのが、何か日本の議論を紹介しているということになっているんだろうかという根本的な疑問を私は持ちましたし、植村隆記者のことについても、植村さん自身がご出演されて、そしてその主張が一方的に、ほぼ全面的に展開されたというのが私の強い印象で、なぜ彼があのような立場に追い込まれたのかということについての客観的な視点ということに欠けていたというふうに私は思いました。

角谷:別に潮さんに反論する中身ではないんですが、例えば、今回いろいろなテーマで取り上げられたと言うけれども、一方でこれがあるじゃないかっていうふうなものが、足りないものっていうのがどうもたくさんあったんじゃないかと。平沢さんも「一方的だ」っていうふうな声がありました。つまり、日本にはもっと建設的だったり、冷静な声があるのになぜ取り上げないのか、それとも韓国にこんなひどいことをされているのにこの問題をなぜ取り上げないのか。そちらなんですか、どちらですか。

潮:そこは両方の側面があると思うんですが、私が産経の問題などにこだわっているのは、まず今現在進行中の問題であるということに加えて、政府も総理以下要人がそのことについてきちんと抗議なり、遺憾の意といったようなことを伝えているわけです、表明しているわけですし。産経新聞社はもちろんのこと、例えば朝日新聞を含めて、そこは立場を問わずに日本の立場、日本の主張として「韓国の今回の措置はおかしいのではないか」ということを日本の国内でいわば官民を挙げて、立場を超えて声を上げている。この問題についてスルーしておいて、普通の多くの人は名前も聞いたようなことのないグループの主張をご紹介いただいても、「ええ、そうなんですか?」というのが正直な感想ですね。

角谷:ヘイトスピーチに関しては、それぞれが我が国を代表する団体とは思わないけれども、一方で国連も昨年以来ヘイトスピーチの問題に対しては勧告を出しているのも事実ですし、それから我が国では参議院で既にヘイトスピーチをやめさせるための法律の審議が始まっているという意味では、団体の組織自体の存在の価値の大きさよりは、この問題が存在しているってことが取り上げられたことはそんなに問題じゃないような気がしますが。

潮:だから、そこを取り上げるのがそれほどおかしいということを申し上げているのではありません。例えば、一連の番組の中で「ヘイトスピーチを考える」と取り上げるのは当然なんでしょう。しかしながら、例えば植村記者の問題について、彼が記事を書いた当初から「これはおかしいのではないか」と、「女子挺身隊の名で連行されというところは明らかに事実誤認だ」というふうに、例えば西岡力さんなどは当時から主張されていたという事実やその側面について取り上げずに、あたかも一方的に何かそういう日本のヘイトスピーチ的な言論が高まっていて、そのかわいそうな被害者であるかのように植村氏を紹介しているというのは公正な取り上げ方ではないというふうに私は思います。

角谷:潮さんにとって、公正に取り上げたって、どうすればよかったんでしょうか。

潮:それは、例えば西岡力さんなり、そうした陣営の代表的な論者の方がこれまでの経緯を振り返り、「私は一貫してここがおかしいと思ってきました」と。そのことと、例えば先ほど触れられたように、番組でも取り上げられていた「私の娘がネットでさらされ」というようなこととは、「もちろん別次元の問題です」というふうに当然西岡氏も活字で書いていらっしゃるし、私もそう書いたことがあります。そこをあたかも一緒くたにするかのように取り上げているというのは、不公正ではないかというふうに思ったわけです。

平沢:植村さんと西岡さんは、たしか今裁判をやっているはずですけど。そうだったらば、その一方だけを取り上げて片っ方を取り上げないというのはワンサイドもいいところで。先ほど申し上げたように、被害者っていう形だけの視点で取り上げるっていうのは、私はおかしいと思います。

角谷:なるほど、わかりました。津田さん、お願いします。

津田:皆さんがおっしゃっているっていうことだったり、僕が個別に気になったところっていう話で言うと、あとコメントで言うと、「なんでここに座ってんだ」ってずっとコメントがあるんですけど、座っているのを決めているのはドワンゴなんで、ドワンゴにぜひクレームを入れていただければと思うんですが(笑)。

 全体的にやっぱり、非常に映像の持つ強さが生かされているかなというのは思いました。いろいろ印象的な部分はあったんですけど、僕が一番「こういうことだったのか」というふうに思ったのは、京都朝鮮初級学校の周辺で繰り広げた在特会の抗議のところ。だから、あれは要するに、抗議をしているのを受ける側のほうから見た映像とかが使われていたっていうところで、あれは結果的には裁判になって高裁まで行って負けているわけですよね、一審も二審も。ただ、僕もあのときのニュースっていうのはいろいろ見ていたんですけれども、あのときに在特会側が主張したことは何かっていうと、「あれはそもそも差別じゃないんだ」と、「国籍による区別を主張していて、あれは人種差別でも名誉棄損にも当たらない」って表現の自由を強調していたと、「あくまで日本社会をよくしようという真摯な思いを刺激的な表現をもって世間に訴えようとしているだけだ」っていうのが彼らの主張だったわけです。その主張の彼らの根拠には、公園の占拠の使用問題というのがあったことは事実なんですが、裁判官はなんで判決でそういう表現の自由を認めなかったのかっていうと、あれは要するに「在特会側の政治的言論というのは、あくまで差別の隠れ蓑として使っているだけでしょう」というふうに判断したわけです。「外見上は政治的な言論のような体裁にしているんだけれども、それは表面的な装いに過ぎませんよね」っていうこと。

 だから、公園占拠の使用問題、これの制度の改善っていうのを在特会側がもし本当にそれをちゃんとねらって主張するんであれば、何もああいう形で、まさにドキュメンタリーで取り上げられたような、ああいうような攻撃的な抗議行動というのをする必要はないわけですよね。淡々とウェブで発表するなり、もしくは政治家に陳情するなり、そういうのでやればいいんだけれども、結局それは実現されていない。非常に暴力的だっていうことが映像に記録されているっていうことは非常に重要ですし、実はあの動画って裁判官も見ているんですよね。裁判官も見ていて、結局のところ、在特会のプラカードとか、そういうのも全部見た上で裁判官が判断しているということなので、結局のところ僕が思うのは、在特会の裁判ってなんで有罪になったのかっていうと、今ヘイトスピーチの規制法っていうのはないわけですけれども、差別的な意識を伴う威力業務妨害だっていうことが認められたわけですね。

 それは本当に文字だけで、新聞の記事だけで見るとどういうことが怒っているのかわかんないし、その記事に対していろんなことをネットではやいのやいの言うけれども、しかしやっぱりあれがドキュメンタリーの中でああいう形で見せられることによって、あれを見た上で、あの抗議が正当なものだと言える人は、僕は本当に頭がおかしいと思います。そういうことを明らかにしたっていうのは非常に有用だったとも思いますし。つまり暴力的な差別だったから問題だったっていうことが問題の本質でもあるし、裁判でも認められた。それがこういうドキュメンタリーになって海外に伝えられるっていうことは意味が大きいんじゃないかなと思います。

 だから、ドキュメンタリーを見た上で、在特会の京都でのあの抗議が認められるのか、せっかくニコ生ですから僕は視聴者にアンケートで聞いてみたいです。あの在特会の映像を見た上で、あの抗議が正当なものだったと思うかどうかっていうのをアンケートで聞きたいぐらい、そういうふうに思いました。

角谷:なるほど。そのアンケートは後で採るとして、まず冷泉さんに聞きましょうか。

松嶋:冷泉さん。

冷泉:はい。

松嶋:ドキュメンタリーのエピソード2はご覧いただいたかと思うのですが、ご覧いただいていかがでしたでしょうか。

冷泉:皆さんわりと細かな事実とか、情報の正確さとか、そういうことにこだわってお話しされていますけど、私がざくっとした見方をした中では、やっぱり欧米の人たちが日韓に対して抱いているイメージにすごく近いと思ったんですね。

 どういうことかっていうと、今はずっとクールジャパンとか、日本の文化がアメリカとかヨーロッパで非常に流行っているっていうのがあって、それは日本の皆さんからすると、もうそろそろ飽きてきたんじゃないかなと思っていらっしゃる方もあるかもしれないんですけど、依然としてものすごく強いわけです。とにかく日本人っていうのは、やっぱり礼儀正しいし、物事をきちっとつくるし、日本の製品っていうのは非常に故障しないだけじゃなくて、デザインとか、ファッションとか、あるいは食文化とか、ものすごくおもしろいなと、これがまだあるわけですね。

 韓国も、長い間韓国のカルチャーって欧米ではあまり知られていなかったんですけども、ここへ来て経済的な進出ももちろんありますけども、カルチャーの面で言うと、例えばK-POPとかいろんな形で、日本の影響を受けているのかもしれないけども、やっぱりちょっと日本とはまたひと味違う、アジア発の不思議な21世紀のある種のカルチャーを発信しているなっていうことで韓国のイメージも少しずつよくなっている。

 ところが、その日本と韓国がやっぱりものすごくある種の問題を巡ってこういう形で関係が悪くなっているっていうことを知ると、実は先にカルチャーを知っていてすごくイメージがいいなと思っていたのが、その当事者同士が非常に仲が悪いってことを知ると、がっくりするわけですね。「あれ、なんでなの?」っていうような感じが。それを詳しく見ていって、例えばヘイトスピーチの問題なんかを見ていくと、日本ってもっと本当にクールで、例えば日本のアニメなんかも政治への不信感とか、あるいは管理社会の告発とか、いろいろ新しいメッセージ、環境のメッセージとかが入っていて、日本ってアメリカとかイギリスなんかに比べてもっと進んだ21世紀の国だと思っているのに、ものすごく素朴な、19世紀的というか、20世紀的なナショナリズムのけんかみたいなことをやっていると「あれ、がっくりするな」と、そういう残念感みたいなのがあって、それがすごくこのエピソード2には反映されていた。ですから、あまり前提知識のない欧米の人が見たら、「なるほど、そうなんだ」っていうふうにすっと入っていっちゃう、そういうつくりだなというふうに私は思いました。

角谷:なるほど。日韓の関係っていうのは、そもそも知識としてはアメリカではあるんでしょうか、ないんでしょうか。

冷泉:あまりないと思いますね。

角谷:なるほど。

辛:興味がないんじゃない。

冷泉:だから、最初に例えば韓国側の、韓国系の人たちなんかがある種主張すると、それは「そうだったんだ」ってすっと入っていってしまうということがありますけども、とにかく前提知識として日韓の関係についてはあまり知られていないってことはあります。

角谷:そうなると、冷泉さんは知らない人がつくったり、見たりすると、こういうものになりがちになるのは想定できるっていう印象ですか?

冷泉:そうですね。というよりも、知らない人がつくっているっていうよりも、ある程度知っている人がつくっているんだと思うんですけども、ある程度知っている人たちにとっても90年代以来、だから、例えば日本での竹島の日の制定っていうのが一つのきっかけになっていると思いますけど、それ以前の、それこそ第一次の例えば侵略・進出の教科書問題以降あたりのガタガタしたころから、やっぱりアメリカなんかでは、日本と韓国を両方知っている人たちは「あんなに文化的に近くて、それぞれの国の人はすごく礼儀正しくってきちんとしているのに、なんであの人たち同士の仲が悪いんだろう」、「不思議だ」とかっていう感覚をみんな持っていて。ですから、知っている人の中でも「こういう理由があるからやっぱり関係がよくないんだよ」っていうことを冷静に受けとめる人は少なくて、「なんでなの?こんなに近いのに。世界の中で本当にそっくりと言っていいぐらい、言語的にも、文化的にもすごく近いのに、なんでここまで関係が悪いんだろう」っていう、やっぱり最初から疑問を持っちゃっている人は多いと思います。

角谷:今の冷泉さんの「日韓は近いんだ」と、「言語的にも、文化的にも、礼儀も正しいし近いんだ」と言っていると、もうユーザーの皆さんは「全然近くない」と、「全く違うぞ」と書くんですけど。これは日本人だから、韓国との違いばかりを探すからですか?

冷泉:いや、それはやっぱり日本にいれば日本以外は外国ですから、韓国とのいろんな問題があるけれども外国との問題っていう形で認識されますよね。それは当然だと思うんですね。ところが、アメリカから見ていると、普通のアメリカ人から見ていれば、やっぱり日本人と韓国人はすごく似ていますし、もっと言えば、アメリカで暮らしていると、我々なんかもそうですけども、とても異文化の中に暮らしていて大変さみしいことがあるわけですよ、つらかったりとかですね。そういうときにふと気がついてみると、やっぱり自分にとって韓国系の文化っていうのはすごく親しく感じられたんですね。例えば、どうしても日本料理が恋しくなって、どうしてもお寿司が食べたいっていったときに純粋な日本料理屋がない。そうすると、韓国系のお店に行くと食べられるわけです。そうすると、例えば中国系の人がやっているお寿司屋さんよりはずっとまともなのが出てくるんです。

角谷:なるほど(笑)。

冷泉:プロ野球の選手で日本から来られた方がみんなよく言っていますけど、本当に腹が減って、だけど日本食が恋しくなったときに、全然なかったら仕方がないから韓国系の店に行くって、そういう感覚が我々にはあるわけですよ。そういう意味では、日本にいらしたら日本以外は外国だから距離感が出てくる、それはしょうがない。だけど、日本を一歩出たときは、日本人である私にとってもそういう感覚が出てくるし、ましてやアメリカ人とかイギリス人とか、普通の外国の人が、第三者の目で日本と韓国を見たら、やっぱりものすごく近いし、ものすごくそっくりで、「だって、ほかと比べたら本当に似ているじゃない」ってことになっちゃいますね。

角谷:ありがとうございます。青木さんが番組で一度、「パリの支局に行くと、やっぱり日本人の記者と韓国人の記者はどうしても一緒になっていくというのは、まさに近いからだよ」と、こういう話ですね。

青木:別にパリに限らずアメリカなんかもそうなんですね。ワシントンの支局だったり、ニューヨークの支局だったり、西海岸の支局だったり、世界中どこでもそうなんですけれど、現地に行くといろんな国のメディアの人たちともちろん競争しながら仕事をするわけですけど、最終的にやっぱり韓国と日本の記者っていうのは仲良くなるんですよ。それは、例えば北朝鮮の問題なんかとか、共通のニュース感覚とか、ニュースバリューのあるものっていう共通のテーマっていうのもあるんだけれど、でも今まさにおっしゃったとおり、食事だったり、ものの考え方、例えばこれは皆さんご存じでしょうけれども、韓国語と日本語っていうのは基本的に言葉の語順は全く一緒ですから、極端なことを言えば方言と言ってもいいかどうかぐらいの言葉の近さっていうのがあるわけだし。

 だから、前回紹介したとおり、ほかの外国に日本人とか韓国人が行くと同じところを見つけて喜ぶのに、日本と韓国がお互いに行くと違うところを見つけて腹を立てると(笑)。「ここが違うじゃないか」って言って腹を立てちゃうっていうあたりが、ある意味兄弟げんかっていうところもあるんでしょう(笑)。ただ、兄弟げんかじゃ済まない状況になっている面もあるので。

角谷:では、今度はユーザーの皆さんからの声を聞きましょうか。

松嶋:では、先ほどの津田さんがおっしゃっていたアンケートの準備ができましたので。それでは、アンケートを採りたいと思います。アンケートです。「在特会の朝鮮学校への行為は正当なものだと思いましたか?」、1番「はい」、2番「いいえ」、3番「わからない」。

角谷:エピソード2を見た感想が反映されるかもしれないし、今までの皆さんの情報や知識などでの判断もあると思いますけれども。出ましたね。

松嶋:結果が出ました。「はい」が38.3%、「いいえ」が49.0%、「わからない」が12.7%ということで、一応「いいえ」がやや多いですけれども、そこまで大きな差がついたというか、どちらか決めかねている人もいるのかなという感じもいたします。このような結果になりましたが、津田さん、いかがですか。

津田:予想どおりと言えば予想どおりだけれども、コメントの中でも在特会じゃなくて、さっき潮さんがおっしゃっていたみたいな、要するにああいうのだけではなくて、もっと冷静に事実で反論する人たちも多いし。たぶん今回のドキュメンタリーに満足していない人の中でも、「在特会はなしでしょ」っていう人もいると思うんで、たぶんその中でのグラデーションはすごくあるだろうし、そのグラデーションの結果ではあると思いますけどね。

青木:だけど、先ほど産経新聞の問題はなぜ入れなかったのかとか、あるいは西岡さんの発言はどうして入れないのかって、もちろん主張としては、僕は非常によくわかる、あるとは思うんですけれど。ただ、イギリスのドキュメンタリストがつくってみたらこうなったと、これは受けとめざるを得ないわけですよね。

 それから、もう一つは、津田さんがおっしゃっていたように、違ったらコメントでいろいろ書いてほしいんだけど、僕は京都朝鮮学校のヘイトスピーチは国際的な恥だと思いますよ。だから、やっぱりこれを支持するとか、いいと思うって言っている、半分ひねくれてイエスを押している人もたぶんいると思うんだけれど、あれはどう考えても国際的に恥を振りまいている以外の何ものでもないので。後ほどその話になるんでしょうけれど、やっぱりこの問題をどうするべきか、法的に規制するのか、あるいはほかの方法があるのかどうなのかっていうのはやっぱり真剣に議論するべきだと僕は思います。

辛:今のアンケートもそうだけど、こういうアンケートが採られて、それで「あれは犯罪ではない」とか、「あれはやっていいことなんだ」っていうのが、今数字が出ましたよね。それを例えば当事者が見たらどう思うのかっていう、こういう想像がないんだろうなと思うのね。

 つまり、例えば「お前を殺すぞ」って言われて、言われた人に対して「でも、あいつは殺されてもいいんだ」、「はい」って言うのと全く変わらなくて。つまり、当事者からしてみたら、それそのものが非常に見ることができない結果ですよね。差別が娯楽になっているんですよね。特にこのニコ生もそうですし、多くのメディアが差別を娯楽として楽しんで、そしてそれによって傷つく人がいる、それからその傷つく人っていうのは国境を超えていて、性差も超えていて、そういう人たちがいるんだということの感覚が全くない。恐らく今の数字で、在日はニコ生は見られないよね。つまり、そういう形で言葉を奪われていく、沈黙をせざるを得ない。私のことを「叩いていいんだ」っていう人たちが、少なくとも今このアンケートの中では10人のうちに3人から4人はそう思っているんだなと思うことの恐怖心。同じ社会で暮らしていて、同じところで空気を吸っていて、そしてずっとここで生きていく人たちにとって不安にならなくてはいけないということ。

 それからもう一つ、日韓の問題という形でいろいろ話が出ていますけれども、私はこのヘイトスピーチを含めて、この問題の中で一番しんどくて声が上げられなくなっている人たちは当事者と同時に、日本国籍を取得して日本の社会で2世、3世になって生きてきた人たちの葛藤というものが語られることがやっぱりないわけですね。私はドイツに行ったときに、ドイツで暮らしている日本の国籍の人からしんどい相談を受けたわけです。それは何なのかっていったら、自分のおじいちゃんとかおばあちゃんとか上の世代で日本の国籍を取得して、そして今自分は日本人として生きていて、それで自分の出自が何らかの形で、それは4分の1か、もしくは16分の1かはわからないけれども、そのときに自分がそういうふうに叩かれる側の血であったりとか、出自だったということによって混乱を起こしたりとか、不安になったりとか、パニックになったりとか、そこから来る、例えばさまざまな差別であったりとか、そういった日本社会そのものに、この社会で生きている、日本国籍を持って日本人として生きている人たちに対しても、ものすごく打撃を与えて、沈黙を強いているっていうことをもう少し想像しなきゃいけないんじゃないかなって思うんですよね。

松嶋:なるほど。さて、「タイズ・ザット・バインド エピソード2」をご覧になったユーザーの皆さんからも一応メールが来ていますので、そちらをご紹介させていただければと思います。

 1つ目のメールです。こちらニコニコネームはありませんが、東京都の男性からいただきました。「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~エピソード2を拝聴させていただきました。日韓両国の文化交流、共通点や歴史問題について学ぶことはできました。ただ、視聴した感想としては、日本が韓国と国交を結び続けることによるメリットはあまり感じることができませんでした。というか、むしろ、デメリットのほうが多いようにすら思えます」。

 続いてまいります。ニコニコネーム、ゴンさんからいただきました。「貴重な放送をありがとうございます。日本は外国に対してしっかりと自国の考え、主張、そして情報を届けるためのロビー活動により力を入れるべきだと確信しました。今回の番組は、8割は韓国寄りの主張だったと思いますが、これも1つの見方なのでしょう」。

 続いてです。ニコニコネーム、ニコさんからいただきました。「エピソード1も含めての印象ですが、日韓から離れた立場から作成されたこのドキュメンタリーは日韓問題を見つめ直す題材としては、それなりの役割を果たせていると思います。ただ、今現在相手の国、民族に対して反感を持っている方々がこれを見たからといって対話の姿勢を持つようになるとも思えません。これまであまり関心を持っていなかった方が相手の国の反日、反韓活動を見て反感を持つようになる可能性すら感じさせられる番組でした。ただ、このドキュメンタリー番組が意味がなかったとは思いません。これをきっかけとして討論番組などでどうフォローしていくかが大切だと思います」。

 という3つのメールをご紹介させていただきました。

角谷:いろんな見方があるし、それから感想はありますから、これはもうすべてをご紹介するわけにはいかないけれども、代表的なものとして選んでもらったんだと思います。

(つづく)

◇関連サイト
・[ニコニコニュース]「『世界から見た日韓問題』―タイズ・ザット・バインド エピソード2―」全文書き起こし(1)~(4)
http://search.nicovideo.jp/news/tag/20150808_「世界から見た日韓問題」―タイズ・ザット・バインド_エピソード2―?sort=created_asc
・[ニコニコ生放送]「世界から見た日韓問題」―タイズ・ザット・バインド_エピソード2― - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv227559271?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/

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