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ニコニコ生放送「『ヘイトスピーチ』を考えよう」(2015年8月3日放送)全文書き起こし(2)

ニコニコニュース / 2015年8月23日 15時0分

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 「ニコニコドキュメンタリー」の第1弾、第三者の視点から日韓問題を描いた「タイズ・ザット・バインド~ジャパン・アンド・コリア~」の3回目の解説番組、「『ヘイトスピーチ』を考えよう」が2015年8月3日(月)22時から、ニコニコ生放送で配信されました。

 本ニュースでは、同番組の内容を以下の通り全文書き起こして紹介します。

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※出演者=話者表記
・鵜飼哲氏(一橋大学大学院 教授)=鵜飼
・江川紹子氏(ジャーナリスト)=江川
・中沢けい氏(作家)=中沢
・角谷浩一氏(MC/ジャーナリスト)=角谷
・松嶋初音氏(コネクター)=松嶋
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角谷:ちょっと年表を出しましょうか。

松嶋:これまでどういった経緯があったのかというのを、ヘイトスピーチを巡ってなんですけど、関連の年表を作成いたしました。

【年表1】http://live.nicovideo.jp/watch/lv227566870?po=newsinfoseek&ref=news#28:18

中沢:すいません、これは私がざっくり記憶でつくったものなので、いろいろご批判、ご批評はあると思うんですが、2001年という年がとてもおもしろい年です。安田浩一さんの『ネットと愛国』だと、「2002年の日韓ワールドカップのころから韓国に対する嫌韓って言われているような行動が目立ちだした」って書かれています。

 実際そうだったところもあるんですが、ちょっとその1年前を見てみると、今度のドキュメンタリーの中にも出てくる事件ですが、1月に新大久保の乗客転落事故というのがありました。たまたますごくよく記憶しているんですけど、寒いみぞれ模様の日暮れの事件で、日本人のカメラマンの男性と韓国人の留学生の男性が線路下に転落した乗客を助けようとして3人とも亡くなられているという事件で、今新大久保の駅に記念碑が残っています。

 同じとき、NHKの『戦争をどう裁くか』第2夜で「問われる戦時性暴力」っていうんで、国際戦犯模擬法廷の番組があって、そこで今の首相の安倍さんと、亡くなられた中川、私はお父さんの名前と間違えた。

角谷:昭一さんですね。

中沢:昭一さん。昭一さんとがかかわってクレームがついたという事件があって、朝日新聞とNHKの間で相当なやり取りがありました。これが同じ時期に起こっているんですけど、1つは日韓関係が非常にうまくいっていて、映像の中でも出てきますけど、ご子息を亡くされたご夫妻が留学生のための基金をつくられたりして、日本政府がそれを表彰したりしている。一方、この番組はどうして1月にこれを取り入れたかと。この事柄があったから、いわゆる行動保守っていわれている、政治運動ですか、社会運動をする人の中から韓国を相当罵倒する街宣をする人が出てきたんですね。どうもここがポイントだったらしいということを最近いろんな方が指摘しだして。

 翌年が日韓ワールドカップで、これは皆さんご承知のように、サッカーってナショナリズムが燃え上がりやすいスポーツで、野球のように見通しがつかないとこがあって、ちょっとお水を飲んでいる間に1点入れられて「なんだ」って言って興奮したくなる。安田さんがご指摘のように、この辺からいろいろな嫌韓に関する表現が出てきます。

 2006年12月に、先ほどの映像にも出てきましたが、桜井誠氏が会長となって、今は元会長になっていますけど、この「在日特権を許さない市民の会」が発足する。この間ちょっと抜けていますけど、桜チャンネルなどに桜井誠氏が出て、嫌韓的な発言を繰り返していたというふうに聞いています。

 2009年の同じ12月に、後に裁判でいろいろな結果を出す京都初級学校への襲撃事件があって、先ほどのフィリピン人のお嬢さんは中学生でしたけど、これは初級学校で小学生ですよ。小学生相手に「スパイの子ども」とか「キムチ臭い」とか、めちゃめちゃなことを言っているんですよね。

 その後11年、これは在特会とはちょっと違う系統ですが、フジテレビへの抗議デモで「韓流番組ばかりを流すな」というデモがありました。これも1つの節目になっていたように思います。

 さらに翌年の8月になると、李明博大統領が竹島に上陸したことをきっかけに、新大久保などのヘイトスピーチデモが非常に激化したのと、腹が立ったのは散歩と称する嫌がらせ。デモを解散した後に新大久保の韓流スターのブロマイドなんかを売っているイケメン通りに入っていって、「朝鮮人の店で買い物をするな」とか、「この売国奴ばばあ」とか言って歩いたんですね。私がたまたまそこにいたら、間違いなく被害者になっていました。韓流の時代劇が大好きですから。ただ、渋い俳優さんが好きなので、あまりブロマイドは。

(一同笑)

江川:韓流で言うと、『冬のソナタ』でしたっけ?あれが放送されたのは2003年じゃないですか。

中沢:はい。

江川:だから、新大久保の事故があり、そしてワールドカップがあり、『冬ソナ』で韓流ドラマがバーッとはやり、日本が結構韓国に行ったり、そういうふうになってきた。だから、どちらかというと、文化とかスポーツの交流なんかが、あるいは民間人の交流があって「いい方向に行くね」って盛り上がった。

中沢:そう、2003年って。

江川:でも逆に、そうなると、嫉妬じゃないですけども(笑)。「あいつら、気に入らない」っていう、やっぱり反動が来たっていう、そういう感じなんですか?

中沢:この辺の問題はもう少しジャーナリストに丁寧に調べてほしいです。私は最初は2ちゃんねるでそういう言動が目立っていたのを知っていたんです。例えば、一例を挙げると、社会党の委員長の女性の。

鵜飼:土井さんですか?

中沢:土井さん。「土井たか子さんは在日なんだ」なんてことを言って、これは裁判になって、もちろん「在日だ」と言った人が負けていますが、そうしたことが90年代の終わりから既にやられていました。ネットの中で、暗いところでやっている分には、「そういう人も世の中にいるわ」だったのが、まさか道路にあふれ出るとは考えていなかった。

 ただ、この辺、この問題、NHKの問題、それからこのときは朝日新聞もかかわっていますが、この2つが後になって大きな形で政権と結びついた形で出てくるんで、ちょっとこれを挙げといたんです。

角谷:なるほど。

中沢:私たちが当初考えていたより、自然にあふれ出るものと違って、ある程度意図してあふれ出させたところがあるのかなという疑念を抱きだしたとこです。2枚目はないのか。1枚目に戻していただけます?ごめんなさい。領土問題に絡む、領土問題の手前に日本のいわゆる極右の人物が韓国に行って、韓国の従軍慰安婦の肖像に「竹島は日本の領土だ」って杭を縛りつけるという事件をこの年の5月に起こしています。

 この年の7月にはロシアの首相が北方領土に上陸していますが、誰も文句を言わなかったのよ。外務省は文句を言いましたけど。李明博大統領の竹島上陸が起きて、天皇謝罪発言なんかも、その後これにつくんですが。

江川:ちょっと抜けているの、いいですか?

中沢:はい。

江川:やっぱり日本人の人たちに影響を与えたんではないかと思われる出来事として、2002年の小泉さんの訪朝がありましたね。あそこで拉致の被害者で生きている人と、あと亡くなっているという発表がありましたよね。あのときに相当拉致の問題っていうのが実感として、特に人が死んでいるっていう話になり、その後また遺骨問題があったりして、そういうことがものすごく世の中に、日本人の心にものすごくぐさっときたところがあったわけです。それが2002年から2004年にかけてですよね。

鵜飼:訪朝は2002年9月ですよね。¬それは大きかったと思う。

江川:はい。それからもう一つ、外的要因として抜けているのが、2007年だと思いますけれども、アメリカの下院で慰安婦問題に関する、日本に対する謝罪決議みたいなのが。

中沢:ありました。

江川:可決したんですよね。それまではやっぱり日韓の問題、国連ではいろいろ話題になったりすることもあったけれども、やっぱりアメリカに飛び火したということで、この2つのことが日本の中で被害者意識みたいな、そういうものを膨らませるきっかけになったかなっていうので、この2つはやっぱり挙げといたほうがいいかなと思うんですね。

中沢:ご指摘のとおりだと思います。それを言うんだったら、2006年に第1次の安倍政権でアジア女性基金を解散しているんですよね。それがアメリカの下院での謝罪決議につながっていく1つの原因になっているんです。

角谷:なるほど。きのう下村さんに来ていただいて、アジア女性基金のいきさつっていうのはいろいろ伺ったんで、僕らは勉強したばっかりだからね。

江川:それともう1つ、これはヘイトスピーチの、つまり韓国、あるいは朝鮮に対する流れとはちょっと違うんですけど、たしか2004年でしたよね、イラクの人質事件っていうのがありました。

中沢:ありました。

江川:これは他民族に対するヘイトスピーチじゃなくて、同国人に対するヘイトスピーチだったんですね(笑)。

鵜飼:いわゆるバッシングってやつですね。

江川:これがやっぱり大きな転換点だったと思うんです。

鵜飼:自己責任論ですね。

江川:つまり、今弱い立場にいる人、つまりあのときは武装勢力に拘束されて、殺されるかもしれないっていう立場ですよね。ものすごい弱者なわけです。それまではやっぱり大っぴらに弱い者いじめをするっていうことは恥とする、ある種の文化みたいのがあったのか、あったと信じていたのかわかんないけれど、でもあのときに公然と非難をし。

鵜飼:一種のリンチですよね。

江川:そうです。

鵜飼:言葉によるリンチみたいな。

江川:それをテレビがやったんですよ。

中沢:江川さんの指摘は2つの意味で重要で、とてもよいご指摘をいただいたと思うんですが、1つは弱い者をみんなでリンチする。それから、それはネットというものを使用している。実はヘイトスピーチの発生の大きな要因はやっぱり弱い者いじめの発想。だって、小学生や中学生をいじめるのよ、大の大人、おっさんが。それから、もう1つはそれをネットを使ってやる。この2つは大きな特徴で、江川さんにご指摘していただいた2004年のイラク人質事件というのは、対象になったのは日本人ですが、ある意味では非常に特徴のよくあらわれた事件でしたよね。

江川:だから、それまでは、そのときは今ほどネットが広がっていたわけではなかった。だから、バッシングを主にしたのはテレビのコメンテーターとか、あるいは一般の人だと、手紙、あるいはファックスですよね。つまり、わざわざ住所を調べて、書いて、投函するっていうめんどくさいことまでやって。

中沢:あのときはヤフーの掲示板に住所とか電話番号とかファックスが掲載されて、それを取り下げてくれっていうふうに裁判所に仮処分の申し立てをするんだけど、裁判所は仮処分を出すんです。ところが、別の人がやるから、また同じ申し立てをしなきゃならないって事態になって、裁判所はあのときいったいどのくらい仮処分を出したか。

鵜飼:もぐら叩きになっちゃいますね。

中沢:もぐら叩き状態になったんですね。

江川:だから、それまではやっぱり人を罵倒するっていうことっていうのは、やっぱりちょっと控える、あるいはそういうことは特殊な人たちだと思っていたのが、そうじゃなくて、私は日本人の中にこんなにも弱者を罵倒する人たちが。

中沢:いや、イラク人質事件ってとても典型的にあらわれているいい例をご指摘いただいたと思うのは、左派リベラル、左翼リベラルに対するものすごい反発があそこへ集約的に出ちゃっているとこがありましたね。だから、この人たちがヘイトスピーチをやれたのは、自分たちは右派だと、日の丸を振り回せるからやれたんだと思うんだよね。左派に対する、アンチ左派、アンチリベラルの感情がここへ集まっていったというところがあって、あのイラクの事件はそれが顕著に出た例でしたよね。私は、個人的にはこの人たちが日の丸を振り回すのはとても嫌いです。

角谷:あのときを僕もよく覚えていますけれども、自己責任論っていうのがあって、それでなくても「政府が行くなって言ったところに行った」とか、それから昨今でも似たような事例があって、やっぱり同じような声が必ず出ます。今まではネットのエネルギーだったのが主要メディアに広がるときに自己責任論、テレビで言われるようになったり、それから街頭のインタビューで「行くなって言っているところに行ったんだから、それは自分で」とか、「そんなために税金は使えない」とか、そういう声があふれ出ました。

 そこで大きな特徴なのは、そこはどこまで考えたかわからないけれども、その街の声はたぶん右とか左とかとほとんど関係ない、感覚的に「自己責任じゃないんでしょうか」って思う街の人だったんじゃないかと思うんですね。そうすると、イデオロギーがその背景にあったんだろうかと。

中沢:いや、だから、そこはさっき言った、冒頭のところのNHKと朝日新聞、それに対しての自民党の安倍さんと中川さんのゴタゴタっていうのをもう1回丁寧に検証してみてもいいと思うんですね。街の中に薄く広がっていたある種の気分を上手につかまえられるから政治家でしょう。民意がわかるっていうことだから。

江川:例えば、さっきのイラクのあれでも、人間っていうのは好き嫌いがあるし、相性っていうのもあるから、あの人たちやあの家族を嫌いだと思う、あるいは相性が合わないと思う人がいても全然おかしくないわけですよ。だけど、それまでは恐らく、お茶の間で話したり、あるいは井戸端会議みたいな感じで「もうまったく」とかって、こういうレベルだったと思うんですね。そういうのもたくさんあったと思うんです。

 だけど、あのときにやっぱり特異だったのは、それを公言して公のメディアで言う、あるいは相手に送りつける、そういうようなことが広く行われたっていうところだと思う。だから、そこがかなり質的転換だと思うんですよ。

中沢:私はあのときはヤフーの掲示板をずっと見ていて、ヤフーの掲示板は今のTwitterやFacebookのような高い機能性はないんですが、それでも世の中には親切な人もいて、外国の報道なんかを丁寧に翻訳して流してくれたりする人がいるんで、ヤフーの掲示板を見ていると、いろんなことがわかるわけです。一方で、そうした人質になっている人の実家の住所とか電話番号とかを探して、それでいろんな攻撃をかける。安田さんが「ネットリンチ」っていう表現を使っていましたが。

鵜飼:正確な表現ですね。

中沢:そういう現象が一番最初に起きてきたのは、まさにあの事件だった。

角谷:年表2にいきましょうか。

【年表2】http://live.nicovideo.jp/watch/lv227566870?po=newsinfoseek&ref=news#44:36

中沢:はい。2012年の8月からひどいヘイトスピーチデモが激化していくし、しかも新大久保のお散歩のような行動が見られると。それに対して2012年12月には安倍政権が成立した。このときは、私の聞いた話ですが、そのときは首相じゃないですけど、街宣のときには秋葉原の駅前の広場を日の丸が埋め尽くしたような状態だった。

角谷:民主党政権から安倍政権にかわるときの選挙ですね。

中沢:かわるときの選挙ですね。その後13年の1月になって、新大久保のひどいヘイトデモに対して、女子高校生が最初に反応したみたいです。「ダサい」とか、「何これ」とかっていうことが1月にあった。

 2月になって、カウンターっていう形で、最初はお散歩を止めに入ろうっていうことで「しばき隊」っていう名前でグループができてきた。それから、新大久保のデモに対してプラカードを掲げたり、目に見える形で抗議するっていう抗議をした。

 同じようなことは大阪の鶴橋でもやられていたんですね。今回のドキュメンタリーの中にもちらっと出てきますが、14歳の中学生の女の子が鶴橋の住民に向かって「鶴橋大虐殺をやりまっせ」というような街宣をしたっていうのがあって、やっぱり鶴橋でもそういう者に対するカウンターをかけましょうという動きが出てきているのが2013年の2月から3月です。

 よく新聞なんかを見ていますと、「ヘイトスピーチデモが2013年の4月から激化」って書いている新聞が非常に多いんです。なぜかっていうと、2013年の4月から報道されるようになったんです(笑)。だから、いわゆる新聞で検索だけをかけると、最初の事件が出てくるのが2013年の4月で、なぜ報道されるようになったかっていうと、カウンターっていう形で抗議活動をする人が出てきたので新聞も報道するようになった。でも、実際に激化したのはその前の年の8月ぐらいだし、よく聞いてみると、本当はその前からずっとやっていたんですよね。

 それで、鶴橋は2013年の4月に主要人物だった少年が逮捕されます。これも私はびっくりしたんですけど、つまらんことを言うようですが、最初あのデモをネットの映像で見たときは「こんなもん、公安警察はいらない」って言ったの。「子どもが暴走族をやって、おもしろ半分に騒いでいるようなものだから少年課でも十分だ」って言ったら、本当に少年課が出てきて少年を逮捕していったので、その冗談をしばらく言えなくなっちゃったんですけど。鶴橋はそれで3月末を最後にしばらくヘイトスピーチの街宣はなかったんですね。

 7月に大阪で「第1回の仲良くしようぜパレード」っていう形でカウンターに出てくださった皆さんが、デモっていうかパレードをしたんですね。カウンターだけやっていると、つくづく嫌になるの。本当に。先ほどもおっしゃったように、ここに出てくるコメントを見ているだけでも腹が立つっておっしゃっていたでしょう。あれを一日中炎天下でやるわけですから、だから「ちょっとみんなで楽しいこともしましょう」。東京でも9月に「東京大行進」をやりました。

 というのは、6月30日を最後に新大久保の街宣、ヘイトスピーチデモはなくなると思っていたんですが、なくすためにいろんな工夫をしたんですけど、実は9月8日にやられちゃったんですね。9月8日、こともあろうに東京オリンピックの開催が決まった翌日にやられてしまったので、韓国のKBSなんかは「東京オリンピックの開催を決めたら早速始めた」みたいな報道をしていて、それはちょっと言い過ぎじゃないかなと私は思いましたけど。その9月8日を最後になくなりましたので、東京でも「東京大行進」っていう形で「差別をやめましょう」というような行動をしました。

 その翌月10月には京都朝鮮初級学校の、刑事のほうはもう判決が出ていたんですが、民事のほうの裁判が出ました。これがわりと大きな損害賠償額を認めていました。ちょっと蛇足を言いますと、この後京都の裁判所は大変なご苦労をしたそうです(笑)。いろんな人から「京都の裁判所は在日だ」って電話がかかってきて、ものすごい文句を言われたと(笑)。ご承知のように、国家公務員は日本国籍を持っていないとなれませんから、そういうのに関係なく、すごい攻撃するんですよね。

 翌年の4月、京都朝鮮初級学校の裁判を大阪高裁が支持して、賠償額が非常に大きかったんです。1225万円の賠償命令。さらに、違法性の根拠に国際条約、人権条約を使っています。つまり、国内に取り締まる法律がないので、その場合には日本が批准している条約を国内法と同じように扱うことができるという理論を使ってこの賠償を下しているんですね。これは相手方、つまり襲撃した側が最高裁に上告しましたが、最高裁はその上告を棄却しました。ですから、国際条約に基づいた違法性というのは、最高裁において確認されていますので。今でもヘイトスピーチデモは続いています。でも、それは違法なものだということは日本の裁判所は既に認めているんだということです。

 きのうのデモに関しては、昨日8月2日のデモに関しては、ヘイトスピーチに該当する内容があったかどうか、私は聞いていないですが、銀座で「安保法制賛成国民大行進」というデモを桜井誠氏がやっています。それ自体は安保法制に賛成するデモですから、「政治的主張でヘイトスピーチではありません」と言いたいんですが、経験上、ずっとデモの中継を見ていると、だんだんヘイトスピーチになるということがあるんですよ。ただし、きのうは私は外へ出ていまして中継を見ていないので、そこのとこまではちょっと言い切れませんが、今でもやっているわけですね。

 しかもたちが悪くて、これは桜井誠氏ではありませんが、例えば大阪の鶴橋のガード下の街宣の許可を1週間ぶっ通しで警察からとっておいて、いつあらわれるかわからん状態でやるとか、ステルス街宣とか、突然あらわれてやるとかっていうのを今繰り返しています。

 去年の8月に国連人権委員会でヘイトスピーチの対策が求められる。これは初めてじゃありません。もう既に何回も繰り返されていますが、去年初めて新聞各紙が大きく報道してくださった。

 9月には国立市がヘイトスピーチ禁止の法整備を求める意見書を決議してくださって、現在どのくらい出ているのか確認していないけど、100を超えたっていうところまでは聞いています。今でも意見書が続いています。

 5月に人種差別撤廃政策推進法案という法案が国会に提出されて、あしたから具体的な議論が始まるっていう形ですね。

角谷:あしたから審議が始まるというところなんですね。そうすると、中沢さんから見ると、こういう問題が起こったけれども、いろいろな形でそれは少し良くなっている、または収まろうとしている方向に向かっているものなんですか、そうじゃないんですか。

中沢:それはもう間違いないですね。例えば、去年、2014年10月だったと思いますが、大阪の橋下市長と桜井誠氏が直接会見をした映像が、そのまま生な形で地上波のメディアに流れた以降、だいぶ皆さんの理解の仕方が変わりました。「どっちにも政治的な言い分があるんじゃないの」ぐらいのことを考えていた人たちが、「いや、これはとんでもないことだ」っていうことを理解してくださったので、あれはインパクトが大きかったと思います。

 問題提議してから大体2年程度で国会の法案まで持っていけたというのも、一般的な社会運動のスピードからいえばハイスピードですが、やっていることのばかばかしさの比があるからあれなんですけど(笑)、ご尽力いただいた政治家の皆さんには感謝しますが、褒められた話かって感じはあるんですけど。でも、やめないんだよね。なんでそんなにまでしてやるんだろうと思って悲しくなるぐらい、まめに、一生懸命やるんですけど。

角谷:江川さん、それはどんなふうに見ますか?

江川:だから、楽しんでいるんじゃないですか。

中沢:いや、最初はその気配があったから、ああいう悪い冗談も言っていたんだけど、途中からどう見ても、難行苦行なのよね。

江川:いや、そりゃ中沢さんは難行苦行でしょうけれども。

中沢:いやいや、そうじゃなくて、初期の段階では皆さんに「どっちもどっちだ」って言われたし、「そういうものには触らないでほっておけば、自然に小さくなるんだ」とかいうご意見もあったんだけど。「そうじゃないんですよ」ってことをわかっていただくために「現場に来てください」ってみんな言っていたんだけど、だんだん途中から現場に行くと、こっちが3000人、向こうが200人で、どう見ても向こうをいじめているようにしか見えんみたいな節も少しずつ出てきたんで(笑)。何でこんなに意地なんだろうと思って。

江川:だから、やっぱり強い言葉で罵倒したりするっていう、例えば人のことを「ばか」だとか、「あほ」だとか「死ね」だとかって言うような、そういうことっていうのは、やっぱりはしたないことだし、よくないことっていうのがずっと常識のレベルであったと思うんですよね。

鵜飼:一応恥の文化と言われているわけだし(笑)。

江川:そうなんです。でも、それを突き破ってやったときの、何かある種の痛快感、爽快感。

中沢:確かに初期の段階ではそれがあったと思うんですよ。

鵜飼:最初はそういう感じでしたよ。

江川:だから、それでそうしながら。

中沢:まさかそこに向かう、「どあほ」とか、「ばかたれ」とか言う大集団があらわれてみんなで罵倒し出すとは思っていないでしょうから。

松嶋:今の話の中でちょっとお聞きしたいんですけど、ヘイトスピーチを行っている人っていうのは、たぶん一定の、同じ人たちだけじゃなくて、加わる人もいれば、もうやめちゃう人とかもいると思うんですね。そういった人たちの主っていうのはどういう人たちなんですか?

中沢:ご本人たちも言っていますけど、ごく普通の一般的な日本人です。

松嶋:そのごく普通の一般的な日本人の方々っていうのは、いわゆるさっきの年表みたいな流れで動いているのかなっていう、私の中では疑問があって。年代が違うってところもあると思うんですが、例えばネットの中ではやっていた、いわゆる2ちゃんねるとか、まとめサイトのようなものがあって、それと同時進行でテレビの中で韓国のものがどんどん出てくるようになって、「もう見たくない」みたいなのが徐々にあったりした部分もあったのかなと。そういうのがじわじわとあって、歴史的なこととかは実は知らなかったりするんだけど、参加している子もいるんじゃないかなっていうふうに思うんです。

中沢:最初はタブー破りの楽しさで参加したり、「差別は娯楽だ」ってずっとリポートしている、李信恵さんが初期の段階でお怒りでしたけども、非常に娯楽的だったんですよ。

江川:今でも娯楽的な部分はありませんか。

鵜飼:楽しいから行くっていう。

中沢:今でも。

江川:だから、例えばこういう問題っていうのは嫌だって思えば、こういう番組を見ないし、コメントなんかも出さないし。だけど、この前の番組なんかでも、もうずっと見続けて、ずっと出し続けて、反応し続けて、番組が終わった後はずるずると名残惜しそうにコメントを続けているわけですよね。ですから、本当に憎いとか嫌いとかっていうよりも、そういうことである種うさを晴らしたり、反応する人がいればそれはそれでおもしろいし、そういう娯楽化がやっぱりまだ続いているんじゃないかなと思います。

中沢:1つは、ほっとけばまたやり出しかねないというとこはあるのと(笑)。

松嶋:そういったヘイトスピーチって言葉も実はすごく昔からあったんだとは思うんですけど、やっぱりここ最近ですごくよく聞くようになって。

中沢:いや、ああいう反韓、嫌韓でも、「これはヘイトスピーチである」というふうに、たぶん私が知っている限り、最初に言ったのは野間易通さんだと思うんだけど、正確なレッテルを貼ってくれたおかげで対応しやすくなったんですね。「レッテル貼りをするな」っていうご意見は随分いただきましたが、レッテルは正確に貼りましょうってことなんですよ。古いレッテルは貼りかえなきゃいけないかもしれないけど、やっぱりあるとこで概念化して、きちっと言語化する。そのことによって対抗できるということが生まれてくる。

 今はヘイトスピーチそのものの問題よりも、薄く広がってしまった誤解、不快、そういうものをどうしたらいいのかっていうのが一つと、それに関連してちょっと嫌な兆候が一つ出てきていまして、今まではヘイトスピーチでしたが、差別、扇動、犯罪、ヘイトクライムの展開の要素が少し出てきました。

 それの顕著な例は、ことしの7月9日に「在日外国人はその日に手続きをしないと、みんな国外追放になる」というデマが流れて、入管にそれを通報しろと言って、実際に入管がパンクするほど通報が集中したという例が起きました。これは徒党を組んでデモをするのと違って、デマによって行為を促進しているわけです。つまり、通関への通報という。

 ドイツなんかで今ちょっと問題になっているのは、やっぱりいわゆるネオナチによるユダヤ人殺害事件というのが頻繁に起こっているんだそうです。日本ではそうした殺害事件等のような、明らかなヘイトクライムっていうわけではないんですが、こういう行為を扇動する行為が出てきたと。つまり、今までは「言っているだけ」、「悪ガキ、やめろ」って済んだんだけど、今や。

松嶋:一線を越えてくるような、どんどんルールが緩くというか。

中沢:一線を越えてくるような方向へ流れ出した。これに関しては要注意だと思っています。これまでのような規模ではやらないかもしれません。

角谷:そうすると、僕がこの年表を見せていただいても感じるのは、私がここでこう言うのは何かもしれませんけど、明らかにネットの役割というのが相当大きかったような気がするし。

中沢:ご指摘のとおりだと思います。

角谷:それから、この番組自体もニコニコ動画でやっているわけですから(笑)、そういう意味ではネットの使い方とか、使い勝手とか、役割とか、危険度とか、こういったものが今後やっぱりテーマになってくるのかなって。

中沢:1つは、そこで言っている人種差別撤廃政策推進法案、これは路上にあふれ出したものに対する対応が主になってくると思うんですが、ネットに関してはもっと広く皆さんに議論していただきたいんですよ。桜井誠氏はああいう激烈な、耳目を引く街宣をニコニコ動画でやって、それでどんどん広めていったわけですね。そういう意味では、動画を自由自在に出せるというものがああいうものを大きくする大きな力にはなっています。

 その議論をするときによく言ったんですけど、自動車っていうものがなければ、今我々が使っているあんなに精緻な道路交通法はいりますか?私たちが使っているのが、せいぜい籠に馬だったら、「歩行者は絶対右側通行でなければいけない」って言われたって、馬も籠も見えない限り、道路の真ん中を歩いたって何の問題もないでしょう。向こうから殿様が行列してくればよけて土下座をしなきゃいけない。でも、今の私たちの使っている道路交通法って、めちゃめちゃに精緻じゃないですか。あれは自動車ができたせいです。ネットの場合も、やっぱりエチケットとか、常識によるルールと、法によって罰せられるという三層構造をどうつくっていくかの議論はやっぱりしたほうがいいと思っています。

角谷:そうすると、鵜飼さん、今度はまさにここもぐるっとまわってくるんですけど、言論の自由とか、表現の自由とかと、それから今中沢さんは丁寧にエチケットって言葉を使ってくださったけれども(笑)、いろんなところでぶつかることが起こって。ある意味ではネットには自由が担保されていたり、自由があるからいいところと、だから問題だっていうところが出てくる。これはどんなふうに見たらいいですか?

鵜飼:私は専門がヨーロッパのほうなので、やっぱり第二次世界大戦のユダヤ人虐殺ということがあって、これは本当に最大のレイシズム犯罪、まさに先ほど言われたヘイトクライムの最も巨大なものですよね。やっぱり二度とこのようなことを起こさせないということがヨーロッパでは戦後のルールになっているわけですね。

 それに対してアメリカの場合は、ある意味でアメリカの社会の原理に非常に自信があるので、黒人差別の問題までを含めて、やっぱり表現の自由のほうが、ある意味で人種差別を禁止するということよりも上位に置かれているんですね。それで、それぞれの社会をどう見るかということはもうここでは立ち入らないとして、やっぱりどういう社会で、どういう歴史を持った国なのかということによって力点を置くべき場所って変わってくると思うんですね。

 私は、アメリカは置いて、日本はやっぱりヨーロッパと似ているところがたくさんあると思うんです。関東大震災のときの朝鮮人、中国人も含めた虐殺事件とか、ある種のジェノサイド的な側面を明らかに持っていたわけですから。こういうことを正面から見据えるならば、もっと早く二度とこういうことを起こさないための法律というのは整備されるべきだったし、まさに今はもう本当に待ったなしでその課題の前に我々はいるんじゃないでしょうか。

角谷:そこなんですね。おっしゃったように、アメリカは自由民権運動と、それから自由がまず担保されなければ何もできないというところから、やっぱりどんなことがあっても自由を守ろうと、それから言論の自由はもう大前提だというところがあって、その文化にこの60、70年、日本はその流れの中で法体系などがつくられてくるし、価値観も近いかもしれない。

中沢:ネット自体がもともとアメリカの、米軍が持っていたインターネットのネットワーク自体を開放して新しい産業や事業を興そうとしたものですから、インターネット、あるいはそれにかかわるパーソナルコンピューターの技術を支えている思想がアメリカ寄りですね。

角谷:アメリカの価値観だから。

中沢:確かにそういう側面はありますね。

角谷:一方で、先生がおっしゃるように、ヨーロッパの本当の価値観と近い部分、または日本のもともとの文化が、もしかしたら博愛とかそういったものが自由の中に含まれているというふうな価値観があったときには、もう少しまた別の文化が。

鵜飼:そうですね。でも自由ということは、やっぱり責任の概念って不可分ですから。何をしてもいい自由っていうのは現実的には自由でも何でもないこと。

中沢:個人的に言うと、アメリカが考えている自由、表現の自由の重要視っていうのは非常によくわかるんですけど、アメリカって一方では銃を所持する自由も認めているのよね。だから、「つまんないことを言ったら、ぶっ放すぞ」っていう人もいっぱいいて。

角谷:つまり、圧倒的な自由は、すべての自己責任の自由なんですよね。だから、日本はまだそこまでいっていない文化の中であるときに、さあ、江川さん、インターネットっていうのはどういうふうになればいいですか?

江川:前は、マスメディアが圧倒的に情報を発信していた時代っていうのは、マスメディアのほうで「ここまでやっていい」っていうラインをやっぱり自制的につくってきたところがあると思うんですよね。でも、それを越えちゃうと、次のラインにバーが動くっていうんですか。例えばさっきから何度も言っているイラクの人質事件のときにはそのバーが動いて、「ここまで言ってもいいんだ」っていう話になっちゃったと思うんですね。

 インターネットの場合には、大マスコミのような、いわゆる牽引性はないんだけれども、自由に発言できる。そういう中で、人と人とを結びつける機能がすごくありますよね。これはとってもいいことで、これを規制することは、私は間違っていると思うんですけれども、いろんな人たちが使うんで、今までは「こんなことを言ったら、ほかの人からなんて言われるか」とか、あるいは「自分は少数者だ」と思っていた人たちが、結びつくことによってどんどん自信を持ってきたところはあると思うんですね。そういうことにネットは役立っちゃった。でも、それを止めるかっていうと、それを止めるのは逆に副作用が強過ぎて違うと私は思うんですね。ただ、今ネットは、例えばこういうニコニコなんかは、かつては本当に何でもかんでもやれちゃうみたいな、そういうメディアだったけれども、やっぱりこれだけ大きくなって影響力を持ってくると、どこまでやっていいのかっていうのをやっぱりある程度メディアとして持たなきゃいけないような時期だと思うんですよね。

 そういうことを模索しているんじゃないかなというふうに思うんですけども、ただ、こういう問題になると、「ネットの責任」って言われるけど、私はその前にもう1回マスメディアの責任っていうことを言わなきゃいけないと思うんですよ。それはなぜかって言うと、さっきも言ったように、ものすごく被害者意識を持っているわけですよね。

中沢:やっている人たちがね。

江川:そうなんです。これは装っているんじゃなくて、たぶん相当そういうふうに思っている人たちがいっぱいいると思うんですね。そういうような意識をつくってきた中に、ネットだけじゃなくてマスメディアってものすごく大きいと思うんです。

 例えば、韓国とかの状況を見るときに、やっぱり日の丸を焼いている、あるいは安倍さんか何かの人型を攻撃していると、こういうような映像を繰り返し流しますよね。でも、韓国の一般の人たちはどうなんですかっていうのは、やっぱそれはよくわからない。もちろんインタビューしている人たちもいるけれども、やっぱりどうしても画になるものばかりをねらっていくわけですね。それで同じものを繰り返し流す。だから、この間やった番組はとってもよかったんですけど、つまり、日韓どっちでもない第三者がつくっているっていう意味ですごくいい面もある一方で、BBCでしょう。やっぱりテレビの発想なんですよね、そうやって画になる映像をねらっているってところがあるんですよ。最後に「サイレントマジョリティが」って言っているけれども、それを取材するのがあなたたちでしょうっていう感じがするんですね(笑)。

 やっぱりそういう大マスコミの画になる映像ばかりを追っていくところに。だから、私はニコニコなんかにはそっちのほうに行ってほしくないっていう感じもするんですよね。だから、大マスコミのどこが悪かったってことはやっぱりちょっと確認しといたほうがいいんじゃないかなと思うんです。

中沢:私、ちょっと一言言わせてほしいんですが、例えばニコニコ動画でもYouTubeでも、大マスコミとどこが違うかっていうと、場所を提供しているわけで、中身のコンテンツは「皆さん、好きなように放り込んでください」っていうのがYouTubeやニコニコ動画ですよね。そうしたら、広場の管理者としての責任はあると思うんです。つまり、公園がアナーキーな場所であっていいわけはないじゃないですか。公園には「危険物は持ち込まないでください」とかって入り口に書いてあるでしょう。やっぱりみんなが自由に公園を使うためには、そこにダイナマイトなんかを持ち込まれては困るわけで、やっぱり広場の自由を守るためにある種のきちっとした管理ができるってことを考えていただかないと。

角谷:でもそれは誰かれがつくるんじゃなくて、やっぱりニコニコ動画の中に今既にポリシーっていうのがあるんですね。そこにはたくさんのルールが書かれていて、「これができないとダメですよ」と、それは生主の人たちにも、番組の人たちにも、出演者にも、やっぱりそれは守ってもらわないと。それは誰かに規制、例えば放送みたいに法務省に規制されるわけではなくて、私たちは監督官庁もありません。そのかわり、私たちが自分でそれをつくっていかないと、ネット自体が崩れてしまう。

中沢:そういうことです。私が言いたいのはそういうことなんです。

角谷:だから、自由を守るというよりは、ネットをちゃんとしっかり立たせておけば、そこでたくさんの人が集える場所はちゃんと提供を維持できるっていうことが大事じゃないかと。

中沢:ただ、公園の管理者は誰なんだっていうことは、もう少し責任は明確になったほうがいいと思いますよ。

角谷:少なくても、ニコニコ動画はチャンネルを開設する場合にも何にしろ、ポリシーがちゃんとあるし、開設の規約もみんなあります。それは読んでいただくことが前提になっていますから。

江川:それはとっても大事なことだと思うんですね。そうしないと、今度は役所が出張ってくるわけですよ。役所が公園を管理しようとすると、「安全を確保しなさい」というんで。

角谷:「ボールは投げられない」から始まってね。

江川:そうなんです。「ボールを投げるな」、「犬の散歩はするな」って。

中沢:役所が管理すると「誰も入るな」って書くんだよね。

江川:本当に自由度が減ってしまう。

鵜飼:確かに、一度日本はそちらのほうに転ぶと、やっぱりどんどん表現のレベルを狭めていく暗黙の力が働きやすい社会だとは思いますので、そこはとてもデリケートな問題ですよね。

角谷:そう、デリケートな問題。だから、ちゃんと立っていることを目指すことは、少なくともネットの会社としてニコニコ動画は大事にしなきゃいけないです。そのプラットフォームにみんなが入れるルールをちゃんと持っていないと。だから、その入りたい、入りたくないは全部自由なんですよ。やめるのも自由、入るのも自由。だけど、そこにいられるのはニコニコのルールの中でやってくださいなんですね。

中沢:でも、一番問題なのは、入る、入らないだけだと利用者の問題なんだけど、例えば在特会のような問題はあるけど、今社会的に問題になっているのはリベンジポルノですよね。昔の恋人の撮った写真なんかを別れた後で掲げちゃったりするっていうのがあって。

角谷:番組的には、全体のネットの話になっちゃうので、ここら辺にしますけれども。

松嶋:では、一旦話をがらっと戻すという意味もありまして。

角谷:戻すのね。

松嶋:はい。

(つづく)

◇関連サイト
・[ニコニコニュース]「『ヘイトスピーチ』を考えよう」全文書き起こし(1)~(3)
http://search.nicovideo.jp/news/tag/20150803_「ヘイトスピーチ」を考えよう?sort=created_asc
・[ニコニコ生放送]「ヘイトスピーチ」を考えよう - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv227566870?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/

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