「昔の社会には"闇"があった」 元"トップ屋"大下英治、記者時代を語る
ニコニコニュース / 2012年1月29日 14時22分
かつて雑誌「週刊文春」で、13年間にわたり"トップ屋"(主にトップ記事を執筆する契約記者)として活躍した作家の大下英治氏が2012年1月27日、BSジャパン『勝間和代#デキビジ』に出演した。
■「怪物には、コンプレックスや歪みがある」
これまで政界・財界・芸能界など、業界を問わず社会の裏側と、その世界にいる人間をリアルに描いてきた大下氏、好きな人物は田中角栄元首相など"怪物"と称される人。大下氏は「"怪物"と呼ばれる人々は、どこかコンプレックスや歪みを持っている。キザにいえば、地獄を見ている人たち」と語り、そのコンプレックスや歪みが人間的な魅力につながっているという。そんな人を容易に近づけない"怪物"から話を聞き出すのは至難の業だが、大下氏は取材のコツについて、
「取材で難しいのは、相手と平行線であること。高い目線から無理やり相手に合わせようとすると、相手は敏感に(バカにされていると)感じ取ってしまう。かといって、下から目線で無理やり調子を合わせても面白くない」
と述べた。
■「一日5人の人間に会ったら、スクープをつかんだ」
番組の後半では、大下氏のスクープした1982年の「三越事件」(老舗デパート・三越に関わる一連のスキャンダル事件)の話題に。先輩から「一日、5人の人間と会え」と言われ、実践しているうちに、三越事件のネタをつかんだ。内部密告者への取材の際は、密告者を守るために取材場所を毎回変えた。当時の三越には社員を監視する「秘密警察のような部門」があったからだという。このような泥臭い取材活動に対し、司会の勝間氏が「今のジャーナリズムはどうなのか。同じように作られているのか」と、質問を投げかけた。これについて大下氏は、
「昔の方が"闇"があって、(取材が)やりやすかったと思う。企業のコンプライアンスという言葉も馴染みが薄かった。今は民主的にはなったが、"闇"が小さくなったから、おもしろい話が出てこなくなった」
と答え、時代の変化に伴い"ネタ"が少なくなり、取材の在り方も変化してきたことを指摘した。また大下氏は、時代の変化と共に"怪物"が少なくなってきたことにも触れ、
「今の時代は"怪物"がいない。かつての政治家には"味"があったが、今は"蒸留水"のようだ。勉強はできるが、ぬくもりがない」
と述べ、かつてと比べて人間味が希薄な政治家が多くなっている現在の政界を嘆いた。
番組の最後に大下氏は、浄土真宗の宗祖・親鸞の「心身柔軟」という言葉を引用しながら、
「自分の信念ばかりを追い求めるのではなく、自分が絶えず生まれ変わるような、柔らかい心を持ってほしい。そういう人が、チャーミングな人だと思います」
と、視聴者へメッセージを贈った。元々は漫画家や純文学作家を志望だった大下氏らしい言葉であった。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 大下英治氏が語る「三越事件」から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv78451943?po=newsinfoseek&ref=news#39:20
・BS JAPAN「勝間和代#デキビジ」 - 公式サイト
http://www.bs-j.co.jp/dekibiz/
(吉川慧)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告と人民の敵の時代再び」
ロイター / 2024年11月22日 15時13分
-
「心が折れる」という言葉を作ったのは神取忍だった。発言の背景には「怪我をさせたらダメ」という前提が
日刊SPA! / 2024年11月20日 8時52分
-
自公との連立になったら、どの大臣に就きたいのか…そう聞かれた国民民主・玉木代表が即座に回答したこと
プレジデントオンライン / 2024年11月11日 18時15分
-
“人よりアゴが長い”をどうとらえる? 好きになる方法を模索する女性&武器に変えた男性…さまざまな容姿への価値観
ORICON NEWS / 2024年10月28日 6時30分
-
危険な「闇バイト」から家族を守る具体的な方法 闇バイト募集に調査電話をかけてきた筆者が語る
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 8時10分
ランキング
-
1ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時0分
-
2クシュタールの会長「セブン&アイとの統合で小売業のチャンピオンに」…敵対的買収は「考えていない」
読売新聞 / 2024年11月22日 9時5分
-
3「観光客が土下座強要?」に見るFENDIの反省点 インバウンド対応を迫られる各企業が今すべきこと
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時0分
-
4一番人気の「かつ重」は300円未満! スーパー・トライアルが物価高時代に「安さ」で勝負できるワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 6時10分
-
5相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください