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ニコニコ生放送「あなたが知らない食の世界 ~TPPで変わる?日本の食卓~」(2015年10月31日放送)全文書き起こし(2)

ニコニコニュース / 2015年11月6日 17時0分

ニコニコニュース

 「ニコニコドキュメンタリー」では2015年10月31日(土)20時から、アメリカの巨大食品会社の暗部に鋭く切り込んで話題となった「フード・インク」を、ニコニコ生放送で配信しました。

 本ニュースでは、生放送後におこなわれた作品をテーマにした解説番組「あなたが知らない食の世界 ~TPPで変わる?日本の食卓~」の内容を、全文書き起こして紹介します。

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※出演者=話者表記
松嶋初音 (司会)=松嶋
鈴木宣弘 (東京大学大学院教授)=鈴木
速水健朗 (ライター/編集者)=速水
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速水:今、コメント欄で「最後に食うのに人権とかないだろう」っていう意見もあるんですけど、結構それはもう古い考えになっていて、やっぱり動物も、「動物の人権」って言っているのはピーター・シンガーっていうオーストラリアの人かな、とかが言い始めたことなんですけど、最終的に食うから殺すんですよ。けど、それなりにそこまで生きていく過程っていうのに、やっぱその動物らしさというか、虐待とかをしないでちゃんといい生育環境で育てる事、のびのびとした環境で育てることの権利って、もう言われるようになっていて。アメリカ・欧米で主に今食肉の量が減っているっていうのは、人権って言い方がそもそもおかしいですが、動物の権利意識みたいなものとか、フェアに育てるんだっていうことの意識って相当高まっているんですよね。実際に、イギリスでは今売っている鶏肉は「放し飼いで育てられた鶏ですよ」っていうのにちゃんとそういうマークをつけて高く売られている。そっちのほうがおいしいし、いい肉を選ぶっていうだけではなくて、鶏の人生のためにもこっちを選ぶっていうような、消費者の消費行動としてもう選ぶ単位になっているんですよね。日本はそこら辺の表示義務とかがちょっと遅れているし、日本でも放牧的に育てているところはあるんですけど。

松嶋:そうですね。

速水:それはスーパーで買えるっていうよりも、個人契約じゃなきゃ買えないようなところにあるので、まだまだ工業化の中にありますけど、相当変化はしてきていますね。

松嶋:あと、個人企業とかで出していたりとかはしますよね。意思表示みたいな感じで、別にそれはしなきゃいけないことじゃないんだけど、「平飼いで育てた卵です」とか。

速水:「うちはこう育てていますよ」っていうのをみんなアピールする。それは逆に高くてもそっちを選ぶ消費者が今生まれてきているからだと思うんですよね。

松嶋:先ほどもちょっと出ていたようなお話なんですけれども、成長促進剤って、最終的に人間に巡り巡ってまわってきてガンになっちゃうんじゃないかっていう話があるんですけども、それってなってしまうものなんですか?

鈴木:発ガン性があるということでいろいろ議論があって、それが本当に間違いなくそうなのかっていうことについてはまだ決着のついていない部分もあるんですけども、例えば疑わしいということについては間違いないと。だから、EUなんかはそういうふうな、アメリカの牛肉とか豚肉は成長ホルモンが投与されているから発ガン性などの問題があるので、1986年から輸入を禁止しているわけですよね。

松嶋:なるほど。

鈴木:そういうことについて、日本は国内ではやっぱり使用禁止なんですけども、アメリカの圧力なのか、輸入はオッケーにしているわけですよ。

松嶋:不思議ですよね。国内では打ってはいけないけれども、アメリカで打たれた牛は食べてもいいと輸入していると。

鈴木:そうなの。国内では危ないから生産に使用しないのに、輸入物はオッケーなので。だから、オーストラリアなんかは賢いっていうか、オーストラリアのオージービーフは日本の消費者の皆さんは安全だと思っているけどあれは間違いで、オーストラリアはEUに売るときはホルモンを投与しないでそれを証明して売るわけです。日本に売るときはオッケーだから、アメリカと同じで、ある意味ジャブジャブにホルモン漬けにして売ってきている。このことは厚生労働省にも農水省にも確認していますので、そういう実態があるわけですね。TPPをやると、今でも牛肉の自給率が4割とか、豚肉も5割とか、それが結局日本の自給率がさらに1割ぐらいに下がってしまったら、我々はそういうふうな成長ホルモンとか、ラクトパミンっていう成長促進剤もありますよね。そういういろいろ問題があるといわれているものが入っているお肉を食べざるを得ない、選べない状況がどんどん高まってくるっていうことはよく考えておかないといけない。

松嶋:そこで繋がってくるわけですね。ちなみに、この『フード・インク』に出てきた会社、モンサント、先ほどからちらちら名前が出ているんですけれども、改めてどういった会社なのかというのを教えていただきたいんですけれども。

鈴木:まず、私のほうから。先ほど独占が問題だっていう話がありましたけど、世界の遺伝子組み換え作物の種の、非常に大きな、9割にも及ぶようなシェアを持っていて、アメリカに本拠地を置く多国籍なバイオ化学メーカーというような感じで呼ばれております。過去にはベトナム戦争での枯れ葉剤も開発したっていうようなこともよく話題になります。今は遺伝子組み換えの作物というのは強力な除草剤をかけても枯れないものになっているわけですね。トウモロコシとか大豆ね。それで、モンサントさんは、除草剤のほうのラウンドアップとか、こういうものもセットで売っているものですから。

松嶋:言ってしまえば、最強ですよね。

鈴木:そうです。セットで大変ビジネスを拡大していると。

松嶋:自分たちですごく強力な農薬をつくって、さらにその強力な農薬に対応できる種をつくって。

鈴木:それをセットで、ダブルで利益が得られると(笑)。

松嶋:なるほど。

鈴木:もう一つ紹介すると、TPPのアメリカの農業交渉官の筆頭格の方は、モンサントの関係者が政府に入ってきてTPPの交渉を推進しておられるということで、TPPっていうのはある意味モンサントさんのためにやっている側面があるというのは、言い過ぎですけど(笑)。

(一同笑)

松嶋:結構ぎりぎりなことをお伝えいただいてありがたい限りでございますけれども(笑)。なるほど。じゃあ、改めて今遺伝子組み換えという言葉もちらほらコメントでもいただきましたので。

速水:モンサントって、基本的に今一番問題になっている部分っていうのは、僕は独占って言い方をしたんですけど、普通に言われているのは遺伝子組み換えの穀物の種を独占しているところにあって、遺伝子組み換えってひとつ、今ものすごく批判されているというか、批判っていう言い方だとたぶん物足りないぐらいなんですけど、世界的に今、例えば反政府運動とか、いわゆる左翼運動みたいな「反何とか運動」っていうものの最新型は、反モンサント運動って世界的に連携されている左翼運動の一番有名なもの、規模のでかいものになりつつある。その中にはやっぱり遺伝子組み換え作物は危険であるっていうことが前提となっているんですけど、僕はさっきから「問題は独占の部分だ」って言っているんですけど、実は遺伝子組み換え食物に関しては、一定に僕は必要なものだとも思っているんですよ。これ自体はさっきの、それこそ枯れない穀物、マッチポンプの部分って確かに良くないですよ(笑)。それこそテレビ局がテレビも売っているようなものですから、これでしか見られないものを放送しているみたいなことなので、他が入りようがないっていう意味では、ちょっとそれは独占の部分でも無しなんですけど。例えば今、遺伝子組み換えと普通に日本とかでもやっているような品種改良って何が違うのかって言われると、その違いって非常に説明できないというか、違うんですけど、安全性の部分でいうと等価である、基本的な科学的な根拠で言うと。完全に安全だっていうことは言えないとはいえ、問題はない部分が多いんですよ。これを使って、例えばこれからどんな自然環境の変化があっても育てられるような品種改良のためにGMO、遺伝子組み換えの技術っていうのは、これを進めていくことで貧困を解消したり、極地でも育てられたりっていうポジティブ面って必ずあるんですよ。今そこの研究まで行かない間に反GMO運動が盛り上がって、半ば手をつけられなくなっている部分がある。だから、他の企業が入れないから、モンサントの独占状態を許しているところがあるので。もうちょっと市場化して、他社の参入があるような、技術開発の余地があるような状況を作る事は僕はプラスだと思っているんですね。

松嶋:そうですね。遺伝子組み換えと聞くと、もうそれをそのまま悪いものっていうふうな認識になってしまうことっていうのが。

速水:「この人、モンサントからお金をもらったぞ」っていうね。

(一同笑)

速水:モンサントを僕はずっと批判しているじゃないですか。けど、ちょっとでもこういうふうに遺伝子組み換えを擁護すると、こういうカルトが飛んでくるんですよ。僕、1回ラジオで飛んできた事がありますけど、そこはもうちょっと科学的に見る。やっぱり難しいんですよね、もう宗教化しているので、うちの父親すら僕は説得できなかったんですけど。

松嶋:それは辛いですね。また、親子関係になるとあれですけど(笑)。でも、物事っていうのは多方面で見る必要がやっぱりあって、一方向の意見だけ、このドキュメンタリーもそうですけど、モンサントサイドのというか、逆側の意見っていうのは取材拒否とかで聞けなかった部分とかもありますので、一概に全てを悪としてしまうと、今度良かった面っていうのが消えてしまったりとか、生めなくなったりとかする部分もありますので、自由に聞いていくっていうのが大事かなと思いますが。遺伝子組み換えについてちょっとご説明を、私がするのもあれなんですけれども、私も最近まで何となく遺伝子組み換えっていう言葉を理解しておりましたけれども、改めて説明をさせていただければと思います。(http://live.nicovideo.jp/watch/lv239257943?po=newsinfoseek&ref=news#43:19)こちらは農水省が出している遺伝子組み換えについてまとめた資料となっております。こちら、画面に出ております。私がグリグリ動かしますので見づらい部分があったら失礼いたしますけれども、こちらは従来の品種改良というものをまず見ていきたいと思います。見やすくなりましたね。これは作物A、Bというのをかけ合わせて、性質を受け継ぐもの、なかなか目的のものができない、例えば「こういったものに強いものをつくろう」といって強いもの同士をかけ合わせたところで結果的にそういうふうに持っていくことはできるんですけれども、なかなか時間がかかってしまうとか、両親それぞれが持っている遺伝子を持つ子どもをつくって、その中から優良なものを選抜していくという、これが従来の品種改良でも遺伝子の組み換えっていうのは一応起きているということですね。さらに、遺伝子の組み換え自体っていうのは何なのかということですね。(http://live.nicovideo.jp/watch/lv239257943?po=newsinfoseek&ref=news#44:00)目的に合った遺伝子というのをもう作物からバスッと取っちゃいましょうと。それを組み込みたい品種の遺伝子の中に入れちゃいましょうと。そうすることによって、目的に合った新しい性質が付加された品種ができるというものですね。そういう目的のタンパク質をつくるための情報を持つ遺伝子を取り出して改良しようとする、生き物の細胞の中に人為的に組み込むというものですね。自然にかけ合わせていくのではないという感じですね。

速水:非常に難しいのは、基本的には遺伝子レベル、DNAレベルで変えたもの、品種改良で変えたものっていう、いわゆる分子構造というか構造としての植物であることはほぼ変わらないんです。ただちょっと気持ち悪いなとみんなが思うところって、植物に魚のエイのDNAを入れたり、植物じゃないもののDNAをかけ合わすんですよ。そこに関してはやっぱりいくらこれまで問題がなかったとはいえ、「ちょっとそれは長い目で見たほうがいいんじゃないの」っていうぐらいの慎重さは必要だと思うんですよね。

松嶋:確かに、それはほんとに不自然過ぎることですよね。

速水:『ジュラシック・ワールド』っていう映画で、それこそ最新型のDNAで恐竜をつくるっていうところで、やっぱそこに恐竜ではないものをいろいろかけ合わせた上で、そこで突発的な特異変化をしたような恐竜が生まれてしまうみたいな話って、やっぱりテクノスリラーって起こり得るようなことをエンターテインメントにするってやるんですけど、「ちょっとこれはどうなんだろう。動物のDNAを入れるのはちょっと気になるな」っていうのは、これは当然あると思うんですよね。

鈴木:その点について言うと、従来の育種のスピードを速めただけだっていう説明はちょっと違うわけですよ。従来の育種は、今言ったような豚の遺伝子が植物に入るとか、そういう事はなかったわけだから。

速水:そうですね。

松嶋:確かに。

鈴木:その点は説明をやっぱり、その説明はちょっと。

松嶋:元々のこういったかけ合わせ、作物AとBでのかけ合わせのものと、こういった人為的にエイとか別の生き物とかの細胞、遺伝子をもって別の植物とかに入れるっていうのはそこが全然違いますよね。

鈴木:そういう事だよね。

松嶋:なるほど。続いてなんですけれども、
(http://live.nicovideo.jp/watch/lv239257943?po=newsinfoseek&ref=news#46:15)
この「除草剤耐性となるのはなぜなのか」ということで、こちらも先ほどの流れからでご理解いただけているかとは思うんですけれども、特定の除草剤で壊れないタンパク質ですね。A、B、C、Dというふうなものがあるんですけれども、機能は遺伝子のDから作られるものと同じ、この情報を持つ遺伝子を組み込むことによって、タンパク質が壊れないもの、壊れずに働くものっていうふうなものを大きくしていくというか、増やしていくと。そういう事をすると植物は枯れないですよねということですね。そういったものを作っているのが、いわゆるモンサントということですね。

速水:コメントで「DNAにパテントはあるんかいな」っていう質問が来ているんですけど、まさに農業ってそういうものではない、知識型産業とか、パテントとか、著作権とかっていうものではないものを、モンサントはそういうものだというふうに、ビジネスとして自分たちのパテント料を取るようなビジネスをしている。そこが問題視されている部分ですね。しかも、それを独占でやるっていうところが。

松嶋:そうですね。

鈴木:映画でも出ていましたよね、モンサントポリスですか。

松嶋:そうですね。

鈴木:ああやって農家が訴えられるっていう事が。

松嶋:またトップを潰されてしまうと、その下のみんなもできなくなってしまうという。

速水:それこそ種って普通にできて、落ちて、風に飛ばされてみたいなものが、自分の畑にそれが飛んできて、それが勝手に育ったところで、「いや、それはうちのものだから」って言われても困るっていう話ですよね。

松嶋:そうですよね。本当に。全然別の話ですけど、板東英二さんのお庭に、実はケシの花の種が飛んできて(笑)。

(一同笑)

松嶋:ケシの花がすごく咲いちゃって、指を指した写真が新聞の一面に載ったら次の日警察が来たっていう。「育てているんじゃないか」みたいな感じになったけど、本人は全く知らずにっていう(笑)。

速水:麻薬を育てているつもりはないのにっていう(笑)。

松嶋:植物っていうのは種子を飛ばしたりとか、そういったことがある中で、「うちのだ」っていうふうに言われたとしても、ちょっとそれは本当に困ってしまうという事なんですけれども。こういったことが農水省でまとめられているんですけれども、そもそもの遺伝子組み換えっていうのが安全なのか安全じゃないのかというふうな話になると、それは実は分からないというのが。

鈴木:そうですね、分からないと言わざるを得ない。

松嶋:という感じですよね。

鈴木:ただ、それに関しては、フランスの実験の話を。

速水:そうですね。これがわかりやすく、例えばこれは結論っていう訳ではないんですけど、これはフランスのドキュメンタリー映画で「遺伝子組み換えは危険である」という根拠の実験というものが行われて、これはマウスに遺伝子組み換えを投与し続けるとどうなるかっていうので、やっぱり奇形が生まれるんだっていう研究があって、(http://live.nicovideo.jp/watch/lv239257943?po=newsinfoseek&ref=news#48:48)これが基本的には反GMO、遺伝子組み換えの反対運動の根拠になっていたんですよ。「ほら、やっぱりこういうふうに危ないじゃないか」と、ただこの実験自体は後に、そのフランスのドキュメンタリーの中では完全にこれを推されているんですが、その時点で実はもう否定されていて、この実験自体が根拠がないものだったというふうに、「RETRACTED」っていうのは「1回撤回された論文である」っていう。

松嶋:そうなんですね。

速水:だから、これ自体を根拠にするのは一旦やめましょうっていうことになっているものを映画が使っていたっていう意味では、それはすごく批判されたんですよね。

松嶋:これは数日前にも結構ネットとかでもちらちら見かけて、すごくリアルタイムだなと思ったんですけど、もう取り下げられているものなんですね。

鈴木:そこについては、私が若干聞いている話として補足しますと、この取り下げの経緯が国際学会誌の編集委員会にモンサントさんから編集委員が送り込まれて、その編集委員の方が中心になって「この論文には不備がある」と。それは端的に言えば、要するに、ラットの数が足りないと。「ラットの数が足りないから、2年間食べさせて実験をやったと言うけど、それで安全じゃないということを証明できるものとしては不備である」という事だったというふうに私は理解したんですね。

松嶋:なるほど。もう手が回っていたっていう(笑)。

鈴木:じゃないけど。普通は安全性検査は3カ月食べさせればいいんだけど、我々が知りたいのは長期に食べたときの影響だから、ネズミの一生分、2年間食べてもらったと。それでガンだらけになったということですね。そこは衝撃的だったんだけども、「ネズミの数が足りないから、これは安全かどうかを証明できていない」ということで取り下げた。STAP細胞みたいな話じゃなくて、これは編集委員会がそういう形で1回載ったものをもう1回潰したという形。

松嶋:逆に言えば、それの安全性を「安全だ」って言うための。

鈴木:そうなんです、そこなんですよ。だから、私が言いたいのは、安全かどうかはまだ分からないという議論があるわけだけど、だったらモンサントさんというか、安全だと考えている方々も、ネズミの数を増やして2年間食べさせる同じ実験をして、それで「大丈夫だった」という結果を出してくれれば議論ができるんだけど、結局それは出てこないで、「これは不備だから安全だ」と、それはちょっと話が飛んでいるんじゃないかという(笑)。

松嶋:確かに。

鈴木:結局、両者の議論が噛み合わないんですよね。

松嶋:そうですね。一方は現実的に、本当にちゃんと実験をして「こういった例が出ていますよ」というふうに挙げたら、「ラットの数が少ない」って言われて(笑)。一方は、実験も何もせずに「それはもとがないでしょう」っていうふうに否定しているわけですからね。

鈴木:結局、いつまでも水かけ論というか、よく分からないままに双方がかみ合わない議論を展開しているという状況になってしまうという。

松嶋:「ニコニコで実験しよう」っていう(笑)。

(一同笑)

松嶋:「2年間かけて実験しよう」というコメントが来ましたけど(笑)。

鈴木:この実験するのには4億2000万円かかっているんですよ。

松嶋:えー。

鈴木:だから、もう1回やろうと思ってもそう簡単にできないですよ。しかも、遺伝子組み換えのモンサントさんのトウモロコシを入手するのが大変な訳ですよ。そんなものは怖くて誰も提供してくれませんから。それを誰が提供したのか。

松嶋:そうですよね。

鈴木:下手をすれば研究者生命が絶たれるかもしれない、研究者生命どころか命が絶たれるかもしれないという、そういう危険を冒してやっている可能性もある訳ですよね。だから、そう簡単にやることを、「もう一度」って言っても簡単じゃないんですよね。それは相当な覚悟を持って命がけでやるかどうかっていうぐらい、これはやっぱり厳しい対立があるというふうに私は思っています。

松嶋:なるほど。

速水:ネットで遺伝子組み換えで調べると、子どもの体中、肌がブツブツになっているようなもので、「これがその影響だ」みたいな、完全に嘘の情報っていうのがバーっていっぱい出てくるんですよ。だから、そういう、もう完全にこれは科学上の実験を巡る論争ではなく、お互いそれこそ根拠のないところでの自分たちの立場の側からしゃべる、自分たちの主張をするっていう政治闘争になっているところがあって。だから、そこら辺が非常に科学とはもう違う、政治のレベルに行っちゃっている論争になっているんですよね。そこが難しいところですよね。

松嶋:そうですね。

鈴木:あと1点だけこの点で、このフランスの実験でもう一つ問題になったのは、ラウンドアップの残留毒性、発ガン性ですね。これもWHO、世界保健機関でも最近報告書が出ていますけども、要するに我々は世界で一番、日本人が遺伝子組み換えの大豆、トウモロコシに依存していると。ラウンドアップという残留毒性のある農薬をいくらかけても枯れないものを我々が輸入して食べているという事ですよね。

松嶋:そうですね。

鈴木:だから、この事をどう考えるかということも一つ。やっぱりそれに問題があるんであれば、遺伝子が組み換えられていること自体の問題以外にも、そういうセットになっている農薬の発ガン性の問題を我々は考えなきゃいけないと。ただ、スーパー雑草が出てきて、枯れない雑草が出てきたもんだから、昨年からアメリカでは残留基準を「わかった。緩めてやるぞ」っていうことになって、ラウンドアップをもっと振りかけてもいいことになったんですよ。だから、我々が今年から食べているトウモロコシ、大豆はもっと残留濃度が高い可能性もあると、こっちのほうの問題も。

松嶋:雑草とかも、いたちごっこになっているってことですね。

鈴木:そうそう。それはもうきりがないんで。

松嶋:そうですよね。

速水:スーパー雑草ってすごいですよね(笑)。当然そうなっていきますからね。

・[ニコニコニュース]「あなたが知らない食の世界 ~TPPで変わる?日本の食卓~」全文書き起こし(1)~(4)
http://search.nicovideo.jp/news/tag/20151031_あなたが知らない食の世界_~TPPで変わる?日本の食卓~?sort=created_asc

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]あなたが知らない食の世界 ~TPPで変わる?日本の食卓~ - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv239257943?po=newsinfoseek&ref=news
・ニコニコドキュメンタリー - 公式サイト
http://documentary.nicovideo.jp/

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