震災後の「後ろめたさ」から目を逸らしてはいけない 映画監督・森達也<インタビュー「3.11」第3回>

ニコニコニュース / 2012年3月2日 22時45分

映画監督の森達也さん

 『311』というタイトルのドキュメンタリー映画が2012年3月3日、劇場公開される。その名の通り、約1年前の3月11日に起きた東日本大震災をテーマにした映画だ。森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治という4人の個性的なドキュメンタリストが震災発生2週間後の福島や宮城、岩手に入り、現地の惨状とそれに戸惑う自分たちの姿を写し撮った。

 こう書くと、3.11以来、雨後のタケノコのように作られた「震災ドキュメンタリー」の一つと思うかもしれないが、これはかなり変わった映画である。津波で破壊されつくした東北の町や悲嘆にくれる被災者も登場するが、それがメインテーマではない。主人公は、ずうずうしくも被災者を撮影する4人の男たち、彼ら自身なのだ。

 映画が観る者に問いかけるのは、「他人の不幸で飯を食う」というメディアが根源的に抱える矛盾だ。ドキュメンタリー映画『A』や『A2』でマスメディアが伝えないオウム真理教信者の日常を描いてみせた映画監督・森達也。その彼が被災地で感じ続けた「後ろめたさ」とは、いったいなんなのか。『311』の公開直前、その真意をたずねた。

・東日本大震災 3.11 特集 - インタビュー「3.11」連載
http://ch.nicovideo.jp/channel/311

(聞き手:亀松太郎)

■津波が来たころ、ビールを飲んでゲラゲラ笑っていた

――このドキュメンタリー映画『311』の中で、森さんが「もともと被災地に行くつもりはなかった」と話しているシーンが出てきます。それを見て、意外というか、不思議な感じがしました。なぜ森さんは最初、「自分の目で見てみよう」とか「被災地へ行こう」と思わなかったんですか?

 不思議な感じの理由は、「森達也はジャーナリスティックな動きをする」という前提があるからだと思うのだけど、実際にはカケラもないです。現場にすぐ足が向くほうではないし、ジャーナリストとして現場を見てみたいという気持ちは全くない。だから被災地に行くまで2週間、朝から夜中までテレビをずっと見ながらボーッとしていました。綿井健陽さん(映像ジャーナリスト)から連絡がなければ、たぶんそのままだったと思います。

――テレビを見ていて「自分でこの場に行きたい」というのはなかったのですか?

 全然ないです。実は綿井さんに誘われる前も、いくつか「現地に行きませんか」と出版社の方などから誘いがありましたが、全部断っていました。綿井さんの誘いも1回断っているし・・・。

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