「アイマス」キャラに現実(リアル)で仕事依頼できる 「リアル765プロ」高橋祐馬インタビュー
ニコニコニュース / 2012年3月23日 22時25分
ゲームやアニメで根強いファンを持つ『アイドルマスター』(通称・アイマス)に関連し、「リアル765プロ企画」という取り組みが行われている。これは、『アイマス』の作品中で描かれる「アイドルのお仕事」を、現実の世界でも募集するというもの。わかりやすく言えば、『アイマス』に登場するキャラクターに、AKB48のメンバーやモデルと同じように仕事を依頼できるという試みだ。
この企画が『アイマス』ファンに知られるようになったのは、同作に登場するキャラクター・我那覇響が、2011年11月、大阪府大阪市にある「あびこ動物病院」のポスターにイメージキャラクターとして採用された一件にある。全国的には決して有名ではない動物病院とのタイアップが公式のものとして実現する珍しさがあったが、それ以上に「動物が好き」という、我那覇響のキャラクター性とマッチした企画ということで、当時この"事件"は、ファンの間で話題となった。
今回は、「リアル765プロ企画」を企画した株式会社アニプレックスの宣伝プロデューサー・高橋祐馬氏に、企画発案のきっかけから、実例を通して見えてきた『アイマス』の秘密ついて話を聞いた。
■全国の『アイマス』ファンとの化学反応
――まずは、「リアル765プロ企画」が動き出したきっかけを教えてください。
この企画は2011年の春頃、アニメ『アイマス』の宣伝の一環として生まれたアイデアです。声優さん達の稼働という『アイマス』にとって大きな柱である露出に加えて、個性豊かなそれぞれのキャラクターの活躍を現実でも打ち出し、アニメから『アイマス』を知って下さった方に彼女たちの魅力が伝わるようなものをやりたいと考え、バンダイナムコゲームスさんとアニプレックスとの共同プロジェクトみたいな形でスタートしました。
この形態は『アイマス』の世界観との違和感がありませんし、全国にいらっしゃる『アイマス』ファン皆さんとの化学反応で、新しい何かが起きたら面白いなと思いました。アニメの情報発信場所である公式HPに依頼窓口を作っておけば、仕事を依頼する側がどこに連絡していいかわからないという事態を防ぐこともできると考えました。
――高橋さんは本企画における「プロデューサー」のような立場だと考えていいですか?
そうですね、プロデューサーとマネージャーの間くらいの感覚です。これは一緖にやっているバンダイナムコゲームスさんも同様の立ち位置ですね。キャラクターの活動のマネジメント(コーディネート)をしたり、キャラクターを演じる声優さん(=事務所さん)と依頼主との間を取り持ったりしています。
ただし、あくまで宣伝の一環なので、基本的に弊社はお金をいただいていません。もちろん声優さんが稼働した場合や実費が発生した場合の諸経費はいただいていますが。
■『アイマス』だからこそできた企画
――アニメ『アイマス』の宣伝プロデューサーである高橋さんが、キャラクターや声優さんとの仕事の間を取り持つというのは、不思議な感じがします。
私も不思議です(笑)。でもそこは『アイマス』ならではですね。『アイマス』の声優さん達はキャラクターへの愛情が凄く深い方ばかりで、「『アイマス』の為ならどんな事でも!」と仰って頂けるからこそ成立した企画だと思います。
例えば、如月千早役の今井麻美さんに「山口国体のナレーションをしてほしい」という依頼がありました。これは最初「『アイマス』の千早ではなく、今井さん本人への依頼なのでは?」と思い、詳しく依頼者に話をうかがうと「『アイマス』で今井さんを知って、それで好きになった。だからリアル765プロとして依頼したい」との事でした。
そして今井さんにご相談した所、ご本人もとても喜ばれて、非常にテンション高く挑んで下さった。ともすると「関係がないのでNG」の一言で終わってもおかしくない案件なのですが、こういうのも『アイマス』だからこそなのかなと思います。
――ファンの間で話題になったものでは、我那覇響が「あびこ動物病院」のポスターのモデルになったものや、北海道帯広市の競馬場での「ばんえい十勝」とのコラボレーションがありましたね。
どちらも反響がすごかったですね。依頼主にも、『アイマス』ファンの皆さんにも、どちらにも喜んでもらえたかなと思います。先日も「ばんえい十勝」の方がわざわざ東京までいらっしゃって、「ぜひ、もう一度やろう」と声をかけていただきました。実際に集客効果があったとも聞いています。
ちなみに、こうした系統(面白い系)のお仕事は私が対応する事が多く、ローソンさんやタワレコさん・アムラックスさんといった大きなお仕事はバンダイナムコゲームスさんが対応されていました。
――ばんえい競馬では、パドック紹介の映像に『アイマス』のキャラクターが登場したり、メインレースのファンファーレでアニメのオープニング曲「READY!!」流れたりと、かなり凝っていました。
あの映像のクオリティは相当高かったです。チェックで届いた映像は、全て1発OKでしたからね。ちなみにあの映像は「ばんえい十勝」さんと関わりのある"プロデューサー"、つまりファンの方が作られたものなんです。だからこそあんなに愛溢れる映像になったんだと思います。
――他にも高橋さんの印象に残った依頼はありますか?
どれも印象的なのですが、あえて言えば個人の方から「『アイマス』が好きだから」と依頼していただくものが印象深いですね。企画立ち上げ当初は、企業からの依頼が多いのではと予想していたのですが、個人からの依頼もかなりありました。個人の場合は、直接ビジネスに結びつくものよりも、作品にとっていいアイデアで、それでいて作品への愛と面白さがあれば、時間の許す限り実現させたいと思っています。
――この企画を通し、『アイマス』はそれまで以上にオープンな存在になったのではないでしょうか。
今更ながら「こんな企画、よく大人たちが許してくれたなぁ」と思います(笑)。でもきっと、これは『アイマス』だからこそできたことです。なんというか、スタッフもキャストも関係者も製作委員会メンバーも、やたら愛に溢れていて、みんなテンション高いんですよね。
例えばニコニコ動画でTBSさん製作のアニメ作品が配信されたことは初めてだと思うのですが、実はとんでもなく凄いことで、これも『アイマス』だったからだと思います。大人の事情を「想い」が越えることが多い作品だなと強く感じます。それが『アイマス』が持つ底力であり、コンテンツが持つ秘密なのかなと思います。
既存の考え方では実現できなかったものも、その先にファンの方が楽しめる何かがあれば、その壁を取り払える。『アイマス』は、そういったことを考えるきっかけにもなった作品でしたね。
■個人からも依頼できる「リアル765プロ企画」
――「リアル765プロ企画」は、今後も継続していくのでしょうか?
もちろん継続します。面白い依頼があれば、ぜひ実現させていきたいです。
――1ファンとしては、アニメ放映が終わってしまったため、コンテンツそのものが収束するのではないかという不安もあるのですが・・・。
確かにアニメには、お祭りや、パッと咲いて終わる花火のような面があります。しかし、これは私たち製作側も気をつけるべき点ですが、そんなことはないのです。作品はその後も残りますから、宣伝としては今後も姿勢を変えずにやっていきたいと思います。お祭りがずっと続いていくというイメージですね。実際、リアル765プロ企画以外でも、放送中と今の宣伝的な仕事量はそんなに変わらないと思います。
――それを聞いて安心しました。では、いま実現に向け動いている「リアル765プロ企画」はありますか?
『アイマス』関連でいえば、3月末に幕張メッセで開かれる「アニメコンテンツエキスポ」に出展します。ここではイベントもありますし、他の作品とのプチコラボみたいなものも計画中です。
あと、変わり種としては、4月28日・29日の「ニコニコ超会議」は面白くなりそうです。今まさに色々詰めているのですが、上手くいけば、また楽しいことが出来るのではと思います。
――四条貴音については、作中で関わりの深いラーメンのコラボなんていかがでしょうか?
それ、やりたいんです!全国のラーメン屋さん、ぜひ依頼してください。最初に面白い企画を提案していただいたラーメン屋さんとやります!
アニメの放映は終わりましたが、これまでと変わらず、気負わず、皆さんが楽しんでもらえることを続けていければと考えています。その中で「リアル765プロ企画」では企業からも、個人の方からも依頼の応募をお待ちしています。奇想天外な依頼でも構いませんよ。
――ではせっかくなので、四条貴音さんも、今後のアイドル活動について意気込みをお聞かせください。
・・・面妖な依頼でも構わぬ。わたくしは、あなた様からの依頼なら、どこへでも参りましょうぞ。
――ありがとうございました。
◇関連サイト
・リアル765プロ企画 - アニメ「アイドルマスター」公式サイト
http://www.idolmaster-anime.jp/765pro/
(安田俊亮)
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