レトルト「ファミ通のシナリオ含め最高のゲーム!バカタール加藤からのコメント付き」『四八(仮)』【ホラゲレビュー百物語】
ニコニコニュース / 2016年8月26日 18時26分
【ゲーム概要】
日本の47都道府県をステージに見立て、それぞれのポイントで怪談が語られるテキスト中心のアドベンチャーゲーム。実際に各地を取材して集められた素材や話を元に製作されている。タイトルの"(仮)"の部分は、プレイヤーが送られてきたサンプルゲームをプレイするというメタ設定に由来し、47都道府県に最終シナリオを含めて"四八"となるが、一地域に数本のシナリオが含まれていることもある。筒井康隆、水木しげる、つのだじろう、稲川淳二、伊藤潤二、木原浩勝、週刊ファミ通編集部などが出演やシナリオを書き下ろし、原案などで参加している話もあったが、シナリオの極端な長短や、シナリオの削除による不整合、バグによるコンプリート不可能などで最終的な完成度に。その完成度をネット上のコミュニティで追及され、ゲームとしては不名誉を得たが、それらの現象が注目を集め、実況動画などは視聴者を集める人気コンテンツとなっている。
■レトルトのひとことレビュー(※ 長めです!)
僕は元々、ノベルゲームみたいな読み物のゲームが好きなんですよ。その中でも大好きだったのが、『学校であった怖い話』(バンプレスト・1995)というゲームでした。そのプロデューサーの方が続編で『四八(仮)』を出すのは知っていたから、別に実況だとかには関係なく、もうずっとやりたかったんです......まあ、みんなからはクソゲーって言われてましたけど(笑)。
でも、そういうゲームの方が逆に実況で面白くなるパターンも多いんです。だから逆にありかなと思って始めたんですが......いやもう今まで実況してきた中で一番、楽しかったです。
だって、「最初はエンディングを目指して10パートくらいかな?」と思っていたんですよ。ところが、どんどん続きが知りたくて仕方なくなる。もう隅から隅までプレイしてしまって、しまいには65パートやっちゃいましたから。
いつも「ああ、早く先が知りたいな」と思いながら、実況を録り続けていたゲームです。
いろんな種類の怖さが詰まっている
でも、ホラーとしてはあんまり怖くないのかもしれない(笑)。ただ、そもそも僕はホラー演出で怖がることは、あんまりないんです。じゃあ、何に怖がるのかというと......それは「嫌悪感」みたいなものかもしれない。「こんな登場キャラクターが身の周りにいたら嫌だな」とか「現代社会の裏でこんなことが行われていたら嫌だな」とか、です。そういう嫌悪感は本当に怖いと思うし、そういうものを求めてホラーゲームをプレイしています。
『四八(仮)』には霊の怖さのようなのものが基本にありつつも、そういう「気持ち悪い怖さ」や「マッドサイエンティストの怖さ」のような、もういろんな種類の怖さが詰まっていたように思います。
でも、やっぱり怖くない話もあったりするんですけどね(笑)。それに都道府県と関係ない話が繰り広げられることも多いし。そういう意味では、もう良い意味でも悪い意味でも裏切りがあって、やっていて凄く楽しかったです。本当に、面白くないところは1個もなかったくらい最高のゲームだった――そんな気がします。
ちなみに、このサイトの編集者の人(※ ファミ通から来ているバカタール加藤と小山オンデマンド)が出演しているんですね......。レイザーラモンHG みたいな格好をしていた人でしょうか? じゃあ、本人の顔を見てもわからないでしょうね(笑)。ファミ通のシナリオも「当たり」でしたよね。めっちゃ手伝ってるんだろうなと思ったし、なんだかとても楽しそうでしたよね!
バカタール加藤より
最近、初めて会った人(複数)に「『四八(仮)』のバカタールさん?」って言われた。そこ、「"ファミ通"のバカタールさん?」じゃないのかよ!? って思ったりしてたんですが、つい最近は「『四八(仮)』のバカタール加藤って実在してたんだ!?」とか言われたりしたので、さすがに自分でも架空の人物でもいいかも? と思ってるくらいですが、じつはゲーム実況で人気なのだそうだ(ゲーム実況の影響力を身を持って知ったのも、『四八(仮)』のおかげ!)。
もともと『四八(仮)』は企画の段階で話を聞いて、斬新だし、何かお祭り的なソフトだったので、ファミ通編集部でも何かやらせてもらおうってことにした。当時編集部にいたサンフランシス小山(=小山オンデマンド)や吉池マリアたちも出演したり、執筆してくれて、東京にはかなりのボリュームのファミ通シナリオが入っている(が、今の時代だと本来の業務ではないのでパワハラと言われたり、コンプラ的に無理とか言われかねない気もする)。しかも、当時編集部が入っていたビルでロケもしたりしたので、わりと本当のファミ通編集部が出てくるのだ。
自分も、ファミ通編集部も、ゲーム内に登場することは多々あったが、ロケまでしたり、編集部員がシナリオや、実写のモデルまでやったソフトはなかなかない。でも、そのおかげで、中学生の時から愛読してた筒井康隆大先生と共演までさせてもらえたりしたわけで、個人的にはとても思い出深いソフトだ(ちなみに、週刊ファミ通だけじゃなく、ファミ通PS編集部の相沢編集長もスタッフも参加してます)。
また、当時は、都道府県ごとにシナリオがあり、地方色がリアルに反映されるゲームなど皆無だったし(今でこそインバウンドとか地域活性とか言ってるが......)、ゲームシステム的にも似たものがなかったし、むしろGPS機能やSNSを使ってユーザーの投稿を集めるとか、今どきのWebの文脈から作られるべきソフトだったような気がする。それくらい先進的だったんだと思う。
でも、そういうチャレンジングな作品がゲームというジャンルにあるからこそ、進化や発展が、他のソフトへの影響や他のクリエーターへの刺激があって、結果的にゲーム全体が盛り上がることに繋がっていたのは間違いない。ホラーゲームというよりは、ホラーという名の"お祭り"だったのかもしれないが、お祭りにはお祭りの意味や役割があるし、記憶にもより強く残るものなのだ、と改めて感じたりした。
小山オンデマンドより もう8年前ですか......。
製作者さんの成し得なかった壮大な意図を汲んで愛してくださったレトルトさん。『四八(仮)』は、その実況によって大きく報われた一面もある作品です。ほんの一部に協力しただけではありますが、関係した身として感謝の気持ちでいっぱいです。
ファミ通シナリオの経緯については、加藤さんが語っていると思いますので割愛。自分の出演シーンに関して言えば、当初「主人公とのBLにしましょうか」と話が決まり、「それっぽい格好で収録現場に来てください」と言われたので逡巡。自分の考える最大限BLっぽい私服やスーツ、保険としてパーティグッズ売り場でいくつか衣装を買って持ち込んだところ、当時旬も越えていたレイザーラモン風スーツが現場で大ウケし、BLというよりはHGな感じでの登場になりました。
ただひとつ見込み違いだったのは、それなりに売れてそれなりに語られていく普通の良作となる予定が、ある意味大ブレイクしたこと。
なんだかいい思い出となりました。
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