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大麻取材歴20年、矢部武にドラッグを学ぶ。「危険性と違法性は必ずしも同じではない」

ニコニコニュース / 2017年1月13日 12時6分

ニコニコニュース

 最近何かと話題の薬物。そんな薬物について20年前から取材を続けている矢部武さんをゲストに迎えた番組、『矢部武×モーリー「なぜ日本で大麻はタブーなのか?」』がモーリー・ロバートソンチャンネルで放送された。

 テレビのワイドショーでは知ることのできなかった薬物の危険性や法律のねじれについて、"薬物はやらないが薬物に興味津々"のモーリー・ロバートソン氏が矢部武氏に質問をぶつけた。薬物の真の危険性とは? 大麻は煙草より安全なのは本当か?

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 矢部さんはアメリカのカリフォルニア州で医療用大麻が解禁された1996年から取材をはじめ、最近は嗜好用の大麻まで取材している。

※トランプ氏が当選したアメリカ大統領選挙と同時に住民投票が行われ、カリフォルニア州では嗜好用の大麻も認められることとなった。

モーリー:
 この本を、自分への投資として買いましょう。でも、大麻は買ってはいけません。今のところは。

■危険ドラッグと合法ドラッグと日本人の遵法意識

 2013年の8人から急増し、2014年には112人の日本人がドラッグで亡くなっている。それまで日本は薬物に関してかなり安全とされてきたが、この時期から「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法ドラッグ」などという呼び方で薬物が広まった。そこで政府は脱法ドラッグの新名称を公募し、2014年7月22日に「危険ドラッグ」と決定した。

矢部:
 日本では危険性と違法性について必ずしも同じものではないと知らない人が多い。アメリカの法律でもねじれが生じている。

モーリー:
 マリファナは連邦法というアメリカ全体の法律では『スケジュール1』という最も厳しい枠組みで禁止しているが、州の法律では多くの州で医療用大麻が認められている(医療用は『スケジュール2』から可)。

※危険ドラッグは大別して二種類
・覚せい剤に似せて作ったもの(法に触れないよう化学構造を少し変えている)。カチノン系。
・大麻に似せて作ったもの。合成カンナビノイド。
中国のケミカル工場で作られたようなものもかなり入っている。

矢部:
 ロサンゼルスの薬物専門医を取材したところ、本物の大麻を使って(心臓発作などで)運ばれてくる人は少ないし、あっても治療の必要はあまりないが、合成カンナビノイドの場合はショックが多いし命を落とす人もいる。

 日本でも車で突っ込んだ人がいたが、本物の大麻ではそのようなことはほとんど起こらない。大麻は健康被害について他の薬物に比べると皆さんが思っているよりもはるかに少ない。危険ドラッグと呼ばれるものよりも圧倒的に安全です。

■遺伝子組み換え食品にうるさい日本人なのに、どうして「合法ドラッグ」という言葉で使ってしまうのか

矢部:
 日本人にとって大事なことは法律違反をしないこと。遵法精神がとても強い。薬物に手を出す率が諸外国と比べて圧倒的に低いのはそこが関係ある。しかし、法律に触れないと危険性はないと思っているところが危ない。

モーリー:
 そこが甘いですよね。一番危険なものですよね。ヘロインより危険だから。一発でおかしくなるもの。できたてほやほやの今まで自然界になかった化合物なんですから。

矢部:
 危険性と違法性は必ずしも同じではない。本当に危険な麻薬から命を守るためにこういう事を知ってほしい。

モーリー:
 遺伝子組み換え食品にうるさい日本人が合法ドラッグをやるっていうのはすごい矛盾ですよね。

■一般的な薬物の危険度比較

矢部:
 アルコールの危険度の高さがよくわかる。大麻(=マリファナ)は、カフェインよりも依存性、禁断症状、耐性が低い。ただし中毒性はニコチンよりも高い。

 大麻による健康被害は、通常の健康な成人が大麻を使用しても心臓病で亡くなることはないとされているが、もともと心臓が悪い人は使わないほうがよい。

※依存性と中毒性の違い
例えばアルコールの場合、飲酒量をコントロールできなくなる状態をアルコール依存症、飲みすぎて昏睡状態になったときには急性アルコール中毒と言われる。
依存症は身体的、精神的依存により摂取している状態が正常となってしまうことを指し、中毒は物体が持つ毒性に身体が蝕まれることを指す。

■ゲートウェイドラッグは実はアルコール

モーリー:
 日本は80年代から厳しかったアメリカに比べアルコールに関して緩い。

矢部:
 アルコールは合法だしタバコもそうです。合法ということが関係ありますよね。

モーリー:
 アメリカではATFという、アルコールとタバコと銃器を取り締まる機関がある。アルコールとタバコは銃と同じくらい危ないんですよね。だけどカフェインと同じくらい安全なマリファナは市民権を得ないという......。

■北朝鮮は大麻の楽園?!

 2013年のハフィントンポストの大麻と親和性の高い国を示した地図。色が濃いほど親和性が高い。アジアは全体的に親和性が低いが、北朝鮮の部分が緑色である。

モーリー:
 高樹沙耶さんは北の楽園に行ってみるという手も(笑)。

■モルヒネは痛み止めとして使うと依存症になりにくい

矢部:
 日本人の薬物に対する抵抗意識は医療現場にも表れています。合法であるにも関わらず諸外国に比べモルヒネの使用率がとても低い。薬物全般に対する知識が欠けているからです。根性でガンの痛みを我慢するのが美徳のようになっていますが、痛みを我慢しても長生きしない。

 身体というのはよく出来ていて、痛み止めとして使う場合は依存症になる確率はものすごく低い。ヘロインとモルヒネは似ているが、遊びで薬物を摂取するのとは違うことを伝えたい。目的によって身体の反応が異なるんです。

モーリー:
 精神論というか、武士道の一種のようなものを感じますよね。

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