岡田斗司夫が完全復刻版『デビルマン』を語る――「申し訳ないんですけど、新作カットはいらない」
ニコニコニュース / 2017年3月27日 16時0分
『マインド・ゲーム』『ピンポン THE ANIMATION』などを手掛けたアニメーション監督湯浅政明氏が、2018年春にNetflixで独占配信されるアニメ『デビルマン』の監督を務めることが明らかとなった。
この話題を受けて3月19日配信の『岡田斗司夫ゼミ』にて、永井豪の原作『デビルマン』の魅力について言及。岡田斗司夫氏が『デビルマン(豪華愛蔵版)』に対して「漫画家の先生に言うのは申し訳ないんですけど、新作カットはいらない」とコメントした真意とは何なのでしょうか。
すべての写真付きでニュースを読む
漫画『デビルマン』は完全復刻版がおすすめ
岡田:
湯浅政明監督が来年Netflix(ネットフリックス)で原作通りの『デビルマン』を作るそうです。
みなさんに気を付けてほしいことは、原作『デビルマン』の文庫本とかいろんなバージョンが出てますけど、完全復刻版と書いてある『デビルマン』を買って下さいね。今、普通に売ってる豪華愛蔵版も、講談社漫画文庫版もダメなんですよ。なぜなら永井豪先生の新作カットが入ってるから。漫画家の先生に言うのは申し訳ないんですけど、新作カットはいらないんですよ(笑)。
僕らは連載されていた頃の永井豪の絵で読みたい。でも、新作カットのおかげで、3巻あたりで、時間的順序が逆になっちゃったり、ネタばらしみたいなエピソードが入っちゃったりしてて、興が削がれるんですよ。それに、この頃の永井豪のデッサンの狂いは格好いいけれど、今のデッサンの狂いは、ダメなんですね。今の方が、昔より絵は上手いんですよ。上手い分、デッサンの狂いがわかっちゃう。でもこの頃のデッサンの狂いは味になってるんですよね。
永井先生が今描き直したら、怖くない
岡田:
『デビルマン』で僕が一番すごいと思ったのは、ヒロインである美樹の弟の友達にススムくんという子がいるんですが、家に帰らないススムくんに、彼の友達が心配して、「なんで帰らないの?」と、言ったら「お母さんが最近変なんだ」って言うんですね。友達は「うちに泊まるか?」と、励ましてくれるんですが、ススムくんは「そこまで心配かけれないよ」と断るんです。そしたら急にお母さんが迎えに来るんですよね。
岡田:
この目とか、デッサンが上手くなった永井先生が今描き直したら、怖くないんですよ。お母さんが優しく「ウソ言ったらだめよ」と、言った後、友達が帰ったら「パパがそんなに早く帰るとお思いかい。はっはっは」っていう風に怖い展開になってきて、「その年、人間はじょじょにデーモンにかえられつつあった」っていう少年誌の描き方ですね。この「じょじょに」がひらがなであったり、「かえられてきつつあった」がひらがなであったり、あくまで少年誌の範囲内での展開の仕方ですね。
次に、主人公の不動明が「やあみなさん、ここまでついに読んでしまいましたね。みなさんは、これを、少年漫画を読んでいる。『デビルマン』の漫画として読んでるでしょ。でも違います。これからあなたに関係のある話になっています。なぜなら、これから待ち受ける地獄は、私個人のドラマではなく、みなさんのドラマでもあるからです」という、不吉な見開きがあって、じわじわっと、こっから怖くなっていく。
モダンホラー・血みどろホラー・黙示録的ストーリーが絶妙なバランスの永井豪『デビルマン』
岡田:
つまりモダンホラーとして始まったものが、血みどろホラーになって、ついには人間全部を巻き込んでいく黙示録的な話になっていくというのが、ものすごく絶妙なバランスでできているんですよ。
このバランスを今の永井豪の絵で、格好いい絵とかを入れられても、全然乗れないんですよね。たぶん年末くらいに再出版されるんですけど、おそらくこれからの出版物って、今のダイナミックプロが出したい『デビルマン』になっちゃうと思うので、ほぼ確実に改悪版と僕はあえて呼びますけど、それが出回ると思います。
この放送を見ている人は、「完全復刻板」と書いてあるものか、もしくはAmazonのレビューが10個以上ついてて、「これは今の先生の絵が入っているからダメだよ」というのがついていないのを買えば大丈夫です。よくレビューを見て『デビルマン』を買って下さい。
◇関連サイト
・[ニコニコチャンネル]岡田斗司夫 独演・講義チャンネル - 会員登録が必要
http://ch.nicovideo.jp/okadatoshio-dokuen
・[ニコニコチャンネル]メルマガ専用 岡田斗司夫アーカイブ - 会員登録が必要
http://ch.nicovideo.jp/okadatoshio-archive
外部リンク
- 「オタク文化とラップが結びつくとは誰も思ってなかった」 ニコニコ動画黎明期に花開いたラップ文化をレジェンドが語り尽くす【らっぷびと×タイツォン】
- 森友学園騒動の「本当の問題」とはいったい何か――東浩紀・津田大介・茂木健一郎が籠池氏証人喚問の夜に語り合った
- トランプショックでアメリカ映画は政治性が強くなる。キャプテンアメリカ、アイアンマンら、世代交代も迫るアメコミ映画のメッセージは?
- マクドナルドのドナルドがお悩み相談を実施! 「英語ができなくて悩んでいます」「ストレス解消法はありますか」に対する回答とは
- 「透析患者を殺せ」の元フジアナウンサー「そんなこと言ってない、大ウソを拡散してる人達がいる」←言っただろ......と話題に
この記事に関連するニュース
-
「ゴールデンカムイ展」に行ったら「ホラーなことになってた」…これは「ホルマリン漬け?」
まいどなニュース / 2024年7月1日 12時25分
-
書籍『あぶない刑事インタビューズ「核心」』が発売1ヶ月で重版3刷出来! 新作映画『帰ってきた あぶない刑事』の近藤正岳プロデューサーと著者・高鳥都氏の対談記事も公開に!
PR TIMES / 2024年6月26日 13時45分
-
実は原作改変にあらず 昔の特撮やアニメはなぜあんなに同題マンガとは別物だったのか
マグミクス / 2024年6月9日 6時25分
-
底辺漫画家がアシスタント時代に気がついた“業界に残り続ける人”の共通点とは 「漫画がずっと好きな人はあんまり残れない」
集英社オンライン / 2024年6月8日 19時0分
-
令和6年6月6日は「恐怖の日」 伊藤潤二『うずまき』ほかレジェンドホラー作家原作の実写版
マグミクス / 2024年6月6日 6時6分
ランキング
-
1「鬼すぎない?」 大正製薬の広告が“性差別”と物議…… 男女の“非対称性”に「昭和かな?」「時代にあってない」
ねとらぼ / 2024年7月4日 18時32分
-
2「知らんかった」 Googleで“あるワード”を検索すると……? あまりに“癒やし”な「隠し機能」に5万いいね「延々とやっちゃう」
ねとらぼ / 2024年7月4日 20時45分
-
3「Thank you Buddies!」 櫻坂46、最新曲「自業自得」ライブ映像を公開 「これだよこれ!」「いきなり凄いものが…」反響続出
ねとらぼ / 2024年7月4日 20時53分
-
4「ドコモ光 1ギガ」旧プランを2025年6月に提供終了、解約金の安い新プランへ自動移行
マイナビニュース / 2024年7月4日 19時15分
-
5老後の趣味で気軽に“塗り絵”を始めて1年後…… めきめき上達した70代女性の美麗な水彩画に「本当にすごい…」「感動です」
ねとらぼ / 2024年6月29日 22時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください