世界中が最も注目した"嫁姑問題"ーーダイアナ妃vsエリザベス女王
ニコニコニュース / 2017年5月10日 12時0分
ニコニコドキュメンタリーでは、『ザ・ライバル』と題して、世界が注目する"ライバル関係"を描いた12作品を、ニコニコ生放送にてお届けします。ペプシとコカ・コーラによるコーラ戦争、スティーブ・ジョブスとビル・ゲイツ、ダイアナ妃とエリザベス女王の王室嫁姑対立など、さまざまなジャンルの"ライバル関係"の裏側に迫ります。本稿では、そんな『ザ・ライバル』シリーズの内容を、ニコニコドキュメンタリーのプロデューサーを務める吉川圭三が解説。「世界まる見えテレビ特捜部」や「恋のから騒ぎ」など、数々の人気テレビ番組を手がけてきた吉川氏が語る、それぞれの対決の見所とは......!?
まず私事で恐縮である。1997年ダイアナ妃が亡くなった翌年の1998年、私は、ダイアナ妃が最後に生きている姿を見せたというパリ1区の宮殿風のホテル・リッツの裏口がよく見えるこじんまりしたホテルに宿泊したことがある。
夕暮れ時、私の部屋の窓越しに見えるその出入り口は1年前、生前の最期のダイアナを見る為に世界中の人々が監視カメラ映像を通して見た"世界一有名なドア"であるにも関わらず、人気(ひとけ)も無い石造りのこじんまりしたドアであった。
結局、滞在2日中、カーテン越しに引き付けられる様に私は3回は見たと思う。静かなこのドアから出てメルセデスベンツ250に乗り込んだダイアナがその直後に大事故に遭うなどと全く想像出来なかったからなのだろうか?
すべての写真付きでニュースを読む
世界中が最も注目した"嫁姑問題"
「嫁と舅(しゅうと)」間の諍(いさか)い......と言ってしまえばそれまでである。一方は伝統を誇る大英帝国の頂点「英国王室の女王」エリザベス2。もう一方は女王の息子のチャールズ(プリンス・オブ・ウェールズ)の嫁・ダイアナ妃である。ダイアナ妃はウイリアム王子(第2王位継承権者)とヘンリー王子(第5王位継承権者)の母である。
ダイアナは1961年17世紀から続く貴族の家系・スペンサー家に生まれる。1969年両親が長年不仲で離婚する。明るく見えるダイアナにこの事がしこりを残す。後に結婚するインテリのチャールズと異なりダイアナはあまり勉強に熱中出来なかったことから、英国の大学には進学せずスイスの花嫁学校に入学する。
ロンドンでフラット暮らしを始めたころ、1979年あるパーティーでチャールズ皇太子と会う。急速に二人の仲は深まり1981年セントポール大聖堂で結婚した。178センチ同士の背の高いカップル。知的でスマートな皇太子と大輪の薔薇の様なお妃。二人の姿に世界中はうっとりした。
その後、二人の息子をもうけ幸せの絶頂と思えた夫婦に問題が発生する。チャールズ皇太子のカミラ・ローズマリーとの不倫問題である。この件の発覚後、1994年ダイアナも秘かに不倫をしていた事が発覚。ただ、チャールズは振り向かない。拒食症となり1995年BBCにおいて「私は(息子たち)とだけの3人だけで生活している」と述べ物議を醸し、不倫で傷ついた自らの名誉を回復し大衆の同情をひく。
メディアを操って「新しい王室」に変えようとした先鋭化したダイアナの活動
私はこのドキュメンタリーが光彩を放つのはこの部分あたりからだと思う。現実主義者のエリザベス女王とその美貌とその立場を武器にメディアを駆使して国民の支持を増やしてゆくしたたかなダイアナ。
旧家に生まれた普通の何も知らないお嬢様と思われていたダイアナが変貌してゆく様が面白い。公式行事よりもパーティーやチャリティーの催しに現れ、その美貌と華麗なるファッションで衆目を集めるダイアナ。もしかしたら、幼くして離婚した両親に与えられなかったであろう「愛」を求める様に「愛されることをもとめて」いたのだろうか。
また「地雷撤去運動」「エイズ撲滅運動」とダイアナの活動は先鋭化した。それはまるで旧態然とした王室を「新しい王室」に変えようとしているかの様だ。その姿をマスコミが追いダイアナは国民的人気者に昇り詰める。ダイアナはただものではなかったのだ。
1996年チャールズと離婚。ダイアナは膨大な慰謝料を貰い、親権も平等にした。すごい胆力と粘りとしたたかさである。1996年パキスタン人脳外科医と交際。1997年エジプトの富豪と結婚。1997年8月31日パリで事故に遭遇。
死後も惜しまれる声が後を絶たない
パリの集中治療室にいるまだ生きているダイアナに会いに行くため、王室専用機の使用許可を貰おうとしたチャ―ルズに女王は「ダイアナはもう公人ではないから国民から浪費になると糾弾される。」と言って断ったと言う。チャールズはダイアナ死亡後「将来国王になるであろう子の母親の遺体を運ぶのは浪費でしょうか?」と訴えパリからの遺体移送を許可したと言う。
ダイアナの死後しばらく公式声明を出さない女王に国民から非難が集まり始めた。そして葬儀ははじめ「内輪の葬儀」が検討されるが、「凖国葬」になったと言うのだから、ダイアナに凄い人気があった事がしのばれる。
約一週間後の葬儀の日、エリザベス女王はバッキンガム宮殿の前に集まった一般国民の中に入り花やカードを見て回り。後にテレビで追悼の特別生放送を行った。死後もダイアナのパワーは衰えを知らなかったのである。
プロフィール
吉川圭三
ドワンゴ・エグゼクティブ・プロデューサー。ニコニコドキュメンタリーのプロデュースを務める。「世界まる見えテレビ特捜部」や「恋のから騒ぎ」など、数々の人気テレビ番組を手がけてきた。著書に『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』(小学館)、『ヒット番組に必要なことはすべて映画に学んだ』(文藝春秋)など。
◇関連サイト
・ザ・ライバル
http://nicodocumentary.jp/special/vs_rival/
・[ニコニコ動画]【予告編】ニコニコドキュメンタリーシリーズ『ザ・ライバル』 ~世界が注目する12のライバルたち~
http://www.nicovideo.jp/watch/1490613304
・[ニコニコ生放送]『ザ・ライバル』レディ・ダイアナVSエリザベス2世 ~英国王室・見えざる闘い~ - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv293874832?po=newsinfoseek&ref=news
外部リンク
- SF大賞受賞の軍事SF『WOMBS』作者、ミリタリーとの出会いを語る「ファーストガンダムの4話で軍規に惚れてしまった」
- マストドンの"位置づけ・問題点と評価・今後の展望"をプログラマーが考察。「技術に新しさはないが、忘れかけていたものを思い出させてくれた」
- 「これがマリファナビジネス最前線だ」5万人が大麻を吸いまくる"ヤバい"パーティーから超ハイテクのマリファナショップまで突撃リポート
- ファッション業界の礎を築いたドイツの皇帝とフランスの天才――ラガーフェルドvsサンローラン
- 「アニメ業界どうなってんの?」『とんかつDJアゲ太郎』監督・大地丙太郎と『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ演出・山本寛が語る"ダメなプロデューサー"が増えた理由とは
この記事に関連するニュース
-
キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月23日 9時30分
-
ヘンリー王子の謝罪要求にウィリアム皇太子の友人が「非常に厚かましい戦略」と激怒=米メディア
東スポWEB / 2024年9月5日 17時31分
-
ヘンリー王子、英滞在中は母ダイアナ妃の実家に居候していた
クランクイン! / 2024年9月3日 15時33分
-
【イタすぎるセレブ達】ヘンリー王子とウィリアム皇太子、伯父の葬儀に参列もお互いを無視 「離れて着席していた」
TechinsightJapan / 2024年8月30日 20時18分
-
ウィリアム皇太子&ヘンリー王子、おじの葬儀で一緒になったものの、お互いを避けていた
クランクイン! / 2024年8月30日 16時3分
ランキング
-
1「日本人を殺すのは規律」四川省地方政府幹部がヘイト発言 中国・深圳の日本人男児刺殺、主張する「『仇日教育ない』は真っ赤なウソ」
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月24日 11時35分
-
2ウクライナのエネルギー不足深刻化の恐れ、G7が支援強化…ロシアの攻撃受け発電能力3分の1
読売新聞 / 2024年9月24日 20時28分
-
3中国の危険情報レベルゼロ、環太平洋先進国で日本のみ 米はレベル3「拘束の危険が存在」
産経ニュース / 2024年9月24日 15時28分
-
4深圳の男児刺殺、中国在住の欧米人や韓国人にも不安広がる…「外国人が被害に遭う事件が相次いでいる」
読売新聞 / 2024年9月24日 18時41分
-
5トランプ氏がゼレンスキー大統領を「最高のセールスマン」と揶揄…ウクライナ支援「無駄使い」主張
読売新聞 / 2024年9月24日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください