「福島の人達の苦しみに比べれば、ガンの痛みなんて小さい」故・日隅一雄氏の悲壮な決意とは

ニコニコニュース / 2012年6月13日 21時45分

日隅一雄氏の訃報を伝える「夕刊ニコニコニュース」は「人」の文字が多く流れた

 画面に、合掌を意味する「人」「人」「人」の文字が流れた。弁護士でジャーナリストの日隅一雄(ひずみ・かずお)氏の訃報を読み上げていたときのことだ。2012年6月13日のニュース番組「夕刊ニコニコニュース」の一場面だ。享年49歳と吉野智子キャスターが伝えると、「若いな」「若すぎるね」と驚く声が多く見られた。

 日隅氏は、京都大学卒業後、産経新聞社に入社。司法試験に合格してからは、弁護士として活躍した。昨年には末期ガンと診断されたが、福島第一原発事故の直後から、東京電力の記者会見に出席。会見場で、東京電力に対して力強く情報公開を求める姿が、ニコニコ生放送の視聴者にもお馴染みだった。オレンジ色のパーカーを着ていることが多かったため「オレンジ」や、本名を文字った「ひずみん」の愛称で親しまれていた。

・[ニコニコ生放送]夕刊ニコニコニュース 6月13日(15分間) - 会員登録が必要(無料)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv94725803?po=newsinfoseek&ref=news

 この日の夕刊ニコニコニュースでは、前日の午後8時に亡くなった日隅氏の訃報をトップニュースで伝えた。彼が、同じ事務所の弁護士に宛てて送信したという最後のメールには、「ぜひ、東電にも情報公開の義務を負わせて下さい」という言葉があった。末期がんという病魔に冒されながらも、最後まで東京電力の情報公開に執念を燃やす、日隅氏のジャーナリズム魂が垣間見える文章となっていた。

 夕刊ニコニコニュースでは、日隅氏が編集長を務めていたインターネット新聞「NPJ」(News for the People in Japan)で活動を共にしていた、弁護士の梓澤和幸(あずさわ・かずゆき)氏に電話インタビューをした。大切な相棒を失った梓澤氏は、無念そうな声で次のように話した。

「日隅さんは自分よりも友達を、自分の健康よりも福島の人の苦しみを、いつも考える人でした。

ガンのかなり重い宣告を受けて『あと何カ月(の命)』と(医者に)言われたときも、東京電力の記者会見に欠かさずに行ったんですね。

『何で、そんな病いを押していくのか?』と僕が聞いたら、彼は『私は本当に原発問題についての関心が弱かったために、福島第一原発の事故が起こり、10万人を超える人達が故郷を失った。福島の人達の苦しみに比べれば、自分のガンの痛みや病いの重みなんて小さいものだ』って言ったんですよ。

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