映画『カーズ/クロスロード』の魅力を元F1レーサーの片山右京が語る「子供だましの作品じゃない。心境描写はドライバーとして通じるものがある」
ニコニコニュース / 2017年7月22日 16時30分
映画『カーズ/クロスロード』が公開された記念として、代官山蔦屋書店で開催されるカーズ応援モーニングクルーズ「片山右京×国沢光宏SPトークショー」が行われました。
元F1レーサーの片山右京さんが自身の現役時代と映画のストーリーを重ねながら、自動車評論家の国沢光宏さんと『カーズ/クロスロード』の世界を熱く語って下さいました。
片山「カーズのこだわりは子供だましじゃない」
司会:
お二人はすでに、映画をご覧になられたかと思います。登場する車や、レースシーンの迫力、走りの臨場感が物凄くリアルに描かれているんじゃないかと思うんですが、実際に映画をご覧になっていかがでしたか。
片山:
1作目、2作目を見て、3作目も家族全体で楽しめて、お子様も喜ぶ映画だろうなと思って見ていました。今作は、レースや車に関わってきた自分の人生の中で、「結構やられちゃうな~」と思う映画だったんですけれど、本当に何よりも音がすごくて。ブンブンブンって!
国沢:
ものまね上手ですね(笑)。
片山:
ネタバレになっちゃうんですけど、マックィーンがクラッシュする時とか、ちょっと柔らかめのスプリングレートのぷよぷよした感じとか、ショルダーがなくて、タイヤが柔らかいから少しポワンポワンした動きとか、「流れ出したら止まらないぞ!」みたいなのが、伝わってくるものがありました。
国沢:
片山さんは、バリバリにF1でレースをやってらっしゃって、僕もちょっとだけレースをやるんですけれど、F1のスタートからのコーナーって、もの凄いんです。僕らが全く理解ができないくらいの音と速さと車の動きなんです。だから、そういう現場でやっていた人が言うんだから、やっぱり凄いんですよね。
片山:
そういうのは、単純にピクサーさんの技術が上がったってことだけじゃなくて、こだわり方が、パーツが飛んでいったり、火花が飛んでいったりしたり、その映像の中に自分が入っちゃう感じがしました。
司会:
臨場感が溢れているという感じでしょうか。
片山:
そうですね。良くできている、というのを通り越していった感じです。
国沢:
アメリカで1番人気があるのはアメリカンフットボールなんだけど、その次に人気があるのがNASCAR(ナスカー) っていうレースなんです。皆、本当の迫力を知ってるんで、そういう意味では作る方もレベルが高いですよね。
片山:
目が肥えてますよね。子供だましなことをやっていると、本当のファンはついてこれないから、そこら辺のこだわりが凄いっていうのは、映像だけでも感じさせてくれますね。
心境の描写はF1ドライバーとして「通じるものがある」
司会:
車やレースの迫力だけではなく、レーサー後のマックィーンの心境も、かなりリアルに描かれていましたね。
片山:
レーサーっていうと、勇気があるって当然のように思われるんですけども、実際にはそうじゃないんです。プレッシャーもあるし、映画とか小説とかと違って、自分自身がアクシデントに遭うので、絶えずそういった恐怖を持っているんですね。マックィーンが自分自身を鼓舞するシーンがあるんですが、僕も「このレースで勝てば日本チャンピオンになれる」とか「負けると全てを失う、スポンサーもつかなくなるかも」っていつも考えていたんです。
僕はいつも緊張すると、神経がおかしくなっちゃってハンドルが太く感じちゃうんですよ。それで自分で「何度もやってきたんだから、大丈夫。俺なら行ける」って何回も自分に言い聞かせてヘルメットかぶってコックピットに入って行きました。そのあたりは、ドライバーの目線で見たら通じるものがありますよね。
司会:
そして、映画ではいろいろな世代のキャラクターが登場します。マックィーンとドックという師弟関係がとても印象深いですね。
国沢:
ここが一番、この映画の泣かせどころですね。新しい世代と古い世代、一番最初はドックとマックィーンが師弟関係だったんですが、さらに下の代が出てくるとまた違う師弟関係になるじゃないですか。それがまた面白いですよね。
次のページ »マックィーンにF1現役時代を重ねて
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