「メイドインアビスは10年後も残り続ける超大作」評論家が大絶賛する理由って?
ニコニコニュース / 2017年10月12日 12時0分
10月1日に放送された『岡田斗司夫ゼミ』では、この夏に放送されたアニメ『メイドインアビス』について岡田斗司夫氏がコメントしました。
「この夏のアニメの中で、唯一、10年後も残り続ける超大作だ」と、今作を大絶賛した岡田氏。さらに、「この物語は『主役が幼いキャラクター』だったからこそ実現できた」とも述べましたが、その理由は何なのか、実際のアニメのシーンを使って、『メイドインアビス』の魅力について解説しました。
※本記事には『メイドインアビス』のネタバレを一部、含みます。ご了承の上で御覧ください。
―関連記事―
『Re:ゼロから始める異世界生活』はどうやって楽しめばいいの? という素朴な疑問に答えてみた『干物妹!うまるちゃん』作者が衝撃発言。「母がアシスタントを...」巨乳キャラのトーンを母親が貼るってどんな気持ち!?
すべての写真付きでニュースを読む
ファンタジーの中にある"リアルな生活"が生々しく、面白い
岡田:
「この夏面白かったアニメベスト10」というものを見たら、1位が『ようこそ実力主義者の教室へ』で、「えー!?」と思いました。1位は間違いなく『メイドインアビス』だと思っていたのに、なんと20位のところに『メイドインアビス』って書いてあって(笑)。いやあ、普通の人はそうなのかもわかんないな、と思いました。
岡田:
まず、『メイドインアビス』の何が凄いのかというと、原作の漫画がめちゃくちゃ面白いんですね。そして、アニメが原作を追い越しているんですよ。
漫画で出来て、アニメーションで不得意なこと、というものがあります。例えば、内面描写や心理描写というものを、漫画の場合はごく自然な独り言のような、いろいろな字体で書くことができる。しかし、アニメの場合は、それを声優さんがセリフとして言って、そのニュアンスで伝える、ということしか出来ないので、内面的なことはアニメーションよりも漫画の方が得意なわけです。
それに対してアニメーションの方は、"カラーを使う""動きを見せる"ということが可能。美しいものを見せられるということに関しては、アニメの方が良いと思っています。
『メイドインアビス』は、おそらく今の文明が崩壊した後の世界で、地球に"アビス"という直径1㎞ほどの深い穴が開き、そこから不思議な物がいろいろ発掘され、それで生活している人がいる、という世界観です。
岡田:
主人公たちがいる幼稚園のような所は、そのアビスの近くで拾われた子供達が育てられ、アビスの中に潜り、中から物を取って来て、その幼稚園の売上に寄付することで、全員が生活をしているという、なかなかリアルな世界なんですね。
ただ、そのアビスの中というのは、1千メートルくらい潜ったら、"上昇負荷"というものがかかる。つまり、上がってくる時に身体に何かしらの悪いことが起こるのです。それが千メートルくらいだったら、咳が出るくらいで済むのですが、深くなればなるほど、上がってくる時に、目から血が出る、人間の形を保てなくなるなど恐ろしいことが起こる。これを「アビスの呪い」と呼んでいるんですね。
良い作品かは"日の光"でわかる
岡田:
そんな恐ろしい場所であるにも関わらず、いろいろな価値があるものだから、その周りには人間がいっぱい暮らしている。普通の世界のように、朝日も昇る。これはエンディングの一部の画なのですが、優れた映像というのは、横から光が入るだけでそれが朝か夕方かがわかるのです。
岡田:
朝日と夕日というのは、見た目にもそっくりなのに、演出の描き方によって、それが明らかに希望的なものなのか、感傷的なものなのかがわかるんですね。『メイドインアビス』は、街の左半分はまだ真っ暗な闇に閉ざされているが、反対側は光がどんどん当たってきて、「希望に溢れた朝が来る」ということを暗示している。これがストーリー全体のテーマで、わかりやすいんですよね。
かつて『天空の城ラピュタ』でも、スラッグ渓谷という所に、主人公のパズーがラッパを吹いて朝日が入るシーンがあって、なぜ宮崎駿さんがあれを描いたかというと、産業革命当時、子供が働かなければいけないような、過酷な状態の中でも、「こんな谷の奥にも朝が来て、朝日が周りを輝かせているんだ」「この世界はきれいなんだ!」
というように見せることで、その世界の美しさを描こうとしたんですね。これができるアニメというのは、やはり優れているものなんです。『君の名は。』もそうなんですね。『君の名は。』を見ていると、現実の新宿よりきれいなんですよ(笑)。
岡田:
『SLAM DUNK』のオープニングを見ても、実際の湘南の電車の踏切よりもずっときれいに描いている。それは画の力なんですね。画というのは、写真ではなく、きれいに描いても嘘にならないし、作り手側には「こういう風に見えている」というメッセージになるんですよ。
『この素晴らしい世界に祝福を!』は、主人公がハーレム状態で、駄目な冒険している第1シーズンがとても好きで。その理由は、スタッフに恵まれないし、画もそんなに上手くないんだけども、夜明けのシーンとかで、あえてそれを描こうとしているんですよね。『Re:ゼロから始める異世界生活』も、きれいで美しいものを描こうとしているんですよ。
ところが『異世界はスマートフォンとともに。』はそういったシーンが一切ない。「この世界が素晴らしい」というものがなくて、きれいなお城、部屋、女の子、というのはあるんですけども、その世界全体を称賛する、ということを肯定的に描いていない。
そうでなければ、見ている人間が救われない、というところがあるんですね。なので、そういうのをしっかり描いているのは、僕はすごく信頼できることだと思うんですよ。
次のページ »『メイドインアビス』は、なぜ幼児画で描かれるのか
この記事に関連するニュース
-
「ギャップがすごい」「意味不明だけどクセになる」1話から衝撃的な2024春アニメ3選
マグミクス / 2024年5月1日 12時25分
-
「ヘドが出そうな悪役」「キツ過ぎてR指定」 衝撃の「トラウマ級」アニメ映画
マグミクス / 2024年4月29日 21時55分
-
島﨑信長、内田雄馬、浦和希が明かす『劇場版ブルーロック‐EPISODE 凪‐』への思い
ananweb / 2024年4月28日 20時0分
-
「ここまで濃厚なドラマになるとは」 『劇場版ブルーロック‐EPISODE 凪‐』の魅力を原作者と監督が語る
ananweb / 2024年4月28日 19時0分
-
「考えさせられる」「グロはないけどトラウマ」 記憶にこびりつくアニメ映画3選
マグミクス / 2024年4月8日 20時10分
ランキング
-
120歳未満も活動、アイドルグループに「加熱式タバコ」写り込み イベント運営「主催スタッフの私物」と釈明
ねとらぼ / 2024年5月6日 14時55分
-
2AndroidのVPN接続にDNSトラフィック漏洩する不具合、Googleは調査開始
マイナビニュース / 2024年5月6日 17時41分
-
3SeagateのHDDが故障率ゼロで好調、Backblaze2024年第1四半期レポート
マイナビニュース / 2024年5月7日 8時42分
-
4地元民向け“バリカタ仕様”の袋麺だと思ったら……思わぬ落とし穴に「トラップ仕掛けられてる」「自分も引っかかった」
ねとらぼ / 2024年5月6日 12時0分
-
5『FF3』の移植を阻んだ「爆速飛行艇」の謎 天才プログラマーにまつわる噂の真相は?
マグミクス / 2023年5月16日 21時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください