佐賀愛あふれる 動画「【実写版】ぼくのなつやすみ」<うp主インタビュー第5回>
ニコニコニュース / 2012年10月1日 18時45分
「動画アワード2011(夏)」のグランプリを受賞した『【実写版】ぼくのなつやすみ(佐賀)』。うp主である「よーらい」さん(30)とその仲間たちが森の中へ分け入って、クワガタを探したり、川で釣りをする様子などを、プレイステーション用ソフト『ぼくのなつやすみ』へのオマージュたっぷりに編集した動画だ。子どものころ、田舎で無邪気にはしゃいだ夏休みをふと思い出させてくれるようなノスタルジックな内容は、「大人にこそ見てほしい動画」と高い評価を受けた。2012年8月5日に開かれた『ニコニコ町会議 in 佐賀県・呼子町(よぶこちょう)』にも参加した「よーらい」さんは、生まれてからほとんどの時間を佐賀県で過ごしてきた。そんな彼に、地元に対する想いやニコニコ動画が地方にもたらす可能性などを語ってもらった。
・[ニコニコ動画]【実写版】ぼくのなつやすみ(佐賀) part1 - 会員登録せずに視聴可能です
http://blog.nicovideo.jp/award/2012/10/post-3.html#sm15067371
■「身近な場所にも面白いところはたくさんあると考えるきっかけになれば」
――動画アワード2011(夏)で、グランプリを受賞した『【実写版】ぼくのなつやすみ(佐賀)』の制作経緯をお聞かせください。
2011年の夏ごろ、ニコニコ動画で24時間生放送が流行っていて、自分もそれに挑戦してみようと思ったんです。でも、何もネタなしにただ話をするだけで24時間を乗り切るのは難しいかな、と。そこで子どものころから毎年やっていたクワガタ採りの様子を撮影・編集して、放送中に流すことで尺稼ぎに使おうと考えたんです。それなりに力を入れて作っていくうちに、生放送で一回流すだけは少しもったいない気がして、動画として投稿することに。むしろ途中から動画編集の方が楽しくなってしまい、そっちに集中するあまり、結局、生放送はしませんでしたが(笑)。
――グランプリを受賞した時の気持ちをお聞かせください。
『【実写版】ぼくのなつやすみ(佐賀)』にも登場していたメンバー3人でアワードの生放送を見ていました。グランプリを取った瞬間は、少し興奮して声を荒げちゃいました。クワガタ採りって、なんとなく見てしまうところがありますよね。男のロマンというか。題材も良かったのかもしれない。あと、タイトルが『動画アワード2011(夏)』で、その言葉自体は投稿期間を指すものですけど、本当に夏に関する動画がアワードを取るっていうのは、なんだか面白かったです。
――動画を編集する際に気を付けていることは?
『【実写版】ぼくのなつやすみ(佐賀)』では、とにかくテンポ良くストーリーを進めて、飽きさせないようにすることを心がけていましたね。だいたい1回あたりの素材として、短くても3、4時間は撮影してくるんですが、どんどんカットしていって40分くらいにします。さらに、そこから絞って15分以内にまとめています。動画に出てくる僕たちは芸人ではない、ただの素人です。だから、それくらい凝縮しないと間延びしてしまうんです。次のシリーズ『佐賀よかでしょう』を視聴してくれる人は、ある程度、僕たちのキャラクター付けを理解してくれていると思うので、"人となり"がしっかり見えるように、編集はほどほどにしています。
――『【実写版】ぼくのなつやすみ(佐賀)』の後に、幅広いジャンルでの野外活動を動画化した『佐賀よかでしょう』というシリーズを配信していますが、そのコンセプトをお聞かせください。
佐賀県に限らず、地元の意外な良さを知ってほしいというのが、コンセプトの一つです。例えば、近くにある観光地って、そんなに出掛けたりしないじゃないですか。修学旅行とかで他県の人たちのほうがたくさん訪れていたりしますよね。そういう場所に出かけて馬鹿やっている僕たちを見て、「自分たちが住んでいる身近な場所にも案外、面白いところはたくさんあるんだ」って考えてもらえるきっかけになればと思っています。
・[ニコニコ動画]第一回 佐賀よかでしょう 【ドラム缶風呂編】 - 会員登録せずに視聴可能です
http://blog.nicovideo.jp/award/2012/10/post-3.html#sm15609447
■自分たちの動画が地元を盛り上げる手助けになることは、うれしい
――よーらいさんの(ニコニコ動画での)コミュニティではオフ会が開かれていて、いろいろな地域から多くの人が参加していると聞きます。オフ会の魅力とは何ですか?
オフ会は場所などの都合で、どうしても参加者の人数を調整しなくてはならないんですが、なるべく僕たちの地元以外の方に優先して来てもらえるようにしています。東京や大阪、東北や海外からの参加もあります。"都会の人に田舎の良さを知ってもらおう!"というコンセプトで、流しそうめんやクワガタ採り、竹とんぼ作りなんかを企画して、みんなで楽しめる工夫をしていますね。
参加してくれた人の多くが、佐賀という場所を気にいってくれて、その後も定期的に訪れてくれています。「イヤなことがあったら佐賀に気晴らしにいこう」って。何よりうれしいのは、「佐賀の人はみんな優しい」って感じてくれていることですね。オフ会なので、参加者は僕たちだけじゃなくて、地域のいろいろな人と接することになるんですが、特に都会から来た方は、「佐賀の人はあったかい」って言ってくれますね。
――いろいろな遊び場を紹介したり、結果的に佐賀県のPR的な役割を果たしたりしていますね。
『佐賀よかでしょう』に出てきた「吉野ヶ里遺跡」や「どんぐり村」、焼肉屋「ひらぬま」さんは、動画を投稿した後に、結構人が来たという話も。あるお店なんかは、広告や情報雑誌に掲載するよりも効果があって、「県外からのお客さんが増えた」とお礼を言われたこともあります。「松本農園」というところでイチゴ狩りをする動画をアップした時は、それを見て興味を持った人が東京や北海道からやって来ているという話も聞きました。自分たちの動画が佐賀県を盛り上げるちょっとした手助けになっていることは、すごくうれしいです。
――『ニコニコ町会議 in 佐賀県・呼子町』では、地域交流コンテンツの一環として「町ゲーム実況」に参加されましたが、どのような印象を受けましたか?
「水光呼子港まつり」の来場者数は、毎年、約1万人くらいですが、ニコニコ町会議がやって来た今年は1万6000人だったそうです。僕たちもブースをいただいて参加したんですが、県外からのお客さんがかなり多かった気がしました。多分、そのプラス6000人はニコニコユーザーだと思うんです。町会議の舞台になった呼子町は、ものすごく交通の便が悪くて、佐賀市内からでも車で2時間くらいかかります。これまでは、一番遠くても「佐賀市から来る」くらいだったんですが、今回は京都からの参加者もいました。
その後に、"反省会"と称して、佐賀県知事と一緒にニコニコ生放送をした時に話したんですが、来場者の増加にとても驚かれていました。「ネットコンテンツの力はこんなにもすごいのか」と何度も口にしていて、「今後、ネットをどうやって地域活性化に繋げていくかを課題の一つにして取り組んでいきたい」とのことでした。
――最後に、今年の2012年の動画アワードについて、どのようにお考えですか?
動画アワードってニコニコ動画で評価されにくい動画が評価される傾向があると思うんですよ。去年の年間グランプリを受賞した『CBR1000RRとC57 1 貴婦人』というバイク動画みたいに、ニコニコ文化と少し違う基準で評価されるのは、すごく素敵なことだと個人的には感じています。純粋に楽しんでいる動画、本当に自分の好きなことに入れこんだ動画というのが、アワードの評価の対象になりやすい気がするので、これまで通りにそういった動画が選考に残ってほしいです。
◇関連サイト
・動画アワード2012 - 公式サイト
http://blog.nicovideo.jp/award/
(森田浩明)
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