はじめてのかんせんき(執筆者:我孫子武丸)

ニコニコニュース / 2014年2月27日 16時0分

 2月11日、電王戦初日の際は、東京では45年ぶりとも言われる8日の大雪の名残が都内各所で見られたものだったが、14日に再び関東甲信越を襲った大雪は都心の交通網も大きく乱した。電王戦二日目の16日朝になってもまだその影響は残っていたものの、準備はなんとか整い、対局は10分遅れでスタートすることとなった。

 人間側・江村棋弘(えむら・きこう)アマ7段は紋付き袴姿(注1:気合いの表われかと思いきや、運営側の用意したもの)。20代か、どうかすると学生にも見える顔立ちだが大学院で法律を学ぶ34才だそう(注2:年齢を知ったのは打ち上げの飲み会の解散時で、誰かに年齢を聞かれて「34です」と言った江村氏に対し出席者一同「えーっ!」という声をあげたことは報告しておかねばならないだろう)。世界大会を二度も経験しているとはいえ、初の幽玄の間での対局はやはりかなりの緊張を強いられたとのこと。対するコンピュータ側・zenを操るチーム代表加藤英樹氏は、幽玄の間の隅で自宅と繋がったマシンのディスプレイを見つめている。後で伺ったところによると、勝ち負けより何より、zenへの入力ミスをしないか、代打ちとの連携がうまくいくかどうかが最大の心配事であったそうだ。終盤、zenが敗色濃厚な局面で加藤氏の表情が苦しそうに歪むのも、照り返しで見にくいディスプレイを必死で睨んでいたせいだったという。

 一局目先番江村7段の向かい小目に対し、zenは二手とも星。13路での二連星とは何とも「高い」印象を誰しも抱いたようだが、とにかくzenは中央志向、超宇宙流ともいえる「棋風」なのだという。その後も切られた右下をあっさりと捨てて厚みを取るなど、コンピュータらしい非情さ(感情の無さ?)を見せつける。その性格上、序盤ではある程度損をするものの、中盤、終盤の読み合いで破格の強さを発揮し、逆転するのが本来の勝ち筋であるらしい。しかし残念ながら、本局では江村氏のその後の打ち回しにはつけいる隙がなく、左下をすっかり荒らされた時点でzenの投了となった(注3:投了はzen自身が様々な要素を考慮して行なうとのこと)。

 二局目先番となったzenはまたしても星の連打だが今度はなんとタスキ!(注4:右上と左下、というふうに斜めに打つこと)これが悪手だとはもちろん誰も言えないし言わないだろうが、大胆であることは間違いないと思う。一局目よりもずっと落ち着いて打てたという江村氏は、相変わらず中央を囲もうとするzenに対し鋭いハサミツケを放つなどして乱戦に持ち込み、結果左下星回りの四子を飲み込んで優勢を保ち、またしても中押し勝ちとなった。

ニコニコニュース

トピックスRSS

ランキング