群衆雪崩でサッカースタジアムのフェンスが崩壊 800人以上が死傷したイギリスサッカー史上最悪の事故「ヒルズボロの悲劇」を解説
ニコニコニュース / 2022年11月24日 12時0分
今回紹介する動画は、ゆっくりするところさんが投稿した『【1989年イギリス】数千人以上の下敷きになり圧〇した観客…サッカー史上最悪の群衆事故 『ヒルズボロの悲劇』【ゆっくり解説】』。
1989年4月15日にイングランド・シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムで行われた、リヴァプール対ノッティンガム・フォレスト戦において発生した群衆雪崩について解説しています。
魔理沙:
今回紹介するのは、以前リクエストがあった「ヒルズボロの悲劇」についてだ。
霊夢:
ヒルズボロの悲劇? 何かの災害事例とか?
魔理沙:
ああ。これはサッカーの試合会場で起きてしまった、群衆雪崩による大規模事故のことで、イギリスのスポーツ史上、最悪の事故と評されている。
霊夢:
さ、最悪の事故……。そういえば、最近も韓国で群衆事故が起きたっていうニュースあったわね……。
魔理沙:
そうだな。ハロウィーンやクリスマスなど、年末に向けてこういった人が多く集まるイベントも増える時期だし、そのニュースもあったので、時期的にもちょうどいいと思って今回取り上げさせてもらった。ただ、例によって、その紹介の一部でショッキングな表現をせざるを得ない部分がある。
それに、これはあくまでも概要を伝えるものであり、すべての事柄を詳細に、正確に解説する動画ではない。以上のこと、コメントガイドラインを理解し、了承できる人のみ視聴・コメントしてくれ。
霊夢:
う……人がただ倒れるっていう事故も、実際の映像とか被害状況を見ると滅茶苦茶怖いのよね……。でも、これも知っておいたほうが同じ事故を防げる系の話だろうし……。おっけーおっけーするわ!
魔理沙:
ヨシヨシ、それじゃ早速本題に入るぜ。イングランド中部に位置する都市「シェフィールド」。
ここは非常に河川が多く、古くから水車動力を得ることで、鉄鉱石や石炭などの採掘が盛んになり、鉄鋼業によって発展してきた工業都市だ。先の大戦では、爆撃による甚大な被害を受けたものの、復興後にも鉄鋼業、製鋼業は成長を続け、現在ではイギリスで最もナイフやフォークといった、刃物産業が盛んな都市として知られる。
霊夢:
へぇ~。なんかこの現地説明を聞いてると、当たり前だけど、私たちの知らない場所にも、いろんな歴史があるんだなって思うわね。
魔理沙:
1989年4月。そんなここシェフィールドのスタジアムでは、サッカーFAカップの準決勝戦が行われていた。この試合は、リヴァプール対ノッティンガム。準決勝ということもあり、54,000枚販売されたチケットは完売。
霊夢:
すごっ! サッカーってそんなにたくさんの人が一度に観戦するの?
魔理沙:
ああ。大型スタジアムでの試合では、これくらいの人が訪れるのは珍しくない。それにイギリスでは、日本以上にサッカーファンが多いことで知られているからな。
正午にはサポーターたちが少しずつ到着し始め、リヴァプール側のサポーターは、南から入場するノッティンガムのサポーターと接触しないよう、西側の出入口を使用するようにアナウンスが行われ、会場にはそれぞれのサポーターたちが入り始めていた。
霊夢:
なんで相手のサポーターと接触しちゃだめなの?
魔理沙:
これは過去に起きた、フーリガンによる死亡事故の影響が大きかったためだろう。実は1985年に行われた、リヴァプール対ユヴェントス戦の際、両チームのサポーターが衝突し、それが暴動に発展してしまい、39名が命を落とすという悲劇が発生していた。
霊夢:
あ……昔話題になったフーリガンってやつね。
魔理沙:
そうだ。明確な語源は不明だが、サッカーの試合会場内外で、暴力的な言動をするサポーターや、暴徒化した人々の事を指す言葉だな。
この過去の事件によって、イギリス政府はフーリガン排除を目的とした、「サッカー観戦者法案」を提出し、一時はサッカー場へ入場する際、顔写真付きのIDカード提示が義務付けられ、暴動を起こした者に対しては、年間単位での入場禁止や、国際大会の際の渡航を禁止するなど、かなり強い規制が盛り込まれた法案が提出されたほどだった。
実際には、ここまでの規制は入らなかったが、この騒動以降、警察当局によるサポーターへの目は厳しくなり、試合開催側も、サポーター同士を極力近づけないようにするなどの配慮が行われている時期だった。
霊夢:
なるほどねぇ……。
魔理沙:
この運営側の指示によって、西側に1か所しかない入り口には、約24,000人のサポーターが通ることになった。そのうちの約10,000人は、立見席のチケット購入者。この西側の会場入り口には、回転式のゲートが7つ設けられていたが、この大量のサポーターを通過させるには、とんでもない時間が必要だった。
霊夢:
えぇぇ……それって絶対無理あるでしょ。
魔理沙:
正午から約2時間が経過しても、まだ通過していたのは2,000人余り。試合開始の15時にはとても間に合いそうにない。
この回転式ゲートの先には、試合会場のゴール裏に設置された入り口があり、ゲートを通過した人々は、我先にとこの入り口に殺到した。試合開始まであと30分ほどになったころには、回転式ゲートの前は人で溢れかえり、残り15分となったころには、その人数は倍以上に膨れ上がった。
霊夢:
すごいことになってる……。
魔理沙:
回転式ゲートはフル稼働していたが、その先の入り口をくぐった立見席周辺にも、人の山ができ、ほとんど動けないような状態になってしまっていた。
霊夢:
なんでもっとスムーズにいかないのよ……。
魔理沙:
会場のスピーカーからは、運営によって「立見席のお客様は、入り口周辺にとどまらず、左右に分かれて席移動をお願いします」とアナウンスが行われていたが、人の山は一向に解消されなかった。
というのも、この立見席への通路の左右は高いフェンスで区切られており、立見席に移動するにはフェンスの端のわずかな切れ間を通過するしかなく、入り口近くのブロックから入ってきた人々は、そこから離れた立見席ブロックにスムーズに移動することができないでいたんだ。
霊夢:
構造的な問題があるわそれ……。
魔理沙:
この時、地元警察も会場でフーリガンなどへの警戒を行っており、警察責任者は、運営側の責任者に対し「試合開始時間を遅らせたほうがいいのでは?」と提案したものの、協議の結果、運営側は予定通りに試合を行うと判断した。
霊夢:
えぇぇ……まだほとんどお客が入れてないのに。
魔理沙:
試合開始15分前の時点で、およそ5,500人が入場していたものの、立見席のチケットを持つ4,000人以上がまだ会場に入ることすらできていない状態だった。そこで警察は、予定通りに試合開始するならば、「回転ゲート横の大型出口ゲートを開放するべきだ」とさらに提案。
運営側はこの提案を飲み、通常は開放することのない、出口ゲートの開放を決定。このゲートが開放されていたのは、約5分ほどの短い時間だったが、開放するや否や、2,000人以上のサポーターがこの出口に駆け入った。
霊夢:
それでなんとかなるのかしら……。
魔理沙:
ちょうどそのころ、試合会場にはスター選手たちが入場し、ゴール手前の立見席には選手たちを少しでも近くで見ようと、サポーターたちが前へ前へ移動した。そして、その後ろからは出口ゲートをくぐってきた、さらに別のサポーターが波のように押し寄せた。
霊夢:
あ……そういえば中も大変なことになってるんだったわね。
魔理沙:
予定通り、15時になると試合が開始されたものの、ゴール手前の最前列に設置されていたフェンスが、人々が押し寄せる圧力によって崩壊。そして、最前列にいた人々は、後ろから倒れてくる人に押しつぶされて圧死してしまった。
霊夢:
イヤアアアアアアアアアアアア!!!
魔理沙:
フェンスが崩壊したことによって、興奮したサポーターがフィールドにあふれかえり、警察が直ちに出動し、試合を止めた。最初の救急車が15時14分に到着し、けが人の収容に奔走したが、あまりの負傷者の多さにストレッチャーが足りず、サポーターたちは現地に設置されていた、広告板を使って負傷者を外に運び出し、消防は応援の救急車を呼んだ。
霊夢:
そんなに沢山……。
魔理沙:
このときの群衆事故により、内臓破裂や骨折、窒息などによって、96名が命を落とし、766名が重軽傷を負うという、大惨事になってしまった。最年少の被害者は、わずか10歳の少年だったという。
霊夢:
う、うわぁぁぁぁぁ!!! なんでそんなことになっちゃうのよー!
魔理沙:
しかも、この犠牲者のうち、病院に収容されたのはたったの14名。その他の人々は、収容される前に会場で人の下敷きとなり、亡くなっていた。
霊夢:
た、たったの14人しか病院に運ばれなかったの??
魔理沙:
亡くなった人の中ではな……。人が多すぎて、救出するのに時間がかかってしまったためだろう。10人の人に後ろから倒れこまれれば、前にいる人には約450キログラム以上の圧力がかかると言われているからな。これは胸の上に16袋ものセメントを載せているようなもので、その状態では呼吸することなど不可能だ。
霊夢:
それで窒息しちゃったんだ……。
魔理沙:
その後、原因の調査が行われた。事故当初は、フーリガンとの関連性が指摘されていたものの、それは事実と異なり、警備側の誘導に不備があったこと、先述したように、入り口やフェンスなど、会場の設備そのものに不備があったにもかかわらず、収容能力を上回る人を入れようとしたために発生した群衆事故だと結論付けられた。
霊夢:
いろんな要因があったのね……。
魔理沙:
その後行われた犠牲者遺族の起こした裁判では、「この事故は海上警備責任者の悪質な業務上過失が原因」との評決が下され、警察の不手際も、被害の拡大に寄与したと断定された。
事故当初はサポーター、およびフーリガンの行動が問題とされていたものの、遺族たちは事故後約27年間にわたり、彼らの名誉挽回に努め、最終的にファンの問題ではなく、運営と警察側の責任であったことが証明された。
霊夢:
じゃあ、事故っていうより、業務上過失致死事件になったんだ……。
魔理沙:
そういうことだな。陪審団は、回転ゲート前に、リヴァプールサポーターが増え続ける事態への、警察対応はあまりにも遅く、統一性がなかったため、入場者の流れを抑止する措置も不十分だったと指摘。
大勢の人々がいきなり集中した際の対応が用意されていなかったと認定し、スタンドの立見席にサポーターが殺到した原因になった、回転ゲート横の出口ゲート開放は誤りだったと結論付けた。
さらに陪審は、警察が事態の重要性を素早く認識できず、救急対応が後手後手に回ってしまったせいで、ほとんどの被害者が医療機関で適切な処置を受けることができず、亡くなっていたことも指摘していた。地元警察は、不手際があったことを認め、業務上過失致死などの認定を全面的に受け入れると表明。
「これまでと同様、すべての遺族と関係者に無条件に謝りたい」と、警察本部長は会見で謝罪した。これは運営側の不手際や、会場そのものの構造や安全基準の誤り、警察指揮官たちの判断ミス、救護対応の遅れなど、様々な要因によって引き起こされた大惨事で、イギリスのサッカー史上、最悪の犠牲者数を出す事態となってしまった。
霊夢:
まさか、人が押し寄せてこんなことになるなんて……。
魔理沙:
この惨事の影響は非常に大きく、イギリス政府は立見席を全面的に廃止し、椅子席に改修するよう、各スタジアムに勧告を行い、椅子席設置の義務化が行われた。
また、今回の事故で問題となったフェンスについては、各クラブや警察・消防の判断にゆだねられることになったが、これを受けて3つのクラブチームとスタジアムでは、鉄柵の全面撤去を決定。同様の災害を2度と発生させないように、スタジアムの構造自体の見直しや、厳しい規制が設けられるきっかけにもなったんだ。
霊夢:
そんなに大きな影響があったんだ……。
魔理沙:
2022年現在、私たちが安全かつ快適にサッカー観戦がたのしめるのは、このような過去の多くの犠牲者たちの、悲しい歴史があったからこそなんだ。
霊夢:
前に紹介した、お正月とか花火大会の事故でも、群衆雪崩で大勢の人が亡くなってたけど、その教訓を生かして、いろんな対策が取られるようになってたもんね……。
魔理沙:
こういった過去の歴史から学び、教訓を得て同様の災害防止に努められているから、私たちは安全に生活できているということも、忘れてはいけないことなんだ。
それと、今回の事故では主にサポーターではなく、運営側や警備側の不手際が原因だったという結論になってはいるものの、利用者側である私たちも、群衆事故が発生しないよう、イベントや施設の利用に関しては、よく考えなければいけない問題でもある。
霊夢:
そうね……身近なところだと、お祭りとか安売りセール会場とか、ほんとに押しつぶされそうになるくらい人が押しかけてきたりすることあるもんね……。私たちも他人事だと思わないで、よく考えなきゃね。
魔理沙:
さてと、今回の紹介はこの辺で終わりにしておこう。
霊夢:
最後までご視聴いただき、ありがとうございました。
抵抗することがほぼできない状況で、命を落としてしまった悲しい群衆雪崩でした。
この解説をノーカットで聞きたい方はぜひ動画を視聴してください。
『【1989年イギリス】数千人以上の下敷きになり圧〇した観客…サッカー史上最悪の群衆事故 『ヒルズボロの悲劇』【ゆっくり解説】』
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