1999年に発売された『ファイナルファンタジーVIII』を令和になってもやりこみ続ける男がいた──過酷な縛りを己に課すやりこみゲーマーの性(さが)
ニコニコニュース / 2022年12月16日 12時0分
「『FF8』に飽きるという概念はない」
2015年から7年に渡り、『ファイナルファンタジーVIII(FF8)』の縛りプレイ、やりこみプレイに挑み続けている動画投稿者・shelfall(シェルフォール)さんはそう語った。
正直、この言葉を聞いたとき、「この人はいったい何を言っているんだ……?」と頭の中に疑問符が溢れてしまった。
しかし、shelfallさんがこの約7年の間に投稿してきた『FF8』の動画数は260超。しかも、常人であれば体験することはないであろう、特殊な遊びかたを続けている事実を見ると、妙な説得力がある。
例えば、コントローラーの△ボタンを押してはいけない縛りプレイ「△ボタン禁止でFF8」では、△ボタンを押せないため自由にメニューを開けないしセーブもできない状況でクリアを目指した。
メニューを開けないということは装備を整えてステータス強化(『FF8』の目玉であるジャンクション)もできない。加えて、△ボタンを押せないと戦闘で強い技を使うこともできない。苦行にしか見えない。
「1行動1回縛り」という縛りプレイは、その名の通り戦闘中に同じ行動を2回以上使わないでクリアを目指すものだ。
強力な技はもちろん、「たたかう」ですら1回しか使えないため、無駄な行動は一切許されない。苦行にしか見えない。
また、慎重に慎重を重ねてゲームを進めていくことをテーマとした「石橋を叩いてFF8」。ゲームのラスボスを倒すまでに通算800時間以上かけるやりこみプレイのため、戦闘での苦戦は一切ない。
しかし、30時間以上に渡って同じ敵を倒し続けるような、労働基準法もビックリな稼ぎプレイをさも当然のごとくこなしていくやりこみ具合は、これまた苦行にしか見えない。
そもそも『FF8』が発売されたのは1999年2月11日。20年以上も昔だ。
現代は2022年。人によっては「レトロゲーム」と呼ぶであろうタイトルを令和となった今でもプレイし続ける。しかも、数々の縛りを自身に課し、ときに苦行とも呼べるほどの時間と労力を費やして。
なぜここまで『FF8』を飽きずにプレイし続けられているのか?
あえて自身に厳しい縛りを課す理由とは?
苦行にしか見えない行為に挑んでいる時の心境とは?
「本当にクリアできるのか?」と疑問を抱いてしまうほど厳しい縛りを自身に課し、信じられないほどの時間と労力をゲームに注ぎ込む、やりこみゲーマーの頭の中に迫るシリーズ「やりこみゲーマー列伝」。今回はshelfallさんにお話をうかがった。
取材・文/河村六四
編集/竹中プレジデント
『FF8』に飽きるという概念はない
──2015年から約7年に渡って、『FF8』の縛りプレイやらやりこみプレイやらの動画を投稿しているshelfallさんですが、ここまでひとつのタイトルをプレイし続ける理由はなんでしょうか。
shelfall:
純粋に『FF』シリーズの中で一番好きな作品だからです。好きだからいろいろ調べたり考えたりしているうちに、新しいネタを思いつく、といった感じです。
──好きとはいえ、ずっと同じタイトルばかりプレイしていて飽きないんですか?
shelfall:
動画のコメントでも、人生のすべてを『FF8』に費やしているかのように言われることがありますが……(笑)。
ほかにも趣味はいろいろあって、音楽制作とかレゴとか、バランスを取りながらやっています。あと、『FF8』に飽きるという概念はないです。
──飽きるという概念がない……。
shelfall:
ないですね。いろいろな縛り条件でプレイするたびに新しい気づきがあるんです。普段なら瞬殺してしまうボスの意外な行動パターンが見られたり、普通にプレイしたら使わないキャラや弱い技が活躍したり。
──縛りを課してプレイすることで、毎回『FF8』の違った一面が見えてくる、と。
shelfall:
そうですね。普通にプレイするだけでは気づけない魅力を知れるのが縛りプレイの醍醐味だと思います。
──『FF8』の縛りプレイについては、ネタはまだまだありそうですか?
shelfall:
さすがに6シリーズもやっているので、縛りプレイのネタはそうそう思いつかないですね。正直、新シリーズ(【FF8】最少「倒した敵の数」クリアに挑戦)もたまたま思いついただけなので。
ただ、単発動画でのネタはまだまだあるので、『FF8』と触れ合って動画化するのは当分続けていけそうです。
──単発動画を含めると『FF8』の動画だけで260を超えています。これだけの投稿数になると、録画している量だけでもトンデモナイことになってそうですね。
shelfall:
もちろんゲームプレイのすべてを録画しているわけではないのですが、後々使うかも、と思って保存しておくものもあるので、それなりの量にはなっています。
フルHDで録画すると重くなりすぎるので、今は1280×720のサイズで録画していて。それでも、1時間録画すると1ギガバイト(GB)を超えてしまうので、いつの間にか外付けハードディスクも3台(2TBの2つ、4TBの1つ)に増えちゃいましたね。
──ええ、すごい…。それだけ録画していると動画を作るときに必要な場面を探し出すのも大変だと思うんですが、どう管理されているんでしょう。
shelfall:
ざっくり「このパートにはこの録画分を使おう」と考えながら動画データを区切って撮影をしていますね。動画データはナンバリングして撮影した順番がわかるようにしつつ、そのパートでどんなことしているのかメモをして後から見返してもわかるようにしています。
それでも「石橋を叩いてFF8(PC版)を初見プレイ」のときは、録画データかかなりの量になってしまったので大変でした。いまそのファイルを見ているのですがこんな感じで……。
──「アルケオ(アルケオダイノス)狩り」や「アダマンタイマイ食べまくり」がズラリと並んでいますね(笑)。
shelfall:
このシリーズはとくに稼ぎ作業が多かったので、後半のほうはずっとモンスターを食べてばかり【※】いた気もします。
容量的に1データ30~40分くらいのがズラッと並んでいるので、編集するのもひと苦労でした。
※特定のモンスターに対して「たべる」コマンドを使用することでステータスを強化できる。
──単純計算で「アルケオ狩り」で約6時間、「アダマンタイマイ食べまくり(食べ放題)」で約32時間……。これだけの時間、同じ敵とずっと戦うというのはもはや修行に近いですよね。このシリーズは結局どのくらい時間がかかったんですか?
shelfall:
通算で800時間はプレイしているとは思います。ラスボス戦の動画データは「1168」とナンバリングされているので、撮影だけでも1168回はしているみたいです。
このシリーズだけでハードディスク1台の容量を使いきってしまったんですが、見返してみてそりゃ埋まるなって量ではありますね。
──……それだけプレイしても『FF8』は飽きない?
shelfall:
飽きないです。プレイすればするほど『FF8』が好きになっていきます。
縛り条件を考えるときは極端な運ゲーは避ける。そして絶対に完走する
──縛りプレイをしていると、何度も敗北を重ねてしまうシーンというのは少なくないと思います。それこそ何時間、何十時間と同じ敵に挑むこともある。そんな失敗を重ねているときってどんな心境なんでしょうか?
shelfall:
早く解放されたいという想いと、「いい縛り条件を作れたな……」と自分を褒めたい想い。ふたつの感情が混じりあった複雑な心境です。
──当然のことかもしれないんですが、shelfallさんでも失敗が続くと辛いんですね(笑)。
shelfall:
それはもちろん。全滅が続くと苦痛に感じることはあります(苦笑)。
最近だと「△ボタン禁止でFF8」のナムタル・ウトク(デリング大統領誘拐ミッションで戦うボス)戦はとくに大変でした。
──「△ボタン禁止でFF8」は文字通り△ボタンを使わずにクリアを目指す縛りプレイですが、どのあたりに苦戦したんでしょう。
shelfall:
この縛りだと、メニューを自由に開けないので、ジャンクション(魔法やアイテムを装備してステータスを強化すること)や習得アビリティ設定、アイテムの使用が好きなタイミングで行えません。そのため、序盤は強制的にノージャンクションで進めないといけない。
ナムタル・ウトク戦もノージャンクションでの戦いになります。加えて、△ボタンを連打して特殊技が出せるまで粘ることもできないため、ただのノージャンクション縛りよりも難易度が上がります。
ただでさえ難所なのに、メニューを開けないということでセーブもできず、負けたらゲーム最初からやり直し。1回やり直すのに倍速モードを使って1時間かかるので、難易度が高かったです。
──負けたら1時間やり直しというのは厳しい戦いですね。
shelfall:
このときは確か通算8回目の挑戦で突破できました。
最近の縛りのなかだと運要素が大きく絡む戦いになってしまい、辛かったしもうやりたくないですね。でも結果的には、ちょうどいい塩梅のクリアをお見せできたのかなと思うので、これはこれでアリだったのかなと。
──いやあ……聞いているだけで大変さが伝わってきます。そんな苦痛の中でも自分を褒めたくなる“いい縛り”とはいったいどういう条件なんでしょう。
shelfall:
縛り条件を考える際に大事にしていることが3つあって、ひとつ目が完走できる縛りにすることなんです。これは絶対です。
──詰まないで最後まで走り切れること。理由としてはどのような?
shelfall:
私は他の投稿者の方の縛りプレイ動画もよく見ているのですが、パート1からずっと見ていた動画が完結しないまま、投稿者が途中で失踪してしまったときって、やっぱり残念な気持ちになるんですよね。
最新のゲームでもないどころか、もう20年以上前のゲームの、しかもマニアックな縛りプレイに付き合っていただいている視聴者の方にそういった悲しみを感じさせたくないという想いがあります。
──ふむふむ。
shelfall:
そしてふたつ目が極端な運ゲーを避けることです。一見すると無理そうでも、理詰めで最善を尽くすことで勝機が見えてくる。でも最後は運ゲーになる。というのが個人的にいい縛りだと思っています。
──ふたつの運ゲーにはどのような違いが?
shelfall:
自分なりの縛りプレイの哲学は「人事を尽くして天命を待つ」で、これはただただ試行回数を重ね突破するのではなく、「最適な戦略を立てたうえで、それでも運ゲーになる部分は仕方がない」という考えかたです。
逆に、とくに戦略を立てずに試行回数を重ねて「何十時間かけました」「何千リテイクやりました」みたいな運ゲーは、プレイするのはもちろん、視聴者の方も辛いと思うので、自分としては避けたいと思っています。
──なるほど。戦略を立てるのを重要視されている。そしてそのうえで運ゲーになるのはしょうがないと。
shelfall:
そして3つ目が縛り条件がシンプルであることです。
細かい条件を多数並べて、ひたすら難易度を上げるタイプの縛りプレイは個人的にあまり好きではなくて。難易度が高ければ、それだけ苦労している様子は見せられると思うのですが、見ていて「何がよくて何がダメか」が分からなくなりがちになってしまうと思うんです。
「△ボタン押さずにクリアします」や「同じ行動は2度と使えません」ってシンプルじゃないですか。シンプルだから見ている側もわかりやすい。コンセプトを考える際にシンプルでわかりやすいというのは意識しています。
──縛りプレイだとしても、難しければ難しいだけ“いい縛り”というわけでもないんですね。
shelfall:
じつは……初『FF8』縛りプレイ動画の「FF8ノージャンクション1人旅+α」がまさに極端な運ゲーを試行回数で突破するタイプの縛りだったんです。
△ボタンを連打して、いい特殊技の条件が出るのを待つという。だからラスボス戦はとくにひどくて、無敵がなくなったら無敵が出るのを祈る。本当にひたすら天に祈るだけでした。
しかも途中で詰んでしまって……セーブデータを遡ってリノアのレベルをより低いまま進めることでなんとか完走できたのでよかったのですが、自分の動画の中では一番苦労したし、いま振り返ると美しくないなって思います。
──とはいえ、そこまで難しい縛りプレイを完走して、実現可能だと証明したことには意義があると思っています。
shelfall:
そうですね。そうだと思います。「極端な運ゲーを避ける」考えが生まれたのはこの縛りが相当辛かったからですし、以降の縛りプレイ動画では、見ていてそんなに苦じゃない、ただの祈りゲーじゃないみたいなところを考えて作るようになりました。
アイデアを思いついてチャートに落とすまでが縛りプレイでの楽しさの9割を占める
──縛り条件を考えて、事前準備をして、実際にプレイして、クリアする。苦しい時間も少なくないやりこみプレイの中で、一番楽しい瞬間ってどのタイミングなんでしょうか。
shelfall:
一番はアイデアを思いついた縛り条件でクリアまでの道筋が見えたときです。
もちろん、プレイしていて戦略がうまくハマっておもしろい戦闘が撮れたり、動画に対してリアクションをもらえたときも楽しいのですが、自分としてはチャートができた段階で縛りプレイはほぼ完成していると思っています。
チャートさえ組めればあとはゲームをプレイしていくだけ……と言ったらおかしいんですけど、チャートに従ってプレイしていくことになるので。アイデアを考えてからチャートに落とすまでが楽しさの9割くらいを占めていますね。
──縛りプレイはチャート作りが9割……。縛り条件はどのようにお考えで?
shelfall:
「よーし縛りプレイのネタを考えるぞ」ということはなくて、入浴中に漠然と『FF8』のことを考えているときに、フッと降りてくることが多いですね。
思いついたアイデアの中で「これはいけそうだな」というものは、実際にチャートを作るところまで進めちゃいます。
──というと、思いついたとしても、そもそも無理そうだったり、チャートを作っているなかでボツにしてしまったアイデアもあったり?
shelfall:
ありますね。それこそ「1行動1回縛り」は『FF7』で思いついた縛り条件だったんですよ。
でも、『FF7』は序盤に選択できる行動が少なく、どう考えても最初のダンジョンのボスが倒せなくて。縛り条件を緩める方向で検討もしたんですが、条件が複雑になると見ている側もわかりにくい動画になってしまうし、インパクトもない、ということで諦めたんです。
──最初のダンジョンすらクリアできないとは……。
shelfall:
これは『FF7』に限った話ではなくRPGの縛りプレイあるあるなんですが、序盤のほうが辛い……というか障壁になりがちなんです。ゲームが進行すればするほど、アイテムや装備が揃ってさまざまな戦略がとれるようになります。でも序盤はその選択肢が少ない。
でも『FF8』は、カードゲームで集めたカードから強力な魔法を作る“カード変化”と、魔法やアイテムを装備することでステータスを強化する“ジャンクションシステム”の噛み合いのおかげで、序盤からとれる選択肢が非常に多いんです。そんな『FF8』なら「1行動1回縛り」もできるんじゃないか? そう考えて『FF8』で挑戦してみることにしたんです。
──その自由度の高さこそ『FF8』の魅力であるとは思うのですが、逆にチャートを作るときは大変さが増すのではないでしょうか?
shelfall:
おっしゃる通りです。「【FF8】1行動1回縛り」は序盤からとれる行動が多いからこそできた縛りプレイではあるのですが、それゆえにチャートを作る時はかなり試行錯誤をしました。
思いつきで進めちゃうと後半使える行動がなくなってしまうので、1戦目からラストバトルまでどの行動を使うか、細かくチャートをしっかり組んでから走り始めました。
──どうチャートを組んでいったのか気になります。
shelfall:
最初のボスのイフリートからラスボスまでの強制戦闘をエクセルにバーッと並べていくんです。次にそれぞれの戦闘の間に必要な最低限の行動を書き出してクリアの目処が立つかどうかを確認。そこが通ったら、難所になりそうなところを洗い出して、そこで絶対に必要な行動を当てはめていく。
パズルのように組んだりバラしたりをくり返して、チャートを組むだけで何日もかかった記憶があります。
──ほうほう。チャートを組んでいくなかでもっとも試行錯誤したところってどのあたりですか?
shelfall:
強いてひとつあげるなら、魔法のランプで出現するディアボロスに、セルフィの特殊技「スロット」専用の究極魔法「ジエンド」を使う判断をしたところですね。どんなボスでも絶対に一撃で倒せるこの行動を、本当に序盤で使ってしまって大丈夫か、とても悩みました。
じつは、チャートを作り始めたものの、この縛り条件でのクリアは無理だと思っていたんです。いいコンセプトではあるんですけど、行動回数がまったく足りなかったので。そんなときに、序盤でジエンドを使ってディアボロスを倒せれば使える行動が増えていけるかも……と気づいたんです。
──動画のコメントでも「意外だ」って反応がありましたね。
shelfall:
あのタイミングでディアボロスのG.F.を入手して、そのアビリティを使っていろいろな魔法を精製できて、その後にとれる行動が増えていった。英断だったと思います。
事前に入念なチャートを作ったのもあって、“敵にダメージを与える行動すべてを使い切ってのクリア”の道筋が見えたときにはゾクゾクしました。
私生活への影響がないようにバランスをとって活動している
──ここ7年における投稿された動画を見ると、いつも何かしら厳しい縛りを課してプレイしているじゃないですか。こう聞くと失礼かもしれませんが……ゲームを縛らないで普通にプレイしても満足できるんですか?
shelfall:
どうなんでしょう……。ここ数年は動画を投稿している縛りプレイ以外でゲームをほとんどプレイしていないので、ちょっとわからないですね。
──つまり『FF8』以外はほぼプレイされてないってことですよね。それには何か理由が?
shelfall:
ゲームに限らず、レゴや音楽など動画を作って投稿するところが楽しくて、そこに時間を使っているがゆえ、新しいゲームを開拓したい想いがあまりないからでしょうか。仕事や家族と過ごす時間も大事にしていて、自分の可処分時間も限られているので。
それもあって、かかる時間が予想しにくい運ゲー要素の強い縛りプレイではなく、戦略の部分に重きを置いた縛りプレイのアイデアを考えて投稿しているのもあります。
──とはいえ、先ほどお話にもあった800時間はプレイされているというのは、けっこうな時間だと思います。これだけゲームに費やしていて私生活の影響はないんですか?
shelfall:
そこは大丈夫です。平日の日中は働いていますし、休日は妻や子どもや猫と過ごしており、自分がゲームなり動画制作なりをするのは、夜、家族が寝た後です。子どもからもそんなにゲームばっかりやっているお父さんだとは思われていないはずです(笑)。
──(笑)。私生活とのバランスはとれていると。
shelfall:
そうですね。もうあまり若くはないので、睡眠時間を削って無茶なプレイもそんなにしていませんし、あくまで趣味なので、私生活に支障をきたさない範囲で活動しています。
──動画投稿は趣味の範疇とのことですが、今の時代、動画投稿・配信を職業にされている方も増えてきていると思います。動画投稿を専門に……という選択肢はなかったんでしょうか?
shelfall:
おっしゃる通り、今ってクリエイターが収益を得る手段はいろいろあって、自分自身もニコニコ動画とYouTubeで収益自体は出ています。
趣味がお金になっている稀有なケースでとてもありがたいとは思っているのですが、動画投稿を職業にしようと考えたことは一度もないです。
──ほうほう。それはなぜですか?
shelfall:
動画投稿を職業にした場合、再生数や視聴者獲得など、戦略的な視点が必要になってくると思うんです。そして動画投稿が義務的になってしまい、その「義務感」がコンテンツにも透けて見えてしまう気がするんです。
動画投稿を職業にしている方を否定する気持ちはまったくないのですが、自分の方向性とは違うなと。自分としては、好きなときに好きな動画を投稿して、それがたくさん見ていただけたらうれしい。あくまで趣味としての活動が心地よいんだと思っています。
──なるほど。
shelfall:
あと、家庭を持っているのもひとつの理由ですね。もし独り身だったら会社を辞めていたかも……と考えることはあります。
ただ、僕のような引きこもりタイプは社会との接点を持っていないとダメだと思っているので、やはりサラリーマンとして働きつつ趣味で動画投稿をしている現状が合っていると思います。
──あくまで趣味として。好きなゲームを好きなときにプレイしていくほうが自身のスタイルに合っていると。
shelfall:
それこそ、職業として活動していくなら、『FF8』のような20年以上前に発売されたゲームではなく、流行りのゲームもプレイしないといけないでしょうし……。
やはり自分の好きなことを優先して、そういうマニアックな楽しさを一緒に共有できる人が少しでもいてくれたら嬉しいという思いのほうが強いですね。
『FF8』との出会い、縛りプレイとの出会い
──ここまで、何年も『FF8』縛りプレイに挑戦しているshelfallさんが普段どのようなことを考えながら縛りプレイに挑んでいるのか、いわゆるshelfallさんの頭の中に迫ってきました。ここからは、『FF8』との出会いについてお聞きしていきたいです。『FF8』を初めてプレイしたのはどのようなきっかけが?
shelfall:
シリーズ前作の『FF7』にハマっていたので、『FF8』は予約をして買いました。「Vジャンプ」で掲載されていた事前情報を見ながら発売日を楽しみにしていたのを覚えています。
──初めて『FF8』をプレイしたときの感想はいかがでしたか?
shelfall:
おもしろかったですね。当時は、低レベルのほうが有利だとか、カード変化を使うと序盤から無双できるだとかはわからなかったんですが、2、3回クリアするくらいには夢中になっていました。
巷では『FF8』はシステム面・ストーリー面とも過去作とは異なり取っつきにくいと言われていますが、自分にとってシリーズ2作目だったこともあってすんなり受け入れられました。ただ、ストーリーはさすがに子どもには難しかったです。
──『FF8』の発売日は1999年2月11日、今から20年以上前です。その当時は縛りプレイ、やりこみプレイという遊びかたはご存じでしたか?
shelfall:
当時はそういう遊びかたがあること自体知りませんでした。
『FF8』をプレイしてからちょっと後、恐らく「ファミ通」だと思うのですが、単純に強くする以外にも条件を課して逆に難しくしてプレイする方法があることを知りました。
確か『FF7』だったと思うんですけど、画面はラストダンジョンなのにレベルが10とか20とか低くて、「こんな低いレベルでどうやってここまで進めたんだろう」と衝撃を受けたのをなんとなく覚えています。
──それが縛りプレイとの初めての出会い。
shelfall:
その後、『FF7』の低レベルクリアを真似してみたり、ちょうど家庭にインターネット環境ができたタイミングだったので、縛りプレイをしている人のコミュニティみたいなところでいろんなゲームの縛りプレイや低レベルクリアの方法を見たりしていました。
「すごいことしている人がたくさんいるな……」と感じると同時に、「自分も『FF8』で何かできるかな?」みたいに考えるようになって。『FF8』のラスボスをカウンターやダメージ返しを使ってコントローラーに触れずに倒すような普通とは違う方法で遊ぶようになりました。
インターネットで発表するわけでもなく、友達に見せるでもなく、今考えるとちょっとやばい子どもかもしれませんが、ひとりでニヤニヤしながら何週もプレイしていましたね。
──当時から縛りプレイの素質が(笑)。
shelfall:
あったのかもしれないです(笑)。何をモチベーションにしていたのかちょっとわからないですけど、困難を課してクリアしたことが楽しくて、縛りプレイ自体に魅力を感じていたんだと思います。
そもそもRPGのおもしろさって「いかに強く育てるか」「どれだけ強い装備やアイテムを集めるか」だと思っていたんですよ。それとは真逆の、いかに弱くクリアするかみたいなことって、自分の中にまったく選択肢としてなかったんです。その視点が、すごくおもしろいな、と。
そういうプレイを見ても何も感じない人もいる中で、そこに衝撃を受けた時点で自分には素質があったというか、縛りプレイをやる運命だったんだな、と思います。
──やりこみ系の動画投稿は2015年からですが、それまでは自分ひとりで楽しんでいた感じですか?
shelfall:
いえ、高校生になってギターや作曲を始めてからは、そちらに夢中になっていたこともあり、しばらくゲームからは離れていました。たまに友だちと『マリオカート』などを遊ぶくらいでした。
大学生のころに携帯電話のアプリで『FF4』をプレイしたのをきっかけに再びRPGにハマって、プレステを引っ張りだしてきて、『FF7』や『FF8』をプレイし直すことはありましたけど、本格的な復帰は動画を投稿するようになったタイミングですね。
必要ないけどカードは100枚集めてしまう
──お話を聞いていると、本当に『FF8』への愛がすごいなあと驚いているんですが、具体的にどのあたりが好きなんですか?
shelfall:
まず、ストーリーが好きですね。『FF8』って物語の中心になるキャラクターの年齢がだいたい17~18歳なんですよ。現代だと高校生の年代。みんな抱えているものは違うけど、精神年齢はそこまで高くない。話が進んでいくなかでみんな揃って成長していくところが魅力だと思います。
──ほかの『FF』シリーズでは幅広い年齢のキャラクターたちがメインで登場しますし、異色の設定ですね。
shelfall:
『FF6』や『FF7』がけっこう重くて暗めのストーリーだったじゃないですか。
世界観としては『FF8』も十分暗くて重いのですが、同じ10代なのに先生と生徒がいたり、若者なのに大統領の暗殺ミッションを請け負ってたり、『FF8』はコミカルなノリが強いのでサクサク読み進められるんですよね。
──舞台も学校ですしね。
shelfall:
じつは、子どもの頃にプレイしたときは「スコールうじうじしているな」とか「リノア空気読めてないな」とか思っていたんです。
でも、大人になってから見ると「まだ高校生の年齢なのにみんなすごくがんばってるなあ」と、見えかたが変わって。メインのキャラクターではないんですが、風神と雷神のふたりが葛藤しながら成長していくところも好きなんですよね。
──動画でも風神がサイファーに話しかけるシーンを編集時に毎回フォーカスしているな、と思いました。
shelfall:
そこは自分の中でかなりお気に入りのシーンです。それまで「怒」や「嘘」など漢字でしか喋らなかった風神が「スコールにまかせるしかないんだよ!」「くやしいよ……。スコールに頼るしかないなんて……」と感情のこもった言葉でサイファーに伝える。
その後のサイファーのセリフもすごくよくて。風神と雷神を置き去りにしてスコールたちと単身戦うんですが、ふたりに「ありがとよ」って添えるんですよね。狂犬ですぐに突っ走るしょうもない奴って印象なサイファーですが、ここで彼も成長しているんじゃないか、と。同時に彼の葛藤も伝わってきて、すごく好きで記憶に残っていますね。
──子どものころプレイしていたゲームを大人になってあらためてプレイすると、昔とは違う見えかたになるのはあるあるですよね。
shelfall:
あと、先ほどお話した部分とも重なるのですが、ゲームの自由度が高いところも『FF8』の好きなところです。
ジャンクションをフル活用すれば初期レベルでも強く、逆にジャンクションしなければレベル100でも弱い。最初のダンジョンに入る前に最強武器を手に入れられたり、やりこみしだいで初期レベルでもカンストダメージを出せたりというのは他のゲームではなかなかできないことだと思います。
正確に言えば、“ジャンクションシステム”とカード変化の組み合わせで成せる技でしょうか。動画でカードゲームを「本編」や「本業」と表現しては、コメントでツッコミされる茶番があるんですが、『FF8』におけるカードゲームは冗談抜きでそれくらい大事な要素なんですよね。
──毎シリーズ上限の100枚まで集められてません?
shelfall:
なんだかんだ、カードのいらないプレイでもカードを集めてますね。今挑戦してるので縛りプレイは6回目ですけど、縛りに必要なカードはありつつも、必要なくてもカード集めのところは基本的に省略しないですね。
純粋にカードゲームが楽しいのもありますが、カードを集めまくるのはやりこみの王道であるので、そこは外さないようにしています。
そこも「そんなにいらないでしょ」っていうコメントのためですよね。1人で縛りプレイをするんだったらそこまでやらないと思いますけど、「とりあえず必要最低限集めます」って言って、「いや全部集めてるじゃないか」っていうお約束みたいな。念のため、とか言うときっとみんなも「おいおい」って思わず言いたくなるかな、と思って集めてます。
──そういうお約束でいうと、セルフィの純白の聖域へのこだわりも動画のなかでおなじみのネタになっていますよね(笑)。
shelfall:
そうですね(笑)。ネタ的に映えるという側面は確実にあるのですが、『FF8』を初めてプレイしたのが思春期の入り口のような時期だったので、当時はすごく刺激的に見えていたんです。そのときの思い出補正があって今でも扱っているのもあります。
もっと際どい描写は世の中にいくらでもある。グラフィックも現代の水準に比べると荒い。でも、『FF8』プレイヤーだったら誰しもが追いかけたい、そんな見えそうで見えないロマンがそこにはあるんじゃないかと。
……とまあ、そういう冗談の通じる方たちに見ていただけているので、このラインはギリギリセーフかな、と考えています(笑)。
ゲームは縛っても動画投稿は縛らない
──動画を編集する際に意識していることがあれば教えてください。
shelfall:
ゲームの縛りプレイ系の動画は、他のジャンルに比べると、どうしても動画の時間が長くなりがちじゃないですか。
なので、なるべく1パートは10分程度におさまるようにしたり、ゆっくり解説の言葉にアクセントをつけたり、視聴者の方に飽きられないように工夫はしたいと思っています。
──なるほど。ゆっくり解説の言葉にアクセントとは具体的にどういうテクニックなんでしょう?
shelfall:
口にして説明するのはちょっとお恥ずかしいのですが、異常なことをさも当たり前のように解説することで「あれ? 今変なこと言ってなかった?」と、視聴者の方に興味を持ってもらえるような言い回しを入れるよう意識していますね。
──ああ! 例えば「しばりプレイをする理由:本能」だったり「運値MAXセルフィ」だったり。
shelfall:
ですです。いわばツッコミ待ちみたいな。「この場面ではたくさんコメントがきてほしいな」「ここはきっとツッコミがくるな」というのを考えながら動画を編集しています。
とはいえ、編集はがんばりすぎないように。せっかくの趣味なのに、義務感を感じてしまうとおもしろい動画ができなくなってしまうので。
──編集をがんばりすぎない、とは?
shelfall:
いわゆるbiimシステムのようなレイアウトにして解説や説明を詳細にしたり、演出を入れたり、ゆっくりキャラを動かしたりするのって、けっこう大変なんですよね。
ものすごく凝った編集をして動画を作っている方はたくさんいらっしゃって、その動画はおもしろいしすごいと思うんですが、自分の場合はそういう姿勢で作った動画っておもしろさが半減してしまうんです。
義務感が透けてしまって、後から聞いてもおもしろくないんですよ。モチベーションが高くて楽しめているときのほうがおもしろいんです。そういう経験から、「無理しすぎない」「楽しいと思える」範囲での編集を心がけています。
──あくまで自分が楽しめる範囲で編集をしていくスタンスと。
shelfall:
だから「週1ペースで投稿します」というような縛りは自分に課さないようにしています。
──ゲームは縛っても動画投稿は縛らない。
shelfall:
ゲームを縛るより苦行に感じちゃいます。せっかくの趣味なのに、「次投稿しなきゃ」とか「進めなきゃ」って思ってしまうと、義務感がでて楽しめない。自分が動画を作りたいときに作るというのがすごく重要だと思っています。
──とはおっしゃいますが、例えば「【FF8】1行動1回縛り」の時はオープニングでキスティスが喋るアニメーションみたいなのを入れていたり、稼ぎや作業シーンは画面分割をされていたり、けっこう凝った編集をされてるような……?
shelfall:
まず、アニメーションについては、自分が絵を描くのが好きで、好きで動画に入れているので、とくにがんばったり、義務感でしていることではないんです。
画面分割も、エンコードに時間はかかりますが、並べてボタンを押したら後は放置でいいので、作業的には大変なわけではありません。
最近は、数時間に渡って稼ぎ作業をするときは、あらかじめ30分ごとに分割して録画しておいて、それを並べるようにしているので省エネ化もできています。画面分割は「そんなに労力をかけずにがんばってる感の出るいい演出」だと思います。もちろん、分割に使うシーンを使いまわすズルはしていないですけど、編集は楽にできます。
──画面分割で、敗北シーンや稼ぎシーンを見せるというのは、縛りプレイ動画ではある種、定番の見せかたですよね。
shelfall:
そうですね。個人的には必要以上の苦労アピールは見ている側としても辛いと思うので、分割して50倍速とか100倍速とかにしてサクっと済ませています。
──こういう見せかたって、どういう風に思いついていくものなんでしょう。例えば、参考にした、影響を受けた投稿者さんっているのでしょうか?
shelfall:
「FF5 モンク縛り」のまけぼのさんですね。縛りプレイを動画として魅せるということを学びました。
まけぼのさんの動画って、中身はシンプルなんです。ただ、モンクというジョブでモンスターを殴り倒していく。要素としてはそれだけ。しかも負けシーンも非常に長く見せる。動画として単調になりそうなのに、それを動画としておもしろく見せている。
しかも2010年くらいの動画なのに映像技術がすごいんですよ! 10年以上前、ハイスペックマシンや今ほど便利なソフトがない時代にどうやって編集していたんだろう……? と疑問に思うくらいの編集技術で。今でもすごく尊敬しています。
──そんなに。
shelfall:
淡々と難しい条件をクリアしていく「ほら、すごいでしょ?」という動画ではなく、見ている人におもしろいと思ってもらえるような動画を作りたい。そう思うようになったのはまけぼのさんの動画を見たのがきっかけですね。それくらい衝撃を受けました。
生きているうちに『FF8』リメイクをプレイしてみたい
──「自分の好きなことを優先」しているとおしゃっていましたが、ここまでお話を聞いていると、「自分の好きなこと(やりたいこと)」が核ではありつつも、誰かに楽しんでもらうっていうところも大事にされている印象を受けました。
shelfall:
自分が楽しんでいるだけだとずっと思っていたんですが、そう言われると確かに「見てくださる方に楽しんでほしい」という気持ちはあるのかもしれません。
でも「楽しんでくれた反応を自分が見たい」というところが大きいと思うので、結局のところは自分のためなんですよね。誰かを笑顔にしたい……みたいなことを言うつもりは毛頭ないです。
──あくまで自分が楽しむというのが根本にあると。
shelfall:
はい。ただ、投稿した動画に「最初からこんな強くなれるって知らなかった」とか「動画を見て『FF8』を始めました」とかコメントをもらえたときはすごく嬉しかったです。
なかには、子どものころ『FF8』を遊んでいて「当時にプレイしたときは全然わからなかったけど、あらためてSteam版買ってプレイしてみました」とコメントを寄せてくれる方もいて。自分が好きなものを普及できてるというのは、喜ばしいことですね。
動画の視聴者データを見ると、80%くらいは25~44歳なんですが、24歳以下の視聴者も7%くらいはいて、現役で『FF8』に触れていない世代の方も見ていただいているんです。24歳以下の人たちに対しては、後世に語り継いだと言えるかもしれません(笑)。
──『FF8』が世代を超えているわけですね、素敵です。でもshelfallさんの動画で『FF8』に興味を持った方……いったいどんな方でどこに興味を持ったのかは気になりますね(笑)。
shelfall:
それはそうですね……何者なんだろうと(苦笑)。
──きっと縛りプレイヤーの素質はあると思うので、もしかしたら将来はshelfallさんのような『FF8』縛りプレイ動画を投稿するようになるのかもしれません(笑)。さて、いろいろとお話をお聞きしてきましたが、最後にshelfallさんの今後の目標や展望があれば教えていただけないでしょうか。
shelfall:
好きなときに好きな動画を作るというスタンスは今後も変わらないと思うので、「登録者何万人を目指します」というような目標や展望はとくにありません。あ、でも、あえて挙げるとしたら、生きているうちに『FF8』のリメイクをプレイしてみたいです。
前作の『FF7』は『アドベントチルドレン』とか『クライシスコア』とか続編もありますし、リメイクもされていていろんな派生ゲームとか映像作品が出てる中、『FF8』って何もないんです。リマスターはちょうど3年前ぐらいに出ましたけど、スピンオフみたいな作品もなくて。
──確かに。
shelfall:
アニメ化についても、『FF8』が飛ばされて『FF9』の発表があったじゃないですか。賛否両論のある作品だというのは知っているんですが、私みたいなコアなファンもいるので、『FF8』リメイクだったり、スピンオフだったり。
──スピンオフでいろいろ派生できそうですもんね。
shelfall:
そうですね。個人的には、本編であまりフォーカスされなかったラグナたちのところに焦点を当てた物語が見られるとうれしいです。
ラグナ編って全部で5回あるんですけど、雑魚との戦闘ばかりでボス戦がないんですよね。なので、ラグナが活躍するようなボス戦が見たいですし、ストーリー面だとラグナがエスタの大統領になる経緯を深堀りしてほしいです。
あの当時、魔女アデルが恐怖で支配していたなか、革命を起こして宇宙に封印したみたいなストーリーなんですけど、そこは本編だとさらっと終わっちゃってるので。そこだけを切り取ってもスピンオフとしてじゅうぶん作品として成り立つんじゃないかな、と思うんです。その辺をぜひ……広げてほしいなと(笑)。
──『FF8』愛のある、納得の回答でした。そういえばボスいなかったな、と今聞いてて思い出しました(笑)。
shelfall:
自分の目標というより願望ですが(笑)。生きているうちにひとつでもいいのでプレイしたいな……という思いがあります。
20年以上前に発売されたタイトルを2022年になった現在もしゃぶりつくすように遊び続けているshelfallさん。
取材冒頭、「『FF8』に飽きるという概念はない」という言葉を聞いたときには、なんてヤバイ人に取材を申し込んでしまったのかと頭を抱えてしまったが、約120分の取材を終えてもやっぱりヤバイ人だなという感想のままであった。
しかし、ただただ過酷な縛りプレイに身をおく狂人ではなく、本当に『FF8』が好きで、最大限に楽しむために縛りプレイという手段を選んでいる、『FF8』への愛がすさまじいのだと。ヤバさの印象はガラリと変わった。
あくまで「自分の好きなことを優先」していると語るが、
縛り条件をどう設定したら見てくれる方がわかりやすいか
縛りプレイどう編集したらおもしろく見てもらえるのか
どういう解説をつけたら視聴者は楽しんでくれるのか
その胸の内には「視聴者に楽しんでもらいたい」、ひいては自分の好きな『FF8』の魅力を届けたいという想いが秘められているように感じた(本人は否定しているが)。
それだけ『FF8』が好きだからこそ、7年以上に渡って縛りプレイ動画を投稿し続けられているのだろう。その結果、一部の視聴者からは『FF8』の変なプレイをする人と認識されてしまっているが……それは致し方ないことだ。shelfallさんもきっと本望だと思う。
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